ロレックス唯一のレーシング・クロノグラフ 色褪せない人気モデル『デイトナ』
(画像=thaiprayboy/stock.adobe.com)

(本記事は、並木 浩一氏の著書『ロレックスが買えない』=CCCメディアハウス、2023年3月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

唯一のレーシング・クロノグラフ、デイトナの登場

1963年には、自動車レースの世界にロレックスが勢力を広げた。「コスモグラフ デイトナ」の登場だ。ロレックス唯一のレーシング・クロノグラフ(ストップウォッチ付き腕時計)は、その後1980年代に人気が沸騰し、その熱気はいまも全く衰えない。

「デイトナ」の名がどこから採られたかについては公表されていない。ただしその名が、1959年にオープンしたデイトナ・インターナショナル・スピードウェイのイメージを喚起することは間違いない。

デイトナビーチの名は、モータースポーツファンなら知らない人間はいないだろう。アメリカ合衆国フロリダ州デイトナビーチといえば、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイの所在地だ。

アメリカではF1を凌ぐ人気のストックカーレースの最高峰、NASCARスプリントカップシリーズの開幕戦である「デイトナ500」を開催するオーバルコースである。

もともと広大な砂浜が素人レースのメッカであった土地柄であったところに1959年、スピードを重視したオーバルコースが誕生した。数年後には「ル・マン」「スパ・フランコルシャン」と並ぶ世界3大耐久レースのひとつ「デイトナ24時間レース」が始まり、デイトナビーチはカーレースの聖地となった。

なお、ロレックスは1991年からデイトナ24時間レースのスポンサーとなり、優勝チーム(3名+補欠1名)に毎年、記念の文字を裏蓋に刻んだ「デイトナ」を提供している。

ロレックスが買えない
並木 浩一
腕時計ジャーナリスト
桐蔭横浜大学教授(博士)

1961年横浜市生まれ。ダイヤモンド社にて雑誌編集長、編集委員を経て現職。1990年代よりスイスの2大国際時計見本市(バーゼル、ジュネーブ)を含めて、国内外の時計界を取材し、高級腕時計の書き手として第一線で活躍。
学術論文も発表、テレビ・新聞でも多数コメント。
生涯学習機関の「学習院さくらアカデミー」と「早稲田大学エクステンションセンター」では、一般受講可能な腕時計講座も開講している。
主な著書に『腕時計一生もの』(光文社新書)『腕時計のこだわり』(SB新書)『男はなぜ腕時計にこだわるのか』(講談社)など。雑誌では、「並木浩一の時計文化論」(『ウォッチナビ』/ワン・パブリッシング)、「並木教授の腕時計デザイン論」(『Pen』/CCCメディアハウス)等を連載中。

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