『007』のジェームズ・ボンドが着用 ロレックスの名品『サブマリーナー』とは
(画像=Gyorgy/stock.adobe.com)

(本記事は、並木 浩一氏の著書『ロレックスが買えない』=CCCメディアハウス、2023年3月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

ダイバーズ・ウォッチの原点、サブマリーナー

「サブマリーナー」はロレックスのダイバーズ・ウォッチの原点であった。

現在のように腕時計のカテゴリーが細分化される以前は、ダイバー向けの秀品が万能のアウトドア腕時計だった。マリンスポーツ全般はもちろん、登山や密林探検、極地行の命綱にも相当するギアとして、信頼できる腕時計が選択されていた。

必要なのは防水性、防塵性。つまりはどれだけケースを密閉してムーブメントを保護できるか、精度を保つことができるのか。この命題にもっとも真摯に関わってきたブランドといえるのがロレックスである。

名品「ロレックスのサブマリーナー」の正式名称にも〝オイスター パーペチュアル〞が前に置かれる。牡蠣のように堅く口を閉ざす頑丈なケースに、自動巻き搭載という意味のタイトルは、〝閣下〞や〝殿下〞のような、滅多にはない存在への尊称のようなものだ。〝オイスター パーペチュアル〞は、「デイトジャスト」や「コスモグラフ デイトナ」には「華麗・精密でありながらタフ」という性格付けを行う。一方、「サブマリーナー」では「みた目もタフ、実際も頑丈」という、外見と性能が完全一致する。

ダイバー向けの性能として譲れないものが「視認性」。潜るほど光が乏しくなる海中で時間を精確に読み取るための仕組みは必須である。「サブマリーナー」のクロマライト夜光塗料を施した仕様は、その目的に忠実で、針は太く、円と三角形、バーの指標はごく大型である。ほかにはない、アイコニックで完成されたデザインだ。

「サブマリーナー」の存在感は、ときには現実を乗り越えた。イアン・フレミングの原作に書かれた単なる「ロレックス」を、初期の『007』映画のスタッフは「サブマリーナー」と解釈した。ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが身に着けたのはこの腕時計である。

映画との関わりでいえば、「GMTマスター」のエピソードも見逃せない。

実はロバート・レッドフォードのロレックス好きは有名な話だ。1972年の『候補者ビル・マッケイ』でカリフォルニア州の上院議員選挙に打って出る弁護士を演じたときは「サブマリーナー」。そして『大統領の陰謀』で、ニクソン大統領を追いつめるワシントン・ポストの記者を演じたときには、「GMTマスター」を着けた。

ロレックスが買えない
並木 浩一
腕時計ジャーナリスト
桐蔭横浜大学教授(博士)

1961年横浜市生まれ。ダイヤモンド社にて雑誌編集長、編集委員を経て現職。1990年代よりスイスの2大国際時計見本市(バーゼル、ジュネーブ)を含めて、国内外の時計界を取材し、高級腕時計の書き手として第一線で活躍。
学術論文も発表、テレビ・新聞でも多数コメント。
生涯学習機関の「学習院さくらアカデミー」と「早稲田大学エクステンションセンター」では、一般受講可能な腕時計講座も開講している。
主な著書に『腕時計一生もの』(光文社新書)『腕時計のこだわり』(SB新書)『男はなぜ腕時計にこだわるのか』(講談社)など。雑誌では、「並木浩一の時計文化論」(『ウォッチナビ』/ワン・パブリッシング)、「並木教授の腕時計デザイン論」(『Pen』/CCCメディアハウス)等を連載中。

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