燃料電池システム世界市場は、商用車用途と業務・産業用途の燃料電池システムが今後の市場を牽引していく見通し
~各国のグリーン水素の拡大戦略を受け、再び注目の集まる燃料電池~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、燃料電池システム及び関連部材の世界市場を調査し、水素・燃料電池関連の各国政策や、用途別市場、関連部材、メーカー各社の動向を明らかにした。ここでは、主な用途であるモビリティ用、住宅用、業務・産業用燃料電池システムの動向について、公表する。
燃料電池システムの世界市場動向
1.市場概況
世界150ヵ国以上がカーボンニュートラル達成の目標期限を定め、脱炭素に向けた取り組みが進むなかで、脱炭素燃料としての水素の重要度が急上昇している。特に、カーボンフリーなグリーン水素については、各国が大規模生産に向けた政策を展開している。こうした動きにより、水素を使って電力を生み出す燃料電池にも再び注目が集まっており、燃料電池システム世界市場も本格化に向けて着実に伸張している。用途別にみると、モビリティの商用車用途と業務・産業用途の燃料電池システムが今後の市場を牽引していく見通しである。
2.注目トピック
モビリティ用燃料電池の世界市場状況
2022年におけるモビリティ用燃料電池システムの世界出荷台数を前年比11%増の19,600台と推計する。乗用車向けと商用車向けを合算したモビリティ用燃料電池システムは2020年以降成長を続けている。しかし、出荷台数の大半を占めている乗用車向けは、特定OEM(自動車メーカー)の販売状況に大きく依存しており、2022年の乗用車向け出荷台数は微減となった。一方、商用車向けの燃料電池システムは中国を中心に拡大し続けており、2025年頃には乗用車向け出荷台数を超える見込みである。
3.将来展望
カーボンニュートラルの実現に向けては、様々な選択肢から世界各地のさまざまな条件に適した適材適所の手段を採用していくことが重要である。
選択肢の1つとして燃料電池は有望視されており、水素インフラ整備と技術開発の進んだ2030年頃から一気に普及が進み、燃料電池システム及び部材の市場が本格化する見通しである。
調査要綱
1.調査期間: 2022年9月~2023年5月 2.調査対象: 燃料電池システム及び部材の事業会社、大学など各種研究機関 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<燃料電池システム及び部材とは> 本調査における燃料電池システムは、モビリティや住宅、業務・産業、その他用途の各種機器の動力源として組み込まれている燃料電池を対象としている。 また、燃料電池関連部材は、PEFC(固体高分子形燃料電池)の主要部材である電解質膜や、触媒層、GDL、セパレータ、CCM・MEA、及びSOFC(固体酸化物形燃料電池)の主要部材である電解質、燃料極、空気極、セパレータ(インターコネクタ)を対象としている。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 燃料電池自動車(FCV)、住宅用燃料電池システム、業務・産業用燃料電池システム、その他用途の燃料電池システム(産業機械、建設機械、農業機械、港湾荷役機械、ポータブル発電機、ドローン、航空機、船舶、列車、オートバイク、電動アシスト自転車等)、PEFC主要部材(電解質膜、触媒層、GDL、セパレータ、CCM・MEA)、SOFC主要部材(電解質[固体酸化物]、燃料極、空気極、セパレータ[インターコネクタ]) |
出典資料について
資料名 | 2030年の燃料電池システム及び関連部材産業 |
発刊日 | 2023年05月31日 |
体裁 | A4 167ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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