「感情的で自己主張が強い人」にはどう伝える? 4タイプの人間に合わせた対話術
(画像=voyata/stock.adobe.com)

(本記事は、伊庭 正康氏の著書『やり抜く人になるための戦略書』=アスコム、2023年5月16日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

人間の4タイプに合わせた話し方

「お似合いの彼女だね」

学生時代の友達に彼女を紹介したとき、こんなふうに言われたらどう感じますか。

「そうだろ、かわいいだろう」
とニコニコ顔になる方もいるでしょうし、
「何だよ、皮肉っぽいな」
と気分を害する方もいるかもしれません。

同じ言動に対しても、本人と相手それぞれのタイプ、関係性、シチュエーションなどさまざまな条件で受ける印象が変わることは経験的に理解できると思います。

相手のタイプを見極めるのに参考になるのが「ソーシャルスタイル理論」です。

1968年に心理学者のデビット・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論で、人を「感情」と「自己主張」を軸に4つのタイプに分類します。

分類が絶対というわけではありませんが、考え方や特徴の傾向をつかむ参考になります。4タイプを簡単に確認しておきましょう。

1.ドライバー

自分の意見は主張しますが、感情的にならず冷静で合理的。早口で淡々と自分の意見を言う。結果を重視し、過程にはこだわりません。競争心が強くて行動が早い。目的のためには、厳しい判断も辞さない人。有名人だと、ビートたけし氏のようなイメージです。

2.エクスプレッシブ

自己主張が強く感情的で、主体的です。承認欲求が強く、挑戦的に行動するタイプです。新しいこと、話題性のあることも好きな人。有名人だと、明石家さんま氏のようなイメージです。

3.アナリティカル

話すより聴くことが多く、自己主張は控えめ。観察眼に優れ、データや情報を分析し、独自の見解を持つ人。冷静で論理的に考えるのが得意なタイプです。有名人だと、タモリ氏のようなイメージです。

4.エミアブル

周囲の感情や意見、調和を大切にします。サポートをしたり、話を聞いたりするのが好きです。明るい雰囲気で、人の気持ちや全体の調和を重視する人。有名人だと、小堺一機氏のようなイメージです。

まずは、自分のタイプを確認し、どんなコミュニケーションの傾向があるのかつかんでおきましょう。

次に相手のタイプを確認します。
タイプ別にどんな対応が苦手かまとめると、次のようになります。
「しつこい」と嫌われないためにも、参考にしてみてください。

やり抜く人になるための戦略書
(画像=『やり抜く人になるための戦略書』より)

相手が、合理的な「ドライバー」の場合

遠慮して、曖昧な言いまわしだと、イラっとさせてしまいます。
結論から伝えず、言い訳がましく状況説明から話すと、ムカつかれます。「準備」「調査」など手間に時間をかける人に対して敵意すら感じることもあります。

相手が、注目されたい「エクスプレッシブ」の場合

笑顔で関心を示さないと、「関心がないの?」と誤解されます。
「でも」「それもそうですが」とすぐに否定的な反応をするとイラつかれます。「他と一緒がいいのでは?」といった保守的な言動は面白くない人と思われます。

相手が、理屈や慎重さを大事にする「アナリティカル」の場合

「とりあえず」とノリで押し切ろうとすると、「頭が悪い」と思われてしまいます。
「うまくいかない」ことを想定し、予防策を考えないと、ヌルいと思われます。
「事実」と「意見」が混同する会話では、話していることが理解されないことも。

相手が、みんなの感情を大事にする「エミアブル」の場合

「こうしましょう!」と自己主張が強すぎると、ストレスを感じます。
周囲の人への配慮のない言動をする人は、距離を置かれることも。
会話の際、笑顔がないと、怖いと思われてしまいます。

「しつこい」と嫌われないためには、相手軸を考える必要があります。ソーシャルスタイル理論は、相手が苦手だと感じるNG言動を防ぐのに役立ちます。

やり抜く人になるための戦略書
伊庭 正康(いば・まさやす)
株式会社らしさラボ 代表取締役 1991年リクルートグループ入社。営業に配属されるも極度の人見知りでお客さんのところに行くにも一苦労。どうすれば営業活動を「続ける」ことができるか研究を重ね心理学に基づいた独自メソッドを開発。その結果、全国トップの成績を4回獲得。残業をしない仕事の方針にもかかわらず、営業とマネージャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に16万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ』(PHP研究所)『できる営業は、「これ」しかやらない 短時間で成果を出す「トップセールス」の習慣』(PHP研究所)ほか、多数の書籍がある。

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