2021年度の国内建設8大市場規模は前年度比10.1%増の22兆4,864億円
~住宅市場の回復に加え、オフィスビル、工場、物流倉庫需要が拡大~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の建設8大市場(8分野)を調査し、市場規模、8分野別動向、将来展望を明らかにした。
建設8大市場規模推移・予測(工事費予定額ベース)
1.市場概況
2021年度における建設8大市場(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで22兆4,864億円(前年度比110.1%)となった。
2021年度はコロナ禍により建設需要が急減した2020年度からの反動増に加え、令和4年度税制改正に伴う政府による住宅取得関連支援策の一部延長など、住宅取得を推進する施策の影響もあり、住宅市場が回復。加えて、オフィスビル、工場、物流倉庫需要が拡大した結果、建設8大市場全体は前年度比110.1%と二桁増となった。
2.注目トピック
人手不足への対応
国土交通省によると、全国で約300万人が従事している建設技能者のうち、65歳以上が約53万人を占める。※1
今後10年間で高齢層の退職等が見込まれる中、若年層の入職が増えることは想定しづらい状況である。また、外国人作業員は、コロナ禍に伴う入国制限等の影響で減少しており、また、円安により賃金に対する魅力も薄れている中、人手不足への対応が課題となっている。
人手不足対策の一つとして、建設業界では賃金向上に取り組んでいる。また、賃金面以外の対策としては、業務の機械化や作業効率の向上にも努めている。今後は、人手を要さない工法の技術開発に加え、これまで蓄積してきた施工技術やノウハウを建設業界としていかにして共有し引き継いでいくかが重要なテーマだと考える。
※1 国土交通省 「第1回持続可能な建設業に向けた環境整備検討会 参考資料1 最近の建設業を巡る状況について」(令和4年8月3日)
3.将来展望
2022年度の建設8大市場(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで23兆3,000億円(前年度比3.6%増)と見込む。物価上昇に伴う建築コストの上昇の影響を受け、市場規模は拡大の見込みである。
また、2022年度は新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立によって国内景気が持ち直す中で、国土交通省によると、民間非住宅建設投資は回復傾向が続いた。※2
2025年度の建設8大市場(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで24兆3,000億円(2021年度比108.1%)を予測する。
2025年度にかけて、大都市圏の都心部及び地方都市部での再開発計画が控えているほか、製造業の国内回帰による設備投資需要も活況を呈している。また、2025年以降、大阪・関西万博の開催やIR(統合型リゾート)の開業も控える中で、2025年度までの建設8大市場は堅調に推移するものと考える。
※2 国土交通省「建設投資見通し」(令和4年度)
調査要綱
1.調査期間: 2022年10月~2023年2月 2.調査対象: 建設における主要8分野(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院) 3.調査方法: 当社専門研究員による各種文献、公開情報等の収集、及び独立行政法人統計センターによる国土交通省「建築着工統計」のオーダーメード集計データをもとに分析 |
<建設8大市場とは> 本調査における建設8大市場とは、建設分野の基幹産業である、①住宅、②店舗、③オフィスビル、④ホテル、⑤工場、⑥物流倉庫、⑦学校、⑧病院の8分野(市場)をさす。各分野の定義については、国土交通省「建築着工統計」における建築用途分類をもとに、矢野経済研究所が本調査において再分類を行っている。なお、いずれも新築に加え、増改築も対象とする。市場規模は工事費予定額ベースで算出し、2019年度から2021年度の実績値は、独立行政法人統計センターによる国土交通省「建築着工統計」のオーダーメード集計データより引用、これ以外は同データをもとにした矢野経済研究所推計値である。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院 |
出典資料について
資料名 | 2023年版 建設8大市場の展望と戦略 |
発刊日 | 2023年02月27日 |
体裁 | A4 500ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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