「人類の脅威に挑む」巨額の寄付をとおしてビル・ゲイツが考えていること
(画像=sewcream/stock.adobe.com)

(本記事は、リサ・ロガク氏 (編集)、ニシカワチサ氏(翻訳)の著書『ビル・ゲイツの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実』=文響社、2023年3月9日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

楽しさと責任と

私たちは、寄付の金額で自分たちを評価したりはしない。私たちは人類の脅威に挑み、すべての活動において救われた命あたりのコストと、事態がどう改善されたかという真の成果に徹底的にこだわっている。楽しいことでありながら、同時に大きな責任を伴うものだ。(中略)親であることについても同じことが言える。
人生において最も重要なことの多くは、そのようなものばかりだ。だからこそ、毎朝目を覚ましたくなるのだろう。

ーーーー『The New Yorker』誌 2005年10月24日


We do not measure ourselves at all by the amount given. We have taken on the top twenty killers, and for everything we do we look at the cost per life saved and real outcomes in terms of how things get improved. It’s fun, and it is also an enormous responsibility . . . That is true for being a parent. Many of the most important things in life are like that. Why else would you want to get up in the morning?

命の価値

(1ドル以下のワクチンが打てないために、アフリカで大勢の子どもたちが命を落としていることについて)命の価値はすべて平等だ。
そう信じているなら、救う価値のある命と、そうでない命があると考えられていることに深いショックを受けるものです。
その時、私たちは「そんなはずはない。だが、もしそうであるなら、私たちの寄付の優先順位を上げるに値する」と考えたのです。

ーーーーハーバード大学・卒業式講演 2007年6月7日


If you believe that every life has equal value, it’s revolting to learn that some lives are seen as worth saving and others are not. We said to ourselves, “This can’t be true. But if it is true, it deserves to be the priority of our giving.”

幸運

私はとても幸運でした。
これまで2つの仕事を経験してきましたが、いずれも素晴らしいものでした。若い頃は徹夜でソフトウェアを書きながら、自分だけでなく、みんなにとって素晴らしいパーソナルコンピュータを思い描いていました。そしていま、私は転向し、財団の仕事に専念するようになりました。財団が使うお金が、できるかぎり最善の方法で使われることを確認したりと、この活動を心から楽しんでいます。

ーーーーCNN 2010年7月20日


I’ve been very lucky. I’ve had two jobs that were absolutely fantastic. When I was young, writing software, staying up all night, you know, dreaming about the personal computer I wanted and I thought would be great for everyone, that was the perfect thing for me. And now I’ve switched. I’m totally full-time on the foundation. You know, I’m loving advocating for these causes. I’m making sure that the money our foundation spends is—is used in the best way possible ... I love doing this work.

失敗の透明性と共有

私たちの財団は過去20 年間で、合計538億ドルを支出してきた。全体的に見て、そのような達成には満足を覚えるものだが、出したお金がすべて期待どおりの効果を発揮したのか? 答えはノーだ。期待外れや挫折、驚かされるようなこともあった。私たちは、成功だけでなく失敗についても透明性を保ち、学んだことを共有することが重要だと考えている。

ーーーーGates Notes 2020年2月10日


Altogether, our foundation has spent $53.8 billion over the last 20 years. On the whole, we’re thrilled with what it’s accomplished. But has every dollar we’ve spent had the effect we’ve hoped for? No. We’ve had our share of disappointments, setbacks, and surprises. We think it’s important to be transparent about our failures as well as our successes—and it’s important to share what we’ve learned.

ビル・ゲイツの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実
リサ・ロガク【編】
ニューヨークタイムズのベストセラー作家。40冊以上の本と何百もの新聞や雑誌の記事を執筆。
ニューハンプシャー在住。
ニシカワチサ【訳】
1984年、広島県生まれ。東京農業大学卒業。ノンフィクションからゲームシナリオ、映像資料などの翻訳を手がける。訳書に『1日5分呼吸を描くと心が落ち着く』(小社) 、『ウィメン・ウォリアーズ はじめて読む女戦記』(花束書房)、『世界は女性が変えてきた:夢をつないだ84人の勇者たち』『自分のこころとうまく付き合う方法』(ともに東京書籍)、『THE IMPOSSIBLE CLIMB アレックス・オノルドのフリーソロ』、『ALL BLACKS 勝者の系譜』(ともに東洋館出版社)などがある。

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