「自分たちは負け犬だ」ビル・ゲイツが明かすマイクロソフト社の企業文化
(画像=REDPIXEL/stock.adobe.com)

(本記事は、リサ・ロガク氏 (編集)、ニシカワチサ氏(翻訳)の著書『ビル・ゲイツの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実』=文響社、2023年3月9日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

手本を示す

マイクロソフトでは、製品を作るのが上達するほど昇進していく仕組みになっています。
重要なのは、手本を示すこと。うまくいったプロジェクトがあれば、関わったスタッフをヒーローとして扱うのです。そうすれば周囲の人間は、彼らのようになろうと努力するようになります。

ーーーー『Success Magazine』誌 1988年10月


The way our ladder works, you can keep getting promoted to new levels just by being better at creating the product. It’s important to set examples. When something works out, you take the guys involved in that project and you make them heroes. You let everyone know that people should strive to be like them.

対内認識

マイクロソフトはまったく異なる対外認識と対内認識を持っている。
自分たちは負け犬だという認識を常に抱いているんだ。

ーーーーCNN Money / Fortune 1995年10月2日


The outside perception and inside perception of Microsoft are so different. The view of Microsoft inside Microsoft is always kind of an underdog thing.

自分たちを改革する

マイクロソフトでは、起業家精神に溢れた考え方がいまでも息づいている。私たちの大きな目標の1つに、自分たちを作り変えていくことがある。──他社の製品ではなく、自分たちの製品に取って代わるものを生み出し続けなければならないのだ。

ーーーーIndustry Week 1995年11月20日


The entrepreneurial mindset continues to thrive at Microsoft because one of our major goals is to reinvent ourselves—we have to make sure that we are the ones replacing our products instead of someone else.

会議で話し合うこと

私たちは、自分たちがうまくいっていることについて、時間をかけて話し合ったりしません。
それは私たちの文化ではないのです。会議ではいつだって「7つのカテゴリーでは勝ったけれど、8つ目のカテゴリーはどうだろう?」というふうに話が展開していきます。

ーーーー『Newsweek』誌 1996年12月1日


We never waste a lot of time talking about what we’re doing well. It just isn’t our culture. Every meeting is about “Sure, we won in seven of the categories, but what about that eighth category?”

風通しのよい組織

マイクロソフトは一方通行ではありません。非常にフラットな組織で、アイデアは下に流れることもあれば、上に流れることもあり、水平にも流れていきます。通常なら、誰かが何かを思いついたり、問題を発見したりすると、ほかの誰かにメールを送る。それがきっかけで問題に対処するためのSWATチームが結成されたりします。そして、ある程度経ったところで、対面またはメールベースで意思決定が行われるのですが、戦略的な決定については、シニア・ヴァイスプレジデントや私のところに上がってくることもあります。どの社員にも、自ら意思決定ができる権限が与えられるようになっているのです。

ーーーーInformation Outlook 1997年5月1日


There’s no one path at Microsoft. We have a very flat organization. Sometimes ideas flow down, sometimes they flow up, or horizontally. Usually, someone will get an idea or identify a problem and send e-mail to someone else. This may kick off a SWAT team to deal with it. At some point, the decision gets made face to face or over e-mail. On strategic decisions, it may go to a senior VP or to me. By and large, we empower people to make decisions themselves.

マイクロソフトの文化

私たちの文化の素晴らしいところは、自分たちが手がけるプロジェクトが会社の成功と存続の鍵を握っていることを常に意識して運営にあたっている点にある。この業界がいかにダイナミックであるかも自覚しているから、「絶好調じゃないか」などと言ったりはしない。満足すれば、人々は現行バージョンのWindows やOffice を使い続けるだけになってしまう。

ーーーー『Newsweek』誌 2000年4月16日


One of the great things about our culture is that we always operate knowing that projects we work on are key to the success and survival of the company. We’ve never had a culture where we say, “Boy, we’re in great shape,” because we know how dynamic the industry really is. We know we have to replace our products in a dramatic way. Or people will just keep using the current version of Windows or Office.

真実

世界で唯一の銅山を所有する人物のように、私たちは揺るぎない地位を確立している ――そう言われることがあるが、そんなのまったくの皮肉だ。
真実は逆だからだ。会社は困難に直面しており、私たちはチームとして団結し、素晴らしい仕事をしなければならないような状況にある。

ーーーー『Newsweek』誌 2000年4月16日


There is a certain irony that somebody says we have this enduring position that’s unassailable, like some guy who owns the only copper mine in the world. The truth is very much the opposite. The company faces challenges, and we need to pull together as a team and do great work.

ビル・ゲイツの生声 本人自らの発言だからこそ見える真実
リサ・ロガク【編】
ニューヨークタイムズのベストセラー作家。40冊以上の本と何百もの新聞や雑誌の記事を執筆。
ニューハンプシャー在住。
ニシカワチサ【訳】
1984年、広島県生まれ。東京農業大学卒業。ノンフィクションからゲームシナリオ、映像資料などの翻訳を手がける。訳書に『1日5分呼吸を描くと心が落ち着く』(小社) 、『ウィメン・ウォリアーズ はじめて読む女戦記』(花束書房)、『世界は女性が変えてきた:夢をつないだ84人の勇者たち』『自分のこころとうまく付き合う方法』(ともに東京書籍)、『THE IMPOSSIBLE CLIMB アレックス・オノルドのフリーソロ』、『ALL BLACKS 勝者の系譜』(ともに東洋館出版社)などがある。

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