(本記事は、浦 大輔氏の著書『Golf パットは読みが8割』=エクシア出版、2022年9月16日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
距離感の養成には「基準」が不可欠
距離感を養うには練習が必要ですが、やり方を間違えると遠回りします。
例えばみなさんの中には、テークバックでヘッドを20センチ動かした場合にどれくらいボールが転がるか、といった手法で距離感を割り出す人がいると思います。否定はしませんが、私はおすすめしません。
なぜならグリーンは毎回違うから。20センチのテークバックで3メートル転がるグリーンもあれば5メートルのグリーンもある。遅いグリーンのロングパットになると振り幅がわからなくなり、結局はカン任せになります。
なにより常に一定の強さでインパクトできるわけではありません。毎日パットを打っているプロと違って、アマチュアの方の体はゴルフ以外もいろいろなことをしていますから、絶対に同じ力加減では打てない。逆にいえば、毎日練習することによって力加減を一定にできれば、このやり方でもOKです。しかし現実的には大変で、基準を作るという点で合理的とはいえません。
基準がないから“往復ビンタ”になる
そこで私がおすすめしたいのは、3メートルでも5メートルでもいいので、やり方を問わず常に決めた距離を打てるようになっておくことです。
ポイントは、自分は脇役に徹すること。すべてパターとボールが織りなすストーリーで決めた距離を打つ。フェースでボールを叩いて一定の距離を打てばいいのです。
これができると距離感の基準ができます。この打ち方で通常は3メートル転がるとしたら、同じように打って2メートルならグリーンが遅く、5メートル転がれば速いとわかります。ラウンドのときは、この距離感を基準にスタート前のパッティンググリーンで練習しておけば距離感が合うというわけです。
パターマットでも距離感は養える
また、このやり方なら家のパターマットでも効果的に練習できます。パターマットには何フィートか必ず速さが書いてあります。そこで目をつむっても3メートル打てるようになるつもりで練習するのです。
仮にパターマットの速さが10フィートなら、10フィートのグリーンにはそのまま適用すればいいし、9フィートのグリーンなら3メートルは転がりません。
しっかりした基準があればグリーンに翻弄されることはありません。100切りを目指すゴルファーは、ショートしたあとにオーバーしたり、オーバーしたあとにショートする、いわゆる“往復ビンタ”をやってしまうことがありますが、これは距離感の基準ができていないからです。
すなわち「弱かったから次は強く打つ」、「強すぎたから次は弱く打つ」を繰り返している。「そりゃそうでしょ」と思うかもしれませんが、実はそれこそがグリーンの思うツボ。これでは対処療法をやっているだけで、いつまで経っても自分のタッチがつかめません。
歩測をするとパットが経験値になりやすい
つけ加えておくと、基準作りと並行してパットの距離を歩測するクセもつけましょう。歩測したからといって入るわけではありませんが、やり続けることで上手くなっても、ヘタになることは1ミリもありません。私は1メートルでもこっそりやっています。歩測することでパットが経験値として脳に植え付けられて今後必ず役に立つ。みなさんのゴルフにとってマイナスになることは100%なく、1万円のラウンドに2~3万円の価値が出るので絶対にやったほうがお得です。
歩測する場合、プロは1歩が1ヤードになるよう歩幅をそろえていますが、そこまでする必要はありません。こちらも基準作りで、例えば自分の歩幅で3歩が何メートルかを確認しておけばいい。歩く時の歩幅はおおむね変わりませんが、アマチュアの方は練習していないので念のためスタート前に確認しておきましょう。
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