(本記事は、松井 順一氏、佐久間 陽子氏の著書『トヨタ流 仕事の「見える化」大全』=アスコム、2021年9月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
思い・野望の具現化がチーム力を強化する
“目的・方針”の「見える化」
メンバーが互いに高め合う組織となるためには、それぞれの想いから職場の共通項を見つけ出し、職場のめざす姿を示す目的と、こだわりを示す方針を見えるようにする必要があります。
共通の想いを引き出すのが「HOPING アンケート」です。「どのような職場で働きたい?」「職場に増えるとうれしいものは?」「人を喜ばせる仕事ってどんな仕事?」など、ポジティブな回答が得られるように質問をし、不満ではなく夢や希望へ誘導するようにします。ミーティングで得られた回答をグルーピング、マッピングし、職場としての共通項やキーワードを見つけ出し、つなぎ合わせて目的・方針を立てていきます。自分たちの想いで作成された目的・方針には思い入れが強くなり、責任感が芽生えてきます。
また、その目的・方針を見える場所に掲示することで、自分の行動は目的に基づいているのか、方針に沿っているのかを常に考えるようになり、職場全員の行動に一貫性や整合性が出てきます。
目標達成を登山に見立て楽しく。やる気もアップ
“目標”の「見える化」
職場が成長していくためには、理想と現状を「見える化」することが重要です。
めざす姿に対してのプロセスを「見える化」し、現状を把握するためのしかけは、「登山グラフ」です。
登山に見立てて最終目標を頂上とし、頂上をめざすためにどういったプロセスを踏み、現状どのレベルにいるのか、達成度合いが一見してわかるグラフです。理想を現実にするためには、ステップバイステップで前進していくことが必要です。細かくプロセスを区切り、一歩ずつ進むための目標も見えるようにします。それぞれの目標を達成しているか否か測定、判定できるように、具体的な数値目標を立てていきます。
自分たちの職場がいまどのレベルに達しているのか、現状がわかるようにマスコットを貼ります。どれだけ成長できたのか、あとどれだけがんばれば自分たちがめざした職場となれるのかが一見してわかるようになります。
チーム全体の力を底上げする方法
“共通ステップ”の「見える化」
職場が成長していくためには、理想だけでなく目の前のステップを見えるようにし、現実と理想のギャップを客観的にとらえることが必要です。
職場の共通のステップを「見える化」するしかけは、「成長プロセス」です。
職場のボトムアップをはかるために高めるべき力は何なのか、どのようなステップで進めばいいのかを順に追って見えるようにしたツールです。
まず、職場が成長するのに、何ができるようになるべきか、どのような力をつけるべきかを成長目的を掲げます。次に、目的の達成に向け、段階ごとにめざす姿を定義します。定義づけができたら、ステップごとにそれを実現するために必要な行動を明確にします。職場で協力して行う行動を具体的に書きましょう。さらに、その行動をサポートするしかけも明確にします。しかけとは、仕組みや勉強会などです。
中小企業診断士、システムアナリスト、情報システム監査技術者。
アイシン精機株式会社にてABS等の新製品開発に従事。微小洩れ測定法開発にて科学技術長官賞を受賞。その後、社団法人中部産業連盟、トーマツコンサルティング株式会社、現職にて、TPSベースの営業・管理間接・開発・サービス業務改善、製造ライン構築・現場改善、5S、目で見る管理、経営戦略のコンサルティングを行う。現地現物での実践重視の人づくりに定評がある。【著書】「ダンドリ倍速仕事術100の法則」「実践 問題解決最強ツール37」「仕事の見える化99のしかけ」「仕事のミスをなくす99のしかけ」(日本能率協会マネジメントセンター)「職場のかんばん方式トヨタ流改善術ストア管理」「職場のかんばん方式2 トヨタ式人づくり改善塾 」(日経BP社)他
教育系出版社・教育サービス会社にて、営業、事業戦略企画・管理、校舎・講師マネジメント・指導に従事。
現職では、管理間接部門向け改善ツールの開発、5S・目で見る管理による管理間接業務改善、事業戦略企画・管理、方針管理、次期経営幹部養成のなどの経営コンサルティング、企業内研修に従事。eラーニングコンテンツ開発。日本能率協会・商工会議所などのセミナー講師として登壇。【著書】「ダンドリ倍速仕事術100の法則」「オフィスの業務改善100の法則」「仕事の見える化99のしかけ」「営業の見える化99のしかけ」「オフィスの業務改善99のしかけ」(日本能率協会マネジメントセンター)
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