トヨタ流 仕事の「見える化」大全
(画像=Pixel-Shot/stock.adobe.com)

(本記事は、松井 順一氏、佐久間 陽子氏の著書『トヨタ流 仕事の「見える化」大全』=アスコム、2021年9月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

「見える化」実践のための4つのコツ

「見える化」は、次の4つを意識して進めると効果を発揮します。

コツ① “めざす姿”を定義する

「見える化」は手段であって、目的ではありません。まず「見える化」で仕事をどうしたいのか、改善後の「めざす姿」を定義します。

「仕事がやりやすくなって、業務上の目標が達成できていく手応えを感じるような職場にしたい」
「問題や異常にすぐ気づいて、事が大きくなる前に対処でき、お客さんから信頼されるようになりたい」
「お互いの仕事がどのように進んでいるのか共有でき、助け合いながらチームとして仕事を遂行する職場にしたい」

などといったを語り合っていきます。

コツ② “行動”を明確化する

めざす姿が実現できている職場は、いまの職場とは明らかに何かが違うはずです。いま以上に知識や経験も豊富で、いろいろな工夫が仕事の中でされているでしょう。いまはまだできないことが、普通にできるようになっていることでしょう。つまり、いまとは行動が違っていくということです。

例えば現状は「会議を開催するときにテーマだけ決めて、会議の中でテーマに関する情報交換や議論をする」という会議の仕方だとします。これに対し、

「会議が脱線することなく、短時間で必要な情報交換と意思決定がなされる」

というめざす姿を定義したとすると、そのために必要な行動とは、

「会議の開催に先立ち、会議がどのように進行され、そこで何が伝えられ、どんな意見が交換されるかの見通しを立てる」

ということでしょう。

めざす姿を実現するために、いまはできていない行動ができるようになるイメージを、しっかりと持つ必要があります。

コツ③ “見るべきもの”を決める

行動が変われば、仕事のスタイルが変わり、結果が変わって、よい成果が出ます。

ただしこれは正しい方向に行動が変わったときの場合です。もし間違った方向に行動を変えてしまった場合は、成果が出ないのはもちろんのこと、障害が発生したり、収拾がつかなくなったりしてしまいます。

行動してすぐにその行動が「良かったのか? 悪かったのか?」、明確な結果が現れればいいのですが、なかなかそうはいきません。そこで、結果が出る前に、よい結果に向かって行動がなされているのか、その適切性を見極める必要があります。適切な行動がとられているかを判断するために何を見ればよいのかを考え、その見るべきものを決めます。

最初から的確なものを選ぶことはなかなかできません。まずはやってみて、見るべきものからのデータと結果を照合して、見るべきものが妥当なのかを何度も見直していきます。この経験を積み重ねていくことによって、自分たちの行動の適切性をはかるために必要な“見るべきもの”を見抜く力が備わっていきます。

コツ④ “日常的に「見える」工夫”をする

ところが、“見るべきもの”というのは、簡単に見ることができないものなのです。例えば非常な手間をかけて“見るべきもの”のデータをとったのでは、コストがかかってしまいます。そしてついに見えたときにはすでに結果が出ていて、もうそのデータは必要ないということもよくあります。

“見るべきもの”を「明確にすること」は、経験を重ねていくことによってできるようになります。が、その“見るべきもの”を、コストをかけず、すぐにその場で見えるようにするのは、経験だけでは解決できません。

知恵工夫を駆使して、改善を繰り返していくことが、唯一の道です。「見える化」ができない組織のほとんどは、この“日常的に「見える」工夫”をしていません。手間がかかるからデータが集まらない。集まらないから、見るべきものと結果の関係がいつまでも学習されていかない。的外れなものをいつも一生懸命に見ていることになってしまい、「見える化」をしても仕事は良くなっていかないという、悪いサイクルに入ってしまっています。

トヨタ流 仕事の「見える化」大全
松井順一
コンサルソーシング株式会社代表取締役。
中小企業診断士、システムアナリスト、情報システム監査技術者。
アイシン精機株式会社にてABS等の新製品開発に従事。微小洩れ測定法開発にて科学技術長官賞を受賞。その後、社団法人中部産業連盟、トーマツコンサルティング株式会社、現職にて、TPSベースの営業・管理間接・開発・サービス業務改善、製造ライン構築・現場改善、5S、目で見る管理、経営戦略のコンサルティングを行う。現地現物での実践重視の人づくりに定評がある。【著書】「ダンドリ倍速仕事術100の法則」「実践 問題解決最強ツール37」「仕事の見える化99のしかけ」「仕事のミスをなくす99のしかけ」(日本能率協会マネジメントセンター)「職場のかんばん方式トヨタ流改善術ストア管理」「職場のかんばん方式2 トヨタ式人づくり改善塾 」(日経BP社)他
佐久間陽子
コンサルソーシング株式会社 コンサルタント。
教育系出版社・教育サービス会社にて、営業、事業戦略企画・管理、校舎・講師マネジメント・指導に従事。
現職では、管理間接部門向け改善ツールの開発、5S・目で見る管理による管理間接業務改善、事業戦略企画・管理、方針管理、次期経営幹部養成のなどの経営コンサルティング、企業内研修に従事。eラーニングコンテンツ開発。日本能率協会・商工会議所などのセミナー講師として登壇。【著書】「ダンドリ倍速仕事術100の法則」「オフィスの業務改善100の法則」「仕事の見える化99のしかけ」「営業の見える化99のしかけ」「オフィスの業務改善99のしかけ」(日本能率協会マネジメントセンター)

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