(本記事は、メンタリストDaiGo氏の著書『超トーク力 心を操る話し方の科学』=CCCメディアハウス、2021年4月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
最初に身につけたい「トゥー・クエッション・テクニック」
話し相手の感情を動かすテクニック
トゥー・クエッション・テクニックは、ダニエル・カーネマン博士の実験から導き出した親密度を高める会話のテクニックです。
やり方は簡単。雑談の序盤に、次の2つの質問をするだけです。
- 最近の出来事について尋ねる(ポジティブなものでも、ネガティブなものでもかまいません)
- その出来事によって、どんな感情になったかを尋ねる
カーネマン博士の実験によると、この2つのステップを踏むだけで、エピソードを話した相手の幸福度が上がり、聞き手への親近感が増すことがわかっています。
○な会話例①
あなた 「最近、『これは事件だったな』と感じた出来事はありました?」
相手 「事件か……あ、結局、見つかったんですけれど、スマホを落としてしまって」
あなた 「スマホを。それはドキドキしますね」
相手 「そうなんですよ。一瞬、頭が真っ白になりました」
あなた 「わかります。スマホなしの生活って考えられないですもんね。大事な情報もいっぱい入っていますし」
相手 「考えてみると、コンビニの買い物も、電車に乗るのも、スマホで決済しているし、誰かと連絡を取る以上のことをしているなって。本当にドキドキしました」
○な会話例②
あなた 「最近、花粉がすごいですよね」
相手 「そうなんですよ。私も花粉症で、鼻と目がかゆくて」
あなた 「じつは私も花粉症で、鼻もつらいですけれど、目のかゆさも厄介ですよね」
相手 「本当ですよね。今日は特に花粉が多い気がしますね」
あなた 「外に出た途端、『かゆっ!』となりますよね。ちなみに、何か花粉症対策ってされていますか?」
なぜ、この2つの問いかけにそれだけの効果があるかというと、感情を込めて自分に起きたエピソードについて話し、聞いてもらうという行為が脳を興奮させるからです。
その興奮度合いについては、ハーバード大学が脳波の動きを計測する機器を使った実験で、「おいしい食事を楽しんでいるとき」や「お金をもらったとき」と同じくらいだということを示しています。
つまり、雑談の序盤で話し相手の「感情」を引き出しやすい問いを投げかけ、気持ちよく話してもらうだけで、あなたへの好感は増していくのです。