1%の本質を最速でつかむ「理解力」
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(本記事は、山口 拓朗氏の著書『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』=日本実業出版社、2022年5月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

「スマホ脳」からの卒業が、理解力アップには欠かせない

スマホで情報を取得するのは本当に便利です。

目的地までの経路はすべてアプリが教えてくれます。

ニュースや商品はパーソナライズ(=ひとりひとりにあわせた情報やサービスを提供する方法)の傾向が強まっています。

検索すれば、わずか数秒で悩みや問題の解決策を手にすることもできます。

あらゆるものが便利に提供される現在、わたしたちはモノを考えなくなりました。

もともと人間の脳には「怠け癖」があります。脳に余計な負荷をかけたくないわけです。

受動的であることは、脳にとって「怠けることが許される最高の状態」なのです。

しかし、その末路は脳内ライブラリーの衰退・不活性です。

前述のとおり、使われない「理解の箱」は、少しずつ消去されていくのです。

「理解の箱」が減り、思考する力も衰えることによって、理解力はますます低下していきます。

クルマは乗らない期間が長くなるほど故障のリスクが高まると言います。

脳も同じです。動かさなければ、その機能は衰えていく一方なのです。

ツイッターをはじめとするSNSも、脳内ライブラリーの衰退・不活性をもたらす危険性を秘めています。

事実、タイムラインを盲信し、何かを「理解したつもり」になっている人が少なくありません。

ひどい場合は、ガセネタや真偽不明のネタ、都合よく切り取られたネタなどを、よかれと思って拡散してしまう人もいます。

彼ら彼女らに欠けているのは、目に見えない文脈を読もうという意識や、主体的に理解や考えを深めていこうという意識です。

やっかいなもので、そういう人ほど「自分は考えている/自分は正しく理解している」と思い込んでいます。

理解力という点において、この無自覚さほど大きなリスクはありません。

「理解しているつもり」の典型です。

もっとも〈スマホを捨てましょう〉〈SNSをやめましょう〉という提案は、さすがに現実的ではありません。

そもそもスマホやSNSに罪があるわけではなく、そこへの依存を強めて、自分で考えることを放棄してしまっている人間の側に問題があるわけなので。

この問題を解決へと導くために、以下の言葉を常備しておくことをおすすめします。○○には自分の名前を入れてください。

おい○○、また「理解したつもり」になっているぞ!

自分に警笛を鳴らし続けることが、このスマホ&インターネット時代で理解力を高める手法として最もパワフルです。

「理解したつもり」になっている自分を自覚することは、とりも直さず、「まだ理解していないことがある」という状態に身を置くことです。

その状態に自分を追い込むことによって、能動的に理解を進めやすくなるのです。

「理解したつもり」になりやすい自分に自覚的な人は、何か新しい情報に出逢ったときでも、そう簡単に「理解したつもり」にはなりません。

・本当にこれで正しいのか?
・なぜ○○なのだろう?
・理由や根拠は何か?
・ソース(情報源)はどこか?
・この事実から予測できることは?
・この情報の裏には何が隠されているのか?
・もっといい方法はないか?

あらゆる視点から質問や疑問を投げかけることによって、「理解したつもり」の壁を乗り越えていけるようになります。

『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』より
(画像=『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』より)
1%の本質を最速でつかむ「理解力」
山口 拓朗
伝える力【話す・書く】研究所所長。山口拓朗ライティングサロン主宰。出版社で編集者・記者を務めたのち、2002年に独立。26年間で3600件以上の取材・執筆歴を誇る。
現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて、「1を聞いて10を知る理解力の育て方」「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」「伝わる文章の書き方」などの実践的ノウハウを提供。 著書は『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(共に日本実業出版社)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)、『ファンが増える!文章術――「らしさ」を発信して人生を動かす』(廣済堂出版)ほか25冊以上。中国、台湾、韓国など海外でも15冊以上が翻訳されている。
文章術、伝え方のノウハウ書籍が多いが、本書で伝えている「情報を的確に理解するための技術」など、本質をとらえたノウハウも高く評価されている。

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