食材高騰が社会問題になるなか、病院・介護施設での食事料の値上げが続いている。各施設では、値上げした価格では従来の献立提供が難しいため、少しでも安価な食材を探す動きが加速しているようだ。
都内の介護施設の管理栄養士に食材費高騰の影響について話を聞くと、「高齢者の場合、一般の食品だけでなく、飲み込みやすい食品や栄養を付加した食品など特別な食品も多く購入しているため特に厳しい」と危機感を示した。2021年と比べ、同じ献立でも1食約40円上昇している場合もあるという。現行の対策を尋ねると、「食材を安価なものへ変更すること、食材管理により無駄をなくすことくらい」と苦渋をにじませた。
都内で病院・介護施設等に食品を届ける食品卸に話を聞くと、「夏期以降から、メーカーの値上げが続いており、ほとんどの病院・介護施設では値上げをせずにはいられない状況になっている」と現状を語る。
「施設では、決まった料金で食事を作っているため、価格の安い食材を探したい気持ちもわかるが、安かろう、悪かろうになって、栄養価が下がるなど品質や安全性の低下につながりかねない。病院・介護施設の食事は治療や健康維持の意味合いもある。安易な判断は避けてほしい」と食材変更にかかる問題を危惧した。