「士業の仕事は、DXの『X』、つまり変革を支援すること」と話す、
社会保険労務士法人アドバンスの伴 芳夫氏。
リモートワークの普及やペーパーレス化の推進などで
「人事・労務DX」や「HRテック」が注目されるなか、
社会保険労務士のあり方や顧問先に提供できるサービスはどう変わっていくのでしょうか?
いま話題のクラウド労務管理ソフト『SmartHR』を活用した新たなサービスや、
顧問先のDX支援について聞きました。
人事は「勘」から「分析」へ。戦略人事で人材を活かす
当社では、「入退社や社会保険などの手続きを自社で行いたい」という顧問先に、
SmartHRの導入を推奨しています。
SmartHRは従業員情報の収集が簡単にできるので、
人事・労務担当者の業務負担を削減できます。
そのうえで、当社は何をするのかというと、
人事評価や給与設計などのコンサルティングです。
システムの導入や運用サポートはSmartHRのカスタマーサクセスに任せられるので、
情報共有しながら人事・労務部門のDX、
人材開発などのサポートを一緒に行っています。
SmartHRと提携することで、私たちはコンサル業務に注力できます。
さらに、コンサルのみで契約しているお客様の手続き業務にも少し携わることができる。
手続きだけ、コンサルだけよりもお客様とのつながりが強化できることも、
大きなメリットだと感じています。
また、人事コンサルを行ううえで、
これからは「分析」が非常に需要になるはずです。
これまでの人事は、勘に頼っていた部分が多くあります。
けれど、労働力人口が減り、人材への投資が増えていくなかで、
勘では限界がありますし、従業員への説明責任も増していきます。
より納得感のある制度にするためには、いろいろなデータを分析し、
誰をどこに配置し、どういうポジションにつけるのかを決める。
そのためには人事データベースが必要で、SmartHRであれば、
それが実現できると期待しています。
今、多くのITベンダーが企業のDXを進めていますが、
中小企業の支援までは手が届いていません。
そこをサポートするのが、私たち士業の役割です。
DXの「X」とは、「変革」ということ。
人事の在り方を、勘から分析へ。
より戦略的な人事に取り組める中小企業を増やすことは、社会にとってプラスになります。
もちろん、私たち士業にとっても
前向きなコンサルができるようになるメリットがあります。
今よりもっと良い方法があることに気づいてもらい、
「変えよう」という意識を持ってもらう。
そして、変化に対応できる企業を増やすこと。
この「X」の部分こそ、私たちの仕事だと思うのです。
社労士×人事・労務DX 3つのメリット
1 顧問先の選択肢を増やせる
労務管理を外注/内製化したいなど、顧問先の希望に合わせた提案ができる
2 コンサル業務への移行が可能になる
手続き業務に割いていた時間をコンサルティングなどの高単価業務に移行できる
3 データを用いた人材開発支援ができる
人材配置や評価、採用など、人事データベースに基づいた制度の高い支援を実現
- プロフィール
地場大手私鉄で勤務後、2007年より現職。人事給与制度コンサルティング業務に加え、セミナー・研修講師を多数務めるなど、多方面で活躍。そのほか、複数の企業・団体(医療法人・学校法人・ベンチャーなど)で役員・評議員を務めている。