(本記事は、小野 茜氏の著書『ひとり広報の戦略書』=クロスメディア・パブリッシング、2022年11月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
「会って話してみたい」と思われる人になるには
ここまで紹介したテクニックやコツ以前に、重要なことがあります。
それは、「そもそも自分は、他人から見てコミュニケーションしたいと思える人間なのか?」という点です。何をもってして優秀な広報とするかは、難しい判断です。
企業ごとに求める要素も違いますし、広報活動の定義さえ異なるかもしれません。
しかし、コミュニケーション対象として魅力的であることは、広報としてもっとも大切な要素のひとつだと思っています。
いくらプレスリリースの書き方を心得ていても、あらゆるメディアを熟知し、メディア関係者の名前をたくさん記憶していたとしても、「この人と会って話したい」と思ってもらえないと、何も始まりません。
そのためには、人としての魅力を纏い、広報への情熱と愛情をもって仕事をまっとうする。
そんな至極当たり前のことを実践し続けることが、重要だと感じます。
「第一印象」に力を注ぐ
人の魅力は「一日にして成らず」ですが、外面は努力しだいですぐに改善できます。
そこで、まずは第一印象に気を配るようにしましょう。
なかでも私がとくに気をつけているのが、「身だしなみ」と「笑顔量」です。「身だしなみ」に関しては、次のことにこだわって整えるようにしています。
服:スタイル。流行より体型カバーを意識し、形とサイジングにこだわる
靴:リッチ感。ちょっと高くても上質なものを選ぶ
髪:若々しさと清潔感。乾燥を防ぎ、髪型よりも質感にこだわる
ネイル:洗練さ。手の肌色を綺麗に見せる色やデザインを選ぶ
メイク:個性。コスメでトレンドを取り入れ、メイクで欠点を隠す
これはあくまで私のこだわりです。
いまの時代、全員が同じルールで整える必要はないと思うので、あくまであなたが大事にしたいポイントにこだわり、それを維持することが大切だと思います。
そう、歳を取れば取るほど、維持が難しいのです。
似合うものが変わってきたり、体調や体型の変化が激しくなったり……それでも年齢に見合った素敵な印象を纏っている人は、やはり努力しているのかなと見習いたくなります。
- ひとり広報の戦略76
- 自分なりの身だしなみのポイントをもって、それを維持する
誰にも平等に与えられた「笑顔」という武器
次に「笑顔量」ですが、これはシンプルに「笑っていましょう!」という話です。
笑顔の多い人って、やっぱり人を惹きつけるんですよね。
- ひとり広報の戦略77
- コミュニケーションの場面では、できるだけ「笑顔」でいようとする
私は意識していないと、つい眉間に皺が寄ってしまったり、すぐにひとりの世界に入り込んであれこれと考え込んだりして真顔になりがちです。
帰宅してから「今日も怖い顔していたかもな……」と、反省・後悔することも少なくありません。
だからこそコミュニケーションをとる場面では、笑顔でいる時間を1秒でも長くすることを意識しています。
本当は品の良い話し方ができれば良いのですが、話し方は知識と経験に裏付けられた「知性」から滲み出るものなので、すぐには変えられないでしょう。
その点、笑顔だけなら鏡の前で少し練習すれば、きっと大きく改善するはずです。
いますぐにできることから取り組んで、いずれこうなりたいという理想をちゃんと掲げながら、短期目標と中長期目標に分けて考えることがポイントです。
あまり自信がない方こそ、いますぐチャレンジしてみてほしいです。
自分で自分に驚いたある「エピソードトーク」
第一印象とともに、私が自分磨きで念頭に置いているのが「経験」です。
それも、ただ豊富な経験をしているだけでなく、それを面白く伝える「トーク」を持っていることが重要です。
これこそ一朝一夕にはいきませんが、話していて聴衆を引きこむ魅力のある人は、往々にして、ものすごい経験談を持っています。
これはつまり、外から入れた知識だけで話をせず、臨場感のある実体験を繰り広げられるということです。
たとえば私の場合、「人って、歳を重ねるごとに丸くなるよね」といった話の流れから、「かつてはそうでなかった」という話をします。
そして「じゃあ、小野さんは怒るとどうなっちゃうの?」と聞かれたら、自分の実体験をお話しします。7年くらい前に、こんなことがありました。
自分ではあまりイライラしているつもりはなかったのですが、男性の友人たちとワインバルでワインを飲みながら黙って会話を聞いていたときのことです。
繰り広げられる話題に対して無自覚のうちに怒りが頂点に達したようで、「バリンっ!!」という音で、ハッと我に帰りました。
手にしていたワイングラスを粉々に握りつぶしてしまっていたのです。
自分で自分を「怖っ!!」と思った、唯一の出来事です……。
かつて私はこの話を、1分間スピーチトレーニングで披露したことがありますが、満場一致でMVPを獲得しました。
もちろん、どこで披露しても「怖すぎる(笑)」と、みんな笑ってくれます。
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