住宅価格の高騰に加え、さらなる住宅の高性能化により苦戦する新築注文住宅
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の戸建て住宅市場を調査し、現況、および将来展望を明らかにした。
1.調査結果概要
2021年度の戸建て住宅着工戸数は前年度から増加となった。その主な理由は、コロナ禍の影響が落ち着き行動制限などが緩和されたことや、リモートワークの増加に伴う郊外戸建て住宅需要の回復、パワーカップル(高収入の共働き夫婦)層の旺盛な住宅取得意欲等が挙げられる。
2022年度はウッドショック※を背景とした木材・製材価格の上昇に伴い、木造戸建て住宅を中心に住宅価格が上昇していることから、直近の住宅購入を見送ったり、購入の検討を先延ばしにする傾向がみられる。他方で、パワービルダーが展開する分譲住宅については、住宅価格上昇の影響が比較的抑制されていることから、注文住宅から分譲住宅に流れる消費者も多くみられる。
また、今後の物価上昇に伴い、住宅ローン金利の上昇も想定される。それを懸念する消費者が注文住宅ではなく、出来るだけ早く購入できる分譲住宅を選好する動きがより顕在化する可能性が高いことから、分譲住宅は安定した着工戸数を維持するものと考える。
※ ウッドショック:コロナ禍以降の中国・アメリカを中心とした新築着工ラッシュによる木材需要の急拡大等により、木材需要が増加し木材価格が急騰したこと。
2.注目トピック
~住宅価格の上昇が新築木造注文住宅離れの契機となる恐れ~
木材・合板をはじめとする資材価格全般の高騰により、新築木造注文住宅価格は上昇しており、ローコスト住宅志向や中古戸建て住宅ニーズが高まっている。 一方、高断熱・高気密など住宅の高性能化が求められていることで、新築注文住宅価格の高止まりは継続するほか、住宅ローン金利の先高感等もあり、新築注文住宅離れの契機となる恐れがある。
調査要綱
1.調査期間: 2022年8月~10月 2.調査対象: 戸建て住宅関連企業(ハウスメーカー、パワービルダー、中小小売店、リフォーム事業者他) 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、法人アンケート調査、ならびに文献調査併用 |
<戸建て住宅市場とは> 本調査における戸建て住宅市場とは、新築戸建て住宅(注文住宅、建売住宅、建て替え住宅)、中古戸建て住宅を対象とする。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 新築戸建て住宅(注文住宅、建売住宅、建て替え住宅)、中古戸建て住宅 |
出典資料について
資料名 | 2022年版 戸建て住宅市場の徹底研究 |
発刊日 | 2022年10月31日 |
体裁 | A4 286ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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