2021年度のBPO市場規模は前年度比3.0%増の4兆5,636億9,000万円、2022年度もプラス成長を予測
~社内人員の再配置を含めて業務オペレーションを抜本的に見直す企業が増え、業務の外注化機運も高め安定で推移~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
国内BPO市場規模推移・予測
1.市場概況
2021年度のBPOサービス全体(IT系BPOと非IT系BPOの合算値)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.0%増の4兆5,636億9,000万円と推計した。内訳は、IT系BPO市場規模が同2.9%増の2兆6,888億円、非IT系BPO市場規模が同3.3%増の1兆8,748億9,000万円であった。 コロナ禍により経済活動がストップした2020年以降、外出自粛に伴うリモートワークの普及・拡大に合わせて、働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を通じた業務変革に取り組む企業が増え、社内人員の再配置を含めた業務オペレーションの抜本的な見直しを加速させていることなどが当該市場の追い風となっている。また、民間企業に加えて、官公庁のアウトソーシング機運が高まっていることも当該市場の拡大をけん引する成長ドライバーとなっている。
2.注目トピック
経理BPO市場
非IT系BPO業務のひとつである経理BPOの2021年度市場規模は、前年度比4.3%増の480億円と推計した。
経理BPOは、日本市場へ参入した外資系企業を中心に活用されているサービスであるが、近年は、日系企業においても働き方改革の推進を背景とするバックオフィス部門の生産性向上・業務効率化、さらにはコンプライアンス強化の観点から、当該サービスを利活用するようになっており、サービス需要も拡大している。
また、決算報告書作成などの決算関連業務も人材不足を背景に需要が拡大しており、上場企業のみならずグループ子会社からの需要も高まる方向にある。こうしたプラス要素に加えて、2021年度は業務のデジタル化に対応した法整備が進み、国税庁による「改正電子帳簿保存法」※1(2022年1月施行、2024年10月完全義務化)や「インボイス制度」(2023年10月施行)などに合わせて業務を外注化する機運が高まったことで前年度以上のプラス成長となった。
※1 国税庁「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」
3.将来展望
2022年度のBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比2.4%増の4兆6,727億9,000万円、内訳では、IT系BPO市場規模が同2.5%増の2兆7,565億円、非IT系BPO市場規模が同2.2%増の1兆9,162億9,000万円と引き続きのプラス成長を予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2022年8月~10月 2.調査対象: IT系BPO事業者、印刷系BPO事業者、コールセンター系BPO事業者、事務系 BPO事業者等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用 |
<BPO市場とは> 本調査におけるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、通常企業内部にて行われるシステム運用管理業務、コールセンター系業務(コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント)、間接部門系業務(人事、福利厚生、総務、経理)、直接部門系業務(購買・調達、営業、コア部門単純業務、業界固有業務)などの業務を発注企業から業務委託を受けて代行するサービスを指す。ただし、従来から外部に委託することが一般的な税務、物流、情報システム開発、ビルメンテナンスなどの専門的な事業所向けサービスに関しては対象外とする。 また、BPOのうち、IT系BPOとは発注企業からシステム運用管理業務を委託され代行するサービスとし、非IT系BPOとはその他の業務を委託され代行するサービスとする。 |
<市場に含まれる商品・サービス> コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント、人事代行、福利厚生代行、総務代行、経理代行、購買・調達代行、営業代行、コア部門単純業務代行、業界固有業務代行等 |
出典資料について
資料名 | 2022-2023 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望 |
発刊日 | 2022年10月27日 |
体裁 | A4 529ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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