2021年度のフェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)市場規模は74億円
~政府の後押しをうけ、参入企業が拡大。今後も日本における市場の活性化が期待される~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のフェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)市場を調査し、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
1.市場概況
女性の健康やライフスタイルの悩みに応えるサービスや製品のことを“フェムテック”(FemTech:femaleとtechnologyを掛け合わせた造語)としてキーワード化されており、関連市場が活況となってきている。
日本においても女性の社会進出や晩婚化を背景に、女性の健康に関連する事柄がタブー視される状況や女性にとって快くない状態を変え、QOLの向上をサポートする製品・サービスがベンチャーを中心に展開されていた。2021年に入り、日本でも大手企業の参入や、政府の女性活躍推進の後押し、SDGsへの関心の高まりなどを背景にフェムテックというキーワードは認知拡大し、女性従業員関連の福利厚生制度を以前より手厚くするなどの企業の取り組みも散見されるようになってきており、日本における市場の活性化が進みつつある。
フェムテックがサポートする分野は多岐にわたるが、大分類としては月経・PMS関連、不妊・妊孕(にんよう)性関連、妊娠・出産、更年期障害など、ライフステージにかかわるものから、セクシャルウェルネス※、女性特有の疾患(乳がん・子宮がん)関連など、ライフステージにかかわらず課題とされる分野が含まれる。
※「性の健康」のこと。性に関して精神的、身体的、社会的にも健康である状態を指す。
2.注目トピック
自治体・法人向けに拡大。他サービスとの組み合わせで一気通貫したヘルスケア・メディカルサービスの提供へ
オンライン健康医療相談サービスの課題として認知度の低さなどが挙げられていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに認知拡大が進み、法人や自治体を通じた女性向けオンライン健康医療相談サービス提供などが広がっている。今後も利用拡大が期待される。
近年、オンライン健康医療相談サービスを提供する事業者は、相談サービスに加えて、オンライン診療やオンライン服薬指導、簡易検査キットとの組み合わせや質問の多い事柄についてチャットボットによりある程度利用者に回答する仕組みづくりなど、様々な取り組みを行っている。チャットボットの利用者は効率的に回答が得られるため満足度が高く、企業も効率的にサービス提供が行えるメリットがある。今後は、このような効率的かつ一気通貫したヘルスケア・メディカルサービスが拡充されることで利用者の利便性がさらに高まり、必要な人へ適切な医療支援が行われることが期待される。
3.将来展望
フェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)市場では、引き続きさまざまな製品・サービスが開発・展開される見込みで、今後注視が必要な市場とされる。
2015年8月に制定された女性活躍推進法が、2019年5月に改正され、2022年4月1日に施行された。政府は、女性が働きやすい環境づくりを行うための支援を実施しており、少しずつではあるが企業が女性関連の健康経営・福利厚生を強化する状況は広がりつつある。
また、コロナ渦による将来や経済不安からさらに加速している少子化に対応する一手として、2022年4月より不妊治療は保険適用になるなど変化が見受けられる。女性が不便・不快に感じる状況を改善し、生活を豊かにする女性向けのヘルスケア・医療関連製品・サービス(フェムテック)の一般化は女性だけでなく社会全般に大きなメリットがあるとして今後も市場拡大が期待される。
調査要綱
1.調査期間: 2022年7月~9月 2.調査対象: フェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)に関する機器・サービス提供企業 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<フェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)市場とは> “フェムテック”(FemTech:femaleとtechnologyを掛け合わせた造語)とは、女性の健康やライフスタイルの悩みに応えるサービスや製品で、欧米を中心に関連市場が活況となってきている。 本調査におけるフェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)市場規模では、女性関連PHR、女性向けオンライン健康医療相談サービス、オンライン漢方相談サービス、女性関連の簡易検査サービス、産婦人科向け電子カルテ、体外受精(凍結保存デバイス))を対象として、事業者売上高ベースで算出した。なお、PHRアプリの市場規模は、個人ユーザーへの課金金額のみで、医療機関や法人向けの利用料、広告収入は含まない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 女性関連PHR、女性向けオンライン健康医療相談サービス、オンライン漢方相談サービス、女性関連の簡易検査サービス、産婦人科向け電子カルテ、体外受精(凍結保存デバイス)) |
出典資料について
資料名 | 2022年版 フェムテック(女性関連ヘルスケア・医療)市場分析 |
発刊日 | 2022年09月28日 |
体裁 | A4 278ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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