矢野経済研究所
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PPAスキームによる再生可能エネルギー導入のサービス市場に関する調査を実施(2022年)

太陽光発電システム等の再エネ電力を需要家が直接購入するPPAスキームのサービス市場は、2030年度には700億円に成長すると予測

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)では、国内のPPAスキームによる再生可能エネルギー導入のサービス市場に関する調査を行い、2030年度のPPAサービス市場規模を予測した。

PPAサービス市場の推移・予測

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1.市場概況

PPA(Power Purchase Agreement)は、企業や家庭等の電力需要家(ユーザー)が発電事業者と再生可能エネルギー(以下、再エネ)の発電電力を長期(通常10~25年)に直接購入する契約を結ぶ再エネ導入スキームである。日本国内の再エネ発電市場においては、FIT制度による優遇的な価格での買取が長く続いてきたことから、これまでPPAスキームは進められてこなかった。しかし、年々FITによる買取価格が低下するとともに、太陽光発電システムの設備の維持・管理コストが下がってきたことから、FITで売電するよりも発電した電力を自家消費して環境価値を保有し、CO2の削減につなげる方が、メリットがあると需要家が判断するようになった。PPAスキームの導入事例は、2017~2018年度頃から出始めた。

2020年度頃にはPPAスキームの需要は本格的に立ち上がり、以降、PPAサービス市場は急速に拡大してきている。この間、環境省や経済産業省から、様々な助成制度が創設されたことも市場拡大を後押ししている。さらに、2021年度以降は既存の電気料金が急上昇する局面にあり、電気料金よりも太陽光発電による発電コストの方が割安になったことから、設備コストにサービス料金を加味しても、高圧分野においてはPPAサービスの方が優位となっている。

2.注目トピック

PPAサービスへの参入企業

PPAサービス事業者の提供する業務は、設計・エンジニアリング・施工などの「EPC(Engineering,Procurement,Construction)業務」、設備の保有・電力の供給・精算などの「サービス業務」及びメンテナンスなどの「O&M(Operation & Maintenance)業務」等で構成される。このうちPPA契約の主体として需要家に対して提供するのは「設備の保有・電力の供給・精算等のサービス業務」であり、これを提供可能な事業者は現在国内に50社以上あるとみられる。PPAに関する一連の業務のうちEPCやO&Mについては、専門の業者に委託するケースが多い。
PPAサービス事業者については、エネルギーや商社、ファイナンス、再エネ、EPC、不動産等の様々な業界からの参入企業が相次いでいる。

3.将来展望

様々な助成制度の創設や既存の電気料金の上昇を背景に、PPAサービス事業者が需要家に提供するPPAサービスの売上を年度ごとに積算したPPAサービス市場は、2021年度の38億円から2022年度の94億円と大きく拡大する見込みである。また、同市場規模は2025年度には350億円、2030年度には700億円に成長すると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2022年7月~9月
2.調査対象: PPAサービス事業者、PPAサービス導入事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による取材、ならびに文献調査調査併用
<PPAサービスとは>
PPA(Power Purchase Agreement)は、企業や家庭等の電力需要家が発電事業者と再生可能エネルギー(再エネ)の発電電力を長期(通常10~25年)に直接購入する契約を結ぶ再エネ導入スキームである。PPAスキームでは、発電事業者が需要家と直接契約を結び、需要家の敷地内外で新たに再エネ発電施設(現状では主に太陽光発電システムが対象)を設置・運用して、CO2排出量の削減への貢献を目的とした環境問題の解決に直接的に貢献出来ることが特徴である。CO2排出削減の方法として、再エネ発電設備の新設スキームは、「追加性(Additionality)」として高く評価される。

また、PPAスキームは、第三者である発電事業者が再エネ発電設備を設置・所有・維持していくことが前提であり、需要家は当該の発電事業者から電力を購入すればよいことから、「第三者所有モデル」とも言われる。発電事業者はPPAサービスの対価として、既存の電気料金に代わる固定した単価のサービス料金(環境価値含む)を、電力使用量に応じて需要家から支払いを受ける。需要家にとっては再エネ発電設備の設置・保有・維持の必要がなく、これまで支払ってきた電気料金よりも割安な単価で電気と環境価値の両方が得られる。

<オンサイト方式PPAとは>
オンサイト方式のPPAでは、需要家が電力を使用する拠点の建物の屋上や敷地内に、発電事業者が太陽光発電システム等の再エネ発電設備を建設する。需要家は用地提供だけを行い、発電設備と敷地内の建物等を直接構内ネットワークでつないで、再エネ電力をオンサイトで直接、需要(自家消費)できる。

<オフサイト方式PPAとは>
オフサイト方式のPPAでは、需要家拠点の敷地外に設置された再エネ発電設備から需要家に送配電ネットワークを介して自己託送する。発電設備を設置した場所と託送先の需要家が同じ事業者やグループである場合と、他社所有の発電所と需要家が組合を作って自己託送する場合がある。オフサイト方式PPAでは、発電事業者は小売電気事業者を経由して再エネ電力を需要家に販売するため、需要家は電力自体の料金に加え、託送料や小売電気事業者への手数料を負担することになる。

<バーチャル方式PPAとは>
バーチャル方式のPPAでは、需要家が小売電気事業者を介して、再エネ発電事業者からは環境価値のみを購入するとともに、電力卸市場からは電力を購入する。需要家は発電事業者の電力を直接利用する必要がないので、特定の再エネ発電所から需要家への直接の電力供給が難しい場合でも、バーチャル方式PPAにより、需要家はその再エネ電力を使うことが可能になる。
<市場に含まれる商品・サービス>
オンサイト方式PPA、オフサイト方式PPA、バーチャル方式PPA

出典資料について

資料名2022 PPAによる再エネ導入の現状と将来展望
発刊日2022年09月22日
体裁A4 257ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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