世界のエンプラ販売量は2018年に1,000万tの大台を突破
~幅広い用途で需要は拡大し、2018年から2023年までのCAGRは3.51%で成長を予測~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越孝)は、2018年のエンプラ(エンジニアリングプラスチック)世界市場を調査し、樹脂別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
エンプラ世界市場推移・予測
1.市場概況
2018年のエンプラ世界市場規模(メーカー販売数量ベース)は1,006万t、前年比103.7%になった。自動車や家電など電気製品、電子部品、建材、雑貨など幅広い用途で用いられる汎用エンプラの需要は、世界経済の成長率とほぼ連動しながら、その規模を順調に拡大させている。2018年の樹脂別構成比は、PC(ポリカーボネート)44.0%、PA(ポリアミド)28.8%、POM(ポリアセタール)11.9%、PBT(ポリブチレンテレフタレート)11.6%、変性PPE(変性ポリフェニレンエーテル)3.7%と推計する。
2.注目トピック
スーパーエンプラ(PPS)の需要動向
自動車分野における軽量化ニーズの高まりや電装化率の上昇を受けて、PPS(ポリフェニレンサルファイド)は金属やエンプラからの代替需要を取り込んでいる。ここ数年、PPS世界市場は年率約6~7%の伸長率で推移しており、2018年には12万tを超えたと推計する。自動車用途ではイグニッションコイル、各種センサー、ECU制御ユニットハウジングといった電装品向けをはじめ、HEV・EVのモーター周辺部品で採用が広がっている。また、最近は冷却系でも金属代替を目指した耐熱水・耐LLC性グレードなどの開発が活発化している。
3.将来展望
2018年後半より米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題などを背景に世界経済は減速、2019年には中国や欧州などで経済活動の停滞が鮮明となってきており、エンプラの世界需要も伸長率が減少する可能性が高い。しかしながら、自動車向けの採用が進むとともに経済成長の回復を見込み、2018年から2023年までの年平均成長率(CAGR)は3.51%で成長し、2023年のエンプラ世界市場規模(メーカー販売数量ベース)は1,196万tになると予測する。