ADAS/自動運転システムの世界搭載台数は日米欧中で標準搭載が進み、2030年に7,915万3,000台に成長すると予測
~レベル2/レベル2+が市場をけん引し、2030年には同レベル計で6,000万台超に達する~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、ADAS/自動運転システムの世界市場の調査を実施し、市場概況や採用動向、個別メーカーの事業戦略を明らかにし、2030年までの新車におけるADAS/自動運転システムの世界搭載台数を予測した。
ADAS/自動運転システムの世界市場規模予測
1.市場概況
2021年のADAS(先進運転支援システム)/自動運転システムの世界搭載台数は4,097万6,019台で、前年比17.5%増であった。自動運転のSAEレベル別の内訳は、レベル1(L1:運転支援)が2,517万3,873台で市場全体の61.4%を占めており、次いでレベル2(L2:運転支援)が1,493万5,260台、レベル2のハンズオフ(高速道路限定の手放し運転/L2+:運転支援)は86万6,786台、レベル3(L3:条件付自動運転)は100台(日本市場のみ)である。2021年の世界新車販売台数におけるADAS/自動運転システムの搭載率は49.7%、2020年の44.3%から5.4ポイント上昇している。
2020年から最も市場規模(搭載台数)が拡大したのはレベル2(L2:運転支援)であり、高速道路において「ACC(車間距離制御装置)」「LKS/LKA(車線維持補助装置)」を同時に作動させる運転支援機能の設定車種が増えて、車両に搭載するADAS用センサ(フロントカメラ/レーダ)の高性能化も進展している。レベル2+(L2+:運転支援)についても日米自動車メーカーで搭載が進んでおり前年比72.8%増となる。レベル3(L3:条件付自動運転)についてはホンダ(本田技研工業)が世界初の実用化を発表しており、2021年に100台限定でリース販売をしている(現在は販売終了)。
2.注目トピック
2024年にレベル2の市場規模がレベル1を上回る
2025年に向けて日米欧中ではADASの標準搭載が進み、2023年にレベル1(L1:運転支援)の世界搭載台数は2,800万台でピークアウトし、2024年にレベル2(L2:運転支援)は3,000万台を超えると見通す。このため、2025年のADAS/自動運転システムの世界搭載台数は6,739万6,560台、世界新車販売台数おける搭載率は70.6%に上昇すると予測する。
レベル別にみると、レベル2(L2:運転支援)が約3,502万台で市場全体の52.0%、次いでレベル1(L1:運転支援)が2,128万2,671台(同31.6%)、レベル2+(L2+:運転支援)が1,068万8,221台(同15.9%)、レベル3(L3:条件付自動運転)が40万4,940台(同0.6%)と予測する。レベル4(L4:高度自動運転)についてはMaaS(Mobility as s Service)向け商用車の研究開発が進んでいるが、公道実験用車両が中心であるために2025年時点の量産台数は僅少である。
3.将来展望
2030年のADAS/自動運転システムの世界搭載台数は7,915万3,000台、世界新車販売台数における搭載率は76.9%に上昇すると予測する。最も市場規模が大きいのがレベル2(L2:運転支援)の3,675万2,500台(市場全体の46.4%)であるが、2026年以降はレベル2+(L2+:運転支援)の搭載台数が日米欧中で増加するために、2030年はレベル1(L1:運転支援)の世界搭載台数(1,202万3,000台)を超えて2,339万9,000台に成長すると予測する。同じくレベル3(L3:条件付自動運転)についても各社のフラッグシップ(旗艦モデル)を中心に搭載が活発化するために、2030年は625万2,500台に拡大すると予測する。
2027年以降は「E/Eアーキテクチャ(統合ECU化による集中制御)」「次世代EVプラットフォーム」「OTA(Over The Air)/ソフトウエア更新」の採用が主要自動車メーカーで進展するために、レベル3(L3:条件付自動運転)は高級車種の電気自動車を中心に市場が形成される可能性が高い。レベル4(L4:高度自動運転)はMaaS(Mobility as s Service)向けが中心である。本格的にビジネスが立ち上がるのは2020年代後半になるため、レベル4(L4:高度自動運転)を搭載したMaaS車両の2030年の世界搭載台数は72万6,000台と予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2022年1月~6月 2.調査対象: 自動車メーカー、カーエレクトロニクスメーカー、半導体メーカー、センサメーカー等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用 |
<自動運転システムとは> 自動運転システムはSAE(米国自動車技術協会)が自動化のレベルを0~5までの6段階で分類しており、周辺監視責任の違いからレベル1、2を「運転支援」、レベル3以上を「自動運転」と定義している。レベル1は車両の周辺の状況をセンサが検知し、衝突事故を軽減・回避する自動ブレーキ(AEB)、前走車両に追従するオートクルーズコントロール(ACC)などの単機能、レベル2は操舵や加減速のうち複数の運転支援をシステムが実行し、他の動的運転作業はドライバーが担う。レベル2のハンズオフ機能(高速道路限定の手放し運転)はシステムコストやセンサの搭載個数が異なるために、SAEの定義にはないがレベル2+と称されることが多い。レベル3(条件付自動運転)はシステムが全ての動的運転作業を実施し、緊急時においてはドライバーが介入する。レベル4(高度自動運転)はシステムが全ての動的運転作業を実施し、ドライバーはいかなる状況においても運転作業に関与しないが、自動運転システムが作動する運行設計領域は決められる。レベル5は完全自動運転であり、自動運転システムが全ての動的運転作業を実施し、自動運転の場所、走行条件についての制約もない。 本調査における世界市場規模は乗用車および車両重量3.5t以下の商用車の新車に搭載される自動運転システムの搭載台数ベースで算出している。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 先進運転支援システム(レベル1、レベル2/2+)、自動運転システム(レベル3、レベル4、レベル5) |
出典資料について
資料名 | 2022 自動運転システムの可能性と将来展望 |
発刊日 | 2022年06月30日 |
体裁 | A4 170ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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