身近な人が亡くなった。相続手続きを考えなければいけないかもしれない。そのような場合に、あなたはスムーズに手続きを進める準備は出来ていますか?
自分なら問題なくやれると思い込んではいませんか?実は、相続が開始された日より10か月の期間内に適切にのんびり行動をしていると、不動産の売却や納税などにおいてトラブルが生じるという事例が最近増えています。
これは決して他人ごとではありません。あなたもこのようなトラブルに合わないように、どのような問題が起こりうるのか対策例を一緒に確認していきましょう。
1. 遺産分割はできたけど。相続税の支払いが…
まずは、ある事例をご紹介しましょう。田中さん(仮称)の家族では、父親と二人の娘が一緒に暮らしていましたが、病気で父親が亡くなり娘は父の相続手続きをしなければいけないことになりました。
ところが、ふたを開けてみると、父はいくつもの不動産を保有しており、現金もいくらか残ることが分かりました。これらを公平に分けようと心づもりをしていた二人は相続税の金額を聞いて驚くことになります。
2. いざ相続税を計算すると高額で支払えない!
相続財産がいくつもあると自分たちに多くの相続財産をもらうことが出来るという気持ちになるかもしれませんが、その分相続税が多くなる可能性が高くなるということでもあるのです。
田中さんの娘さんは相続税として、約2000万円負担しなければいけないことが分かったのは、田中さんが亡くなってからかなりの時間が経った時でした。
もう相続税の申告まであまり時間は残されてはいません。そんなにすぐに2000万円も支払えないと考えた娘さんは、仕方なく相続財産である不動産を売却して相続税納税資金として活用しようとしました。
ところが、不動産というものはそれほどすぐに売却が出来る訳ではありません。
相続税の納税期限を考えると、このままでは希望していた売却額では間に合わないと考えた娘さんはどんどん売却額を下げることにしました。
ようやく1ケ月前に売買が成立し納税資金を確保することが出来ましたが、結局手元に残ったお金は手数料などを差し引くとほとんどありませんでした。
こちらの事例のポイントとしては、多額の相続税を負担しなければいけないことが分かったのが、田中さんが亡くなってからしばらくたった後になったという点です。
特に不動産の場合には相続税の金額には十分に注意をすべきです。
資産性のあるものを譲り受けたと喜ぶだけではなく、その後処理として相続税の支払い手続きまで見据えて計画を立てることが重要になります。
3. 本当に大丈夫?「相続についてのお尋ね」が届いて大慌て。
続いての事例をご紹介しましょう。
鈴木さん(仮称)の家族では、妻と息子を残して元々体が弱かったご主人が亡くなってしまいました。
ところが、この家族相続対策には意欲的で日頃から相続に関するセミナーに参加し、また書籍を意識的に読むなどして相続に関する情報を頭の中に入れていました。
そして、相続税が最もかかりにくい方法に遺産分割を行い、奥様とお子様は安心して過ごしていたところ、税務署より連絡があり、相続手続きの不備を指摘されてしまうことになりました。
4. 申告しないと使えない特例も。
鈴木さんの奥様と息子さんは、心配になって知り合いの税理士に相談をしたところ、お二人が考えていた「相続税が最もかかりにくい方法」を行うには、いくつかの書類の申告をしなければいけないことが分かりました。
これを行わないと二人には若干程度の相続税が発生することを告げられましたが、既に相続税申告時期が迫っています。
慌ただしくも二人はその場で税理士に依頼をし、ギリギリ相続手続きが完了しましたが、書類集めや段取りなどで一段と苦労したんだとか。
こちらの事例のポイントとしては、ご家族の間で相続に関する知識を十分につけていたのだけれど、いざ相続が開始したときに知識の正確さに問題があり、適切に相続を進めることが出来なかった点にあるでしょう。
もちろん、相続に関する知識を知ろうとしたこと自体は、素晴らしいことではあります。
しかしながら、実際の相続手続きにおいては、複雑な計算や細かい実務的な対応が求められますので、ご自身でいくつかの手続きをされるにしろ、事前に相続税の専門家である税理士にも相談をすべきであったといえるでしょう。
5. まとめ
二つの事例をご覧頂きましたがいかがでしたでしょうか?ご自身のことを考えて、全く同じようなことは起こらないといえるでしょうか?
相続税の手続きは想像以上に簡単にはいきませんので、事前にどのようなことをしなければいけないのか十分に把握しなければいけませんし、ご自身では難しいと判断した場合には早急に専門家の下に相談に行き、手続きを進めていくことも賢い方法であるといえるでしょう。(提供:ベンチャーサポート法律事務所)