矢野経済研究所
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2020年度の人事・総務関連業務アウトソーシング市場は前年度比0.5%減のマイナス成長も、2021年度は5.2%増を予測

~プラス成長への転換は働き方改革、DX推進の進捗が鍵握る~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の人事・総務関連業務アウトソーシング市場を調査し、主要14分野サービスの動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

人事・総務関連業務アウトソーシング市場規模推移(主要14分野計)

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1.市場概況

2020年度の人事・総務関連業務のアウトソーシング市場規模(主要14分野計)は、前年度比0.5%減の9兆9,037億円であった。内訳を見ると、シェアードサービス市場(シェアードサー ビスセンター、学校法人業務アウトソーシング)が前年度比4.7%減の5,020億円、人事業務アウトソーシング市場(給与計算アウトソーシング、勤怠管理ASPサービス、企業向け研修サー ビス、採用アウトソーシング (RPO)、アセスメントツール)が同3.6%減の9,133億円、総務業務アウトソーシング市場 (従業員支援プログラム(EAP)、健診・健康支援サービス、福利厚生アウトソーシング、オフィス向け従業員サービス)が同2.8%減の2,659億円、人材関連業務アウトソーシング市場 (人材派遣、人材紹介、再就職支援)が同0.3%増の8兆2,225億円 で、人材関連業務アウトソーシング市場が全体の約8割を占めている。

2020年度は、2020年初めに発覚した新型コロナウイルス感染症拡大のマイナス影響、主には年度初めの4月に発出された外出制限が伴う緊急事態宣言により、経済活動が停滞した影響を通年度で受けるかたちとなったことで、14市場中9市場がマイナス成長となり、プラス成長となった5市場においても軒並み成長率を縮小している。2021年度も3回目、4回目の緊急事態宣言が発出されるなど、コロナ禍の影響は継続しているが、外出制限下での事業継続に向けた体制整備やノウハウの蓄積等も進展しており、14市場中13市場でプラス成長に転じる見通しとなっている。

2.注目トピック

提供サービスのワンストップ化、プラットフォーム化が加速

参入事業者側を取り巻く環境を見ると、さらなる業務効率の向上を目的に定型業務を切り出してシステム化を図る動きや、それに伴い組織体制の再構築、業務横断的なサービス領域の拡大、提供サービスのワンストップ化などへ向けた異業種事業者とのアライアンスなどの動きが、ほぼすべての市場で活発化している。
また、単なる業務処理から高付加価値サービスの提供へシフトする流れが年を追うごとに加速しており、企業ニーズに沿ったサービスを提案、業務・組織改革を通じたビジネス変革を総合的に支援する業務コンサルティングやソリューションを提供するところも増えていく方向にある。
特に、コロナ禍により一段とサービスニーズが高まっている働き方改革やDX推進に関わる業務支援コンサルティングを手掛ける事業者が増加しており、アウトソーシングに求める企業ニーズの変化を受けるかたちで提供サービスのワンストップ化、プラットフォーム化が整備されるようになっている。

3.将来展望

人事・総務業務アウトソーシング業界が最も影響を受けるのは、ユーザー企業の業績を左右する景気動向であり、前述したように、コロナ禍等により景気に陰りが見られた2020年度はほとんどの市場でマイナス成長に転じている。ただし、働き方改革やDXを推進する企業が増える中で、マーケットに大きなマイナス要素となる景気減退の影響を上回る勢いでサービスニーズが顕在化している市場が多いのも事実であり、むしろコロナ禍がアウトソーシング需要を喚起している状況にあるともいえる。

また、内製化を主体としてきた日系大手企業の外注化機運の高まりに加えて、すでにサービスを導入している企業のリピートや提供サービスの深耕、中堅・中小企業を中心としたアウトソーシングサービス未導入企業までサービス需要の裾野が拡大している流れを受けて、サービスの高付加価値化やワンストップ化などによる効率的な需要取り込みが進められており、マーケットのさらなる拡大が期待できる状況にある。
なかでも中堅・中小企業のサービス需要に関しては、このクラスの企業がリーズナブルに利用できるクラウドサービスの登場に合わせるかたちで急速に顕在化しており、マーケットを活性化する役割を果たしている。この流れは近年のアウトソーシング市場において、継続かつ広がっていく様相を呈していることから、マーケットの拡大を促す流れとして今後も注目していく必要があると考える。

調査要綱

1.調査期間: 2022年1月~3月
2.調査対象: 人事・総務関連業務アウトソーシングサービスを提供する主要事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング、ならびに 文献調査併用
<人事・総務関連業務アウトソーシング市場とは>
本調査における人事・総務関連業務アウトソーシング市場とは、①シェアードサービスセンター、②学校法人業務アウトソーシング、③給与計算アウトソーシング、④勤怠管理ASPサービス、⑤企業向け研修サービス、⑥採用アウトソーシング(RPO)、⑦アセスメントツール、⑧従業員支援プログラム(EAP)、⑨健診・健康支援サービス、⑩福利厚生アウトソーシング、⑪オフィス向け従業員サービス(オフィスコーヒーサービスや菓子の配置販売等)、⑫人材派遣、⑬人材紹介、⑭再就職支援の14分野をさす。
なお、人材派遣業の2019年度までのデータは厚生労働省「労働者派遣事業報告書(一般労 働者派遣事業所の売上高)」データを引用している。
<市場に含まれる商品・サービス>
シェアードサービスセンター、学校法人業務アウトソーシング、給与計算アウトソーシング、勤怠管理ASPサービス、企業向け研修サービス、採用アウトソーシング(RPO)、アセスメントツール、EAP(従業員支援プログラム)、健診・ 健康支援サービス、福利厚生アウトソーシング、オフィス向け従業員サービス(オフィスコーヒーサービスや菓子の配置販売等)、人材派遣、人材紹介、再就職支援

出典資料について

資料名2022 人事・総務関連業務のアウトソーシングビジネス調査レポート
発刊日2022年03月28日
体裁A4 644ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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