「セイコーマート」は、北海道観光の“コンテンツ”としても人気だ。北海道の地場系コンビニエンスストアで、顧客満足度調査ではセブンイレブンなどの大手を抑え、6年連続で1位に輝いている。多くの道民に愛されているセイコーマートは何がすごいのか。その魅力を探る。
顧客満足度調査でセコマがまたしても1位
冒頭触れた顧客満足度調査は、公益財団法人「日本生産性本部」のサービス産業生産性協議会が実施している「JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」だ。
この調査の2021年度第4回調査の結果が2022年2月に発表され、コンビニエンスストア6ブランドを対象とした最新の顧客満足度ランキングが明らかになった。過去10年間の順位とともに結果を紹介する。
セイコーマートは2016年度から6年連続で1位を獲得している。2011~2021年度で見ても、セイコーマートが1位の座を譲ったのは1度だけだ。顧客満足度調査においては圧倒的勝者であると言っても過言ではないだろう。
ちなみに、この調査では顧客満足度のほか、「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「推奨意向」「ロイヤルティ」のランキングも公表されており、セイコーマートは2021年度の調査で、これらすべての指標で1位に輝いている。
セイコーマートの「4つの魅力」とは?
そんなセイコーマートの主な4つの魅力を整理して紹介しよう。
1)コンビニなのに割引販売が多い
最近では大手コンビニエンスストアでも割引販売が見られるようになったが、セイコーマートは早い段階から割引販売を行っていた。賞味期限が近くなった商品を割引するというより、週替わりスパンなどで特売品を展開するようなイメージだ。
特にカップラーメンの安さは、ほかの大手コンビニエンスストアと比べて際立つ。一般的に、コンビニエンスストアの商品は、大手スーパーの販売価格より高めだが、セイコーマートのカップラーメンは大手スーパーの価格と同じか、それ以下であることも少なくない。
2)ホットシェフでできたて・手作りの味を提供
セイコーマートの「HOT CHEF(ホットシェフ)」は、店内で調理したカツ丼やおにぎりなどの食事メニューで、北海道民に大人気だ。
セブンイレブンなどでも店内調理の揚げ物などが販売されているが、このようなコンビニエンスストア商品のほとんどが「揚げるだけ」「温めるだけ」なのに対し、セイコーマートのホットシェフでは担当者が店内奥の専用の厨房に立ち、「調理している」。
3)格安商品のラインナップが充実
安い割に量が多い弁当類の商品が多いことも、セイコーマートの魅力のひとつだと言えるだろう。
パスタや焼きそば、焼きうどんなどが100円ちょっとの値段で買え、ボリュームも決して少なくない。一般的な大人であれば2つ食べれば、お腹が一杯になる量だ。食事代を安く抑えたい人にとっては、強い味方であると言える。
4)北海道や地元の特産品の販売が旅行者に好評
セイコーマートは、北海道を訪れる観光客にも人気だ。北海道産の商品を多数扱っているほか、店舗によっては独自にその地域の特産品を積極的に販売している。札幌の観光エリアでは、観光客のためのお土産コーナーを設置している店舗もある。
セコマが全国展開する日はやってくる?
セイコーマートの店舗数は、2022年2月末時点で1,176店舗ある。そのうち北海道内に1,084店舗あり、茨城県に83店舗、埼玉県に9店舗ある。本州にも展開しているものの、北海道の地場系チェーンの域を超えていない。
ここまで顧客満足度が高ければ、全国展開しても勝機はあるように感じるが、全国展開のためには物流網をしっかりと構築する必要もあり、多額の先行投資が必要となる。そのため、全国展開を推し進めるという経営判断は簡単にはできないはずだ。
しかし、全国展開に期待しているセイコーマートファンも少なくない。セイコーマートが47都道府県のすべてに店舗を持つ日が将来やってくるのか、気になるところだ。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)