来年で開館30周年となる「ベネッセアートハウス直島」。その2022年に、直島に2つの新しいアート施設をオープンすることが発表された。1つは、「ベネッセアートサイト直島」における安藤忠雄設計の 9 つ目の建築となる「ヴァレーギャラリー」、そして、もう1つは、2006 年に開館したベネッセハウスパークにおける杉本博司の作品空間をさらに拡大・整備した「杉本博司ギャラリー 時の回廊」だ。

茶室披き
(画像=茶室披き)

▍ヴァレーギャラリー / Valley Gallery

ヴァレーギャラリー 撮影:宮脇慎太郎 
(画像=ヴァレーギャラリー 撮影:宮脇慎太郎 )

ベネッセハウスと地中美術館の間にある、李禹煥美術館向かいの山間位置する。その建築は、祠(ほこら)をイメージした安藤忠雄設計の半屋外建築だ。

ヴァレーギャラリー 撮影:矢野勝偉
(画像=ヴァレーギャラリー 撮影:矢野勝偉)

建物内外では草間彌生の《ナルシスの庭》が大規模に展示される。また、2006年より池の横に恒久展示されている小沢剛の《スラグブッダ 88-豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた 88 体の仏》も一部改変し、自然・建築・アートの共鳴をより深く体験できるかたちになるという。

▍杉本博司ギャラリー 時の回廊 / Hiroshi Sugimoto Gallery:Time Corridors

Hiroshi Sugimoto, Glass Tea House ” Mondrian” , 2014
(画像=Hiroshi Sugimoto, Glass Tea House ” Mondrian” , 2014 The work originally created for LE STANZE DEL VETRO, Venice by Pentagram Stiftung)

ホテル「ベネッセハウス パーク」には、現在も杉本博司の展示空間があるが、その展示空間を周辺のラウンジや、ボードルーム、屋外にまで拡げる。杉本の多様な作品群を継続的かつ本格的に鑑賞できる世界的にも他に例をみないギャラリーとなるという

現在もホテル内に展示されている《松林図》や《観念の形003オンデュロイド:平均曲率が0でない定数となる回転面》などに加え、新たに主要な写真シリーズや、ヴェニス、ヴェルサイユ、京都で展示され人々を魅了してきた硝子の茶室《聞鳥庵》が加わるようだ。

Hiroshi Sugimoto, Caribbean Sea, Jamaica, 1980, gelatin-silver print
(画像=Hiroshi Sugimoto, Caribbean Sea, Jamaica, 1980, gelatin-silver print, 119.4 x 149.2 cm (c) Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi)

また、ラウンジおよびボードルームは杉本が主宰する新素材研究所のデザインによりカフェ機能も備えて、一新される

なお、この記者発表を記念し、杉本博司と茶人・千宗屋によるトークが行われた。この記念トークの様子は11月中旬頃にベネッセアートサイト直島 公式サイトに公開されるという。

なお、両ギャラリーの第一期のアートディレクションは、ベネッセアートサイト直島 インターナショナル・アーティスティック・ディレクターである三木あき子が務める。2022年のオープンが今から楽しみだ。

【施設情報】
▍ヴァレーギャラリー / Valley Gallery

開館:2022年3月
鑑賞料金:ベネッセハウス ミュージアムの入館料に含む
[建築]
設計:安藤忠雄
施工:鹿島建設
[第一期展示作品]
草間彌生 《ナルシスの庭》1966/2022 年( JT International SA 寄贈・公益財団法人福武財団所蔵)
小沢剛 《スラグブッダ 88 -豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた 88 体の仏》2006 年(恒久設置)
アートディレクション:三木あき子

▍杉本博司ギャラリー 時の回廊 / Hiroshi Sugimoto Gallery:Time Corridors

開館:2022年3月
鑑賞料金:検討中
[建築]
改修設計:新素材研究所
施工:AGB、イシマル
[作品](予定)
既存作品:《カボット・ストリート・シネマ、マサチューセッツ》1978年、《カリブ海、ジャマイカ》1980 年、《ワールド・トレード・センター》1997 年、《光の教会》1997年など
新規展示作品:《Hyena-Jackal-Vulture》1976年、《華厳の滝》1977 年、《Past Presence 070, Grande Femme III, Alberto Giacometti》2016年、《Opticks》2018年、《光学硝子五輪塔》2011-2012年、その他護王神社模型など。その他の作品詳細は開館時に発表予定。なお、作品は今後状況に応じて数年毎に展示替えを行う予定。
アートディレクション:三木あき子

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文:ANDART編集部