東京都・外苑前にある「MAHO KUBOTA GALLERY」では、2021年10月21日(木)~2021年11月20日(土)の会期でニューヨークを拠点に制作するブライアン・アルフレッドの個展「NEW WORLD」を開催中。本記事では展示の様子と、作品の見どころについて紹介する。

MAHO KUBOTA GALLERY
(画像=MAHO KUBOTA GALLERY)

ブライアン・アルフレッドとは

1974年ピッツバーグ生まれ。ブライアン・アルフレッドの作品には私たちを取り巻く世界の現状が強く反映されています。紛争や社会の混乱の問題から、自然の風景の美しさまで、そして相反するその二つの間にあるすべてを扱いながらアルフレッドの興味は、私たち社会を生きる人々がいかにして、あるいはどんな環境に身をおいているからこそ私たち自身であるかということに注がれています。アルフレッドはペインティング、コラージュ、アニメーション映像といった複数のメディアによって現代社会を表現しています。エドワード・ホッパーやチャールズ・シーラーのようなアメリカの伝統的なペインターの影響を受ける一方、日本の浮世絵やポップカルチャーとの親和性も感じられます。アルフレッドの作品は世界各国の美術館やギャラリーで展示されており、同様にアニメーション映像も国際的な映像祭等で発表されております。グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館、サンフランシスコ近代美術館、デンバー美術館等多数の美術館に作品が収蔵されております。日本では2011年の文化庁メディア芸術祭のアート部門で優秀賞を受賞しております。

文章引用:https://www.mahokubota.com/

パンデミックの中で制作された作品

本展で展示されている作品は全てコロナ禍に制作されたという。会場内で一際存在感を放ち、展示のメインビジュアルともなっている《Street Lights》では、コロナ禍で街に人がいないにもかかわらず、「止まれ」を意味する赤く灯る信号機の光が奥の方まで灯っており、パンデミックによって突然立ち止まることを余儀なくされた世界の非日常的な静けさや虚無感のようなものを感じる。暗闇の中鮮やかに描かれた夕焼け空のグラデーションが非常に印象的。

ブライアン・アルフレッド《Street Lights》
(画像=ブライアン・アルフレッド《Street Lights》)

小ぶりな作品群では、風景画やポートレートまで様々なモチーフの作品が展示されている。風景画では建物、海、花など様々なモチーフが描かれ、どれをとっても季節感やその時間特有の空気を作品上から感じることができる。どの作品も全く違った魅力があるので、ぜひ見比べて好みの作品を探してみて欲しい。

MAHO KUBOTA GALLERY
(画像=MAHO KUBOTA GALLERY)

ゲーム用のサウンドトラックをを担当したミュージシャンに依頼され、サウンドトラックのアートワークとして制作された作品も。夕日のような蛍光ピンクの色使いがあまりにも美しく、音楽やゲームの世界観まで想像が膨らむ。
サウンドトラックをチェックする

写真奥側の壁に展示されている蛍光ピンクの作品が、サウンドトラック用のアートワーク《Hrishi’s Landscape》
(画像=写真奥側の壁に展示されている蛍光ピンクの作品が、サウンドトラック用のアートワーク《Hrishi’s Landscape》)

本展示では映像作品も出展されている。アニメーション作成や音楽活動など多方面でマルチに才能を見せる作者だが、本作はあえて音楽を使用せず静かに時間と共に変わりゆく風景をアニメーションで表現している。落ち着いて流れゆく映像は、時間を忘れてうっとり見入ってしまうような作品だった。

モニターに映され展示されていた映像作品
(画像=モニターに映され展示されていた映像作品)

ギャラリー奥に進むと、コラージュ作品が展示されている。細かく紙を切り貼りして制作された作品たちを見ると、作者の多才ぶりに改めて感服させられる。筆で描く時とは違った技術を要する中で、キャンバス作品で見せた表現力がコラージュ作品にも惜しみなく注がれているのが分かる。

花のコラージュ作品は、パンデミック中に、作者の奥さんから「花が欲しい」とリクエストされて作った立体の紙の花をさらにコラージュで表現したものだそう。パンデミック中は花屋も閉まっていたのだが、紙で花を自作するとは、自粛期間がアーティストにとって新しい創作のきっかけになっていたのがよくわかる。

コラージュ作品
(画像=コラージュ作品)

パンデミックの最中に生み出された「New World」の作品。普段見慣れた景色も新しい世界へと変わり、突然変化することを強いられた戸惑いや恐怖、そこから見いだす希望など、実際に描いた作者だけでなく、鑑賞者も各々が感じるものがあるのではないだろうか。ぜひ実際に鑑賞し、自分の中に密かに眠る新しい世界へ抱く感情と対面してほしい。

展覧会概要

展覧会名:ブライアン・アルフレッド「NEW WORLD」
会期:2021年10月21日(木) – 11月20 日(土) 12:00-7:00pm
   会期中 日・月および祝日は休廊、入場無料
   (Art Week Tokyo開催中の11/7(日)は10:00-18:00で開廊しております)
会場:MAHO KUBOTA GALLERY(東京都渋谷区神宮前 2-4-7 1F )

展覧会HPはこちら

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文・写真:ANDART編集部