日本人とイスラエル人、どうすればビジネス文化と行動の違いを克服できるのか?

日本人とイスラエル人、どうすればビジネス文化と行動の違いを克服できるのか?
(画像=日本人とイスラエル人、どうすればビジネス文化と行動の違いを克服できるのか?)

長い歴史を持つ、イスラエルと日本の文化。この2つの文化のつながりは興味深く、このところますます結びつきが強くなっています。日本の人々のイスラエル訪問に対する関心は高まりを見せ、実際に訪れた人は、信じられないほどさまざまな種類の人や味や色が混ざり合う様子に心を奪われます。

ビジネスにおいても、全く異なる文化を持つイスラエルと日本。そのギャップをどう克服できるのか、イスラエル日本友好協会・商工会議所事務局長であり、日本の専門家でもあるソフィーヤ・グゲレブさんにお話を伺いました。

ソフィーヤ・グゲレブ
(画像=ソフィーヤ・グゲレブ)

ソフィーヤ・グゲレブ
日本の専門家。ハイファ大学東アジア学科で修士号を取得。現在はイスラエル日本友好協会・商工会議所事務局長。書道、水墨画の専門家であり、自身も嗜む芸術家。

―――イスラエルと日本のビジネスマナーにおける違いは何だと思いますか?

ソフィーヤ・グゲレブ氏(以下:ソ):日本人は同じ土地に2,000年以上も暮らしていますが、イスラエルでは、民族離散ディアスポラによる2,000年の流浪の旅から人々が戻ってくると、ちゃんこ鍋のようにさまざまな民族が混じり合う状態が生じました。そのため、イスラエルのビジネスマナーは日本とはとても対照的です。

イスラエル人は表情やジェスチャーが生き生きとしているのが特徴です。日常会話でも相手に近づいて話し、その話し方も騒がしいので、イスラエルに到着したばかりの日本人は思わず怖気づいてしまうかもしれません。

ビジネスの意思決定場面でのイスラエル人は、話し声を大きくしたり、顔を目の前まで近づけたりしてもまだ足りないとでもいうように、とにかくせっかちで、即断を信条としています。そのビジネススタイルを見れば、きっと圧倒されることでしょう。

たとえば、会議中に割って入る、熱く語るといったようなカジュアルな行動や、比較的規模の小さな企業では厳しい上下関係がないために、出会ってすぐにスキンシップを交えたコミュニケーションを取っても自然な態度だと見なされます。また、そうした習慣のおかげで話し合いがスピーディーに進み、アイデアもすぐに昇華できます。

―――はじめてその光景を目の当たりにした日本人は、圧倒されてしまいそうですね。職場でのイスラエル人はどのような感じですか?

:ビジネスパーティーでは、ドレスコードがカジュアルであれば、イスラエル人が得意とする、気取りのない本音をぶつけあう意見交換が始まります。当然、ビジネス会議でもプライベートな質問が絶えることがありません。日本人にはショックかもしれませんが、将来の同僚について何もかも知りたいと思うイスラエル人にとって、こうした行動はパートナーシップのための極めて重要なステップとして考えられています。

その一方で、商売に関していえば、イスラエル人は、信念を曲げない手ごわいセールスパーソンとしても、「強引な売り込み」を得意とすることでも有名です。

―――確かに、イスラエルの方は商売上手なイメージがありますよね。それでは、イスラエル人はビジネスに対してどのような考え方を持っているのでしょうか?

:より質が高く斬新な製品やソリューションを見つけ出したいという熱い思いを育むのは、起業家精神に溢れたイスラエルの環境にあります。それは、イスラエル人にとってのビジネスの期限とは、ビジネスのスピードに依存するものであり、柔軟に変化するものだという考え(これは、厳しく管理された環境でビジネスを行ってきた人たちには由々しき事態)にも関係しています。言い方を変えると、日本でよく見られるように、同じタイプの製品を長期間提供し続ける行為は、イスラエルでは弊害として見なされる場合もあるということです。

しっかりと決められた役割や規則を尊重する、比較的均質な社会にいた日本人がイスラエルに到着すると、単に多様なだけでなく、相対立するものが幅広く混在する文化に出会うことになります。このような極端な文化の違いは、足元が崩れ落ちるような、衝撃的な体験に違いありません。何しろ、イスラエルと日本は、文化と行動の尺度で、全く正反対の位置にあるのですから。

ISRAERUより
(画像=ISRAERUより)

―――全く正反対のイスラエル人と日本人でビジネスはうまくいくのでしょうか?

:相反するもの同士だからこそ惹かれ合う場合があるのも事実。違いがあればあるほど、お互いを理解したいという思いは強くなり、理解力も高くなります。日本人がイスラエルで称賛されているのは、まさにイスラエル人に欠けているであろう性質なのです。

つまり、「冷静さ」、「落ち着いたボディランゲージ」、「相手のプライバシーや個人の空間を尊重する」、「不確かさやリスクよりも安定を重視する」、「無駄のない言葉遣い」です。さらに日本人は、その優れた管理スキル(特に大規模な組織において)や根気強さ、長期にわたる事業計画の遂行、イスラエル文化に対する飽くなき好奇心が高く評価されています。

一方、国際的な場面や世界各国とのつながりの中で発揮されるイスラエル人の気楽さが、日本のビジネスにとっては大きな魅力であり、大きな助けにもなります。

日本人にとってイスラエル訪問は楽ではありませんが、イスラエルを去るのはさらに大変です。帰国しても、イスラエルに芽生えた里ごころはいつまでも消えることがなく、再び戻りたいという思いが募ります。ですから、大いに困難はありますが、お互いに対する敬意が、相互の魅力や相手から学びたいという願いと相まって、二国間関係の揺るぎない基盤を形作っています。この関係は必ずや今後何年にもわたり続くでしょう。

―――ソフィーヤさん、ありがとうございました!