2021年7月31日、東京毎日オークションハウスで第679回毎日オークションが開催。絵画、版画、彫刻をメインに国内外の現代アーティストの作品が出品された。本記事は落札価格の高かったトップ5の作品とANDARTで取扱い中のアーティストの落札情報を紹介。落札価格は手数料込み。

目次

  1. 落札価格トップ5
  2. 今回のオークションのハイライト
  3. その他ANDART取扱いアーティスト落札結果

落札価格トップ5

1)草間彌生 《かぼちゃ》(1981年)
落札価格:約4億9,512万円

今回のオークションで圧倒的なトップとなったのは、世界的現代アーティスト・草間彌生の代名詞であるかぼちゃが描かれたキャンバス作品。黄色に大小無数の黒の水玉模様で輪郭や立体感が表現されたかぼちゃが、116.5 x 91 cmの縦長の画面に堂々と鎮座する姿はパワフルで、誰が見ても「草間彌生」だと分かるアイコニックな作品。(予想落札価格:2億円〜3億円)

2) 草間彌生 《ハンドバック》(1984年)
落札価格:7,922万円

同じく草間彌生のキャンバス作品がランクイン。こちらはモチーフが変わって、白地に赤の水玉模様で可愛らしいハンドバックが描かれた作品。ハンドバックの留め具がハートの形をしていたり、丸い持ち手などの曲線が強調されていたりと女性らしい雰囲気が漂う反面、黒に深緑の網目模様の背景でダークさもミックスされているのが草間彌生らしい。2009年にauとコラボレーションしてデザインした携帯電話「宇宙へ行くときのハンドバック」は、この作品を立体作品として再現している。(予想落札価格:5,000万円〜6,000万円)

可愛らしいモチーフを描いた作品では、他にも《靴》(1985年)というプリント作品が予想落札金額250万円〜350万円に対して約489万円で落札された。ANDARTでは1984年の《靴》を扱っている。

3)ロッカク アヤコ 《ARP5》(2007年)
落札価格:6,757万円

筆などを一切使わず、手で直接キャンバスや段ボールに絵を描くスタイルで制作するロッカクアヤコ。今作品の着物を着ているような作品は、日本出身のアーティストならではと言っても良いのかもしれない。カラフルで柔らかい色彩の重なりと少女像のコンビネーションでファンを獲得し続けるロッカクアヤコの今作品は、予想落札価格を大幅に上回る結果となった。(予想落札価格:1,000万円〜1,500万円)

4)草間彌生 《かぼちゃ》(1991年)
落札価格:6,930万円

4位に入った《かぼちゃ》は、1991年に製作されたキャンバス作品。色は1位の作品と同じく黄色×黒で、サイズは22.7 x 15.8 cmと小さめで、かぼちゃは長細く、背景の網目模様は大きめに描かれている。モノクロや赤、青系など様々な色で描かれているかぼちゃシリーズ。トップ5に3つも草間彌生の作品が並び、内2作品がかぼちゃを描いた作品がランクインした今回のオークション。予想落札価格を大きく上回る結果から見ても、草間彌生のかぼちゃ作品の根強い人気の高さが窺える。(予想落札価格:2,000万円〜3,000万円)

5)佐伯祐三 《パリ−風景》(1927年)
落札価格:2,330万円

佐伯祐三は、大阪府出身の大正・昭和初期の洋画家。画家としての活動期間は6年と短く、そのほとんどをパリで過ごした佐伯祐三は、1928年にわずか30歳の若さで、そのままフランスで亡くなった。パリの裏町の店先や広告を粗めのタッチで描いた風景画が有名。(予想落札価格:1,500万円〜2,500万円)

今回のオークションのハイライト

バンクシー 《Jack & Jill》(2005年)
落札価格:約1,456万円 (予想落札価格:500万円〜700万円)

イギリスのストリートアーティスト・バンクシーは、正体不明の謎めいた人物と政治的メッセージが込められた風刺的な内容の作品で世界中で大人気。笑いながら楽しそうに走る少女と少年の姿が一見爽やかに見えるが、彼らが着ているのは「POLICE」と入った警察の防弾ベスト。法律や権威などにより自由を抑圧されている人々の様子を表現していると考察される作品。

最低予想落札価格に対して約3倍、ANDARTで扱う同一作品《Jack and Jill (Police Kids)》の総額670万円に対して2.1倍以上と高額で落札。年々バンクシーの作品の価格は上昇しており、今作品もそのトレンドにしっかり乗っていることを示す結果となった。

その他ANDART取扱いアーティスト落札結果

アンディ・ウォーホル《APPLE from ADS 》(1985年)
落札価格:約1,922万円

ポップアートを代表するアメリカ人アーティスト、アンディ・ウォーホル。ポップアートのテーマは、大衆文化や大量生産・大量消費。ウォーホルはこれまでに自身の代名詞とも言えるシルクスクリーン技法で、数々の企業のロゴやアイテムをアートに変換・表現してきた。今作品は、Macintoshが発売された翌年にプリント制作されたもの。(予想落札価格:800万円〜1,300万円)

奈良美智《Painter》(2003年)
落札価格:約1,514万円

挑戦的な眼差しの少女をモチーフにした作品で知られる奈良美智は、アクリル絵具を使った絵画だけでなく、色鉛筆などでノートの切れ端や封筒、段ボールにラフに描いたドローイング作品も人気。鉛筆で薄く書かれた「待ってろお前にみせてやる」の文字に続くのは、筆を持った犬の「I’m a Painter(私は画家だ)」という言葉。作品を通して、奈良美智自身が何かしらの決意表明を宣言しているのかもしれない。(予想落札価格:700万円〜1千万円)

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