2020年度の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比17.6%増の1,841億円
~そのうち、新型コロナウイルス関連のプロジェクト件数は3,280件、支援者数124万人、支援額が156億円~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年度の国内クラウドファンディング市場を調査し、市場規模(新規プロジェクト支援額)、新規支援プロジェクト件数、支援者・投資者数、6類型別や参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
国内クラウドファンディングの新規プロジェクト支援額(市場規模)推移
1.市場概況
2020年度の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比17.6%増となる1,841億7,700万円と推計した。
2020年度の市場を6類型別にみると、寄付型、購入型、株式型、不動産型において新規プロジェクト支援額が大きく増加した。特に、寄付型及び購入型においては、新型コロナウイルス関連のプロジェクトが急増した。具体的には、「医療従事者、医療機関向けサービスへの応援・感謝」、「除菌や抗菌商品、マスクなどの購入」、「食品、食材ロスへの応援」、「動物施設、事業、飲食店、ライブハウスの事業・経営への支援、イベント救済」などがプロジェクト化された。新型コロナウイルス関連プロジェクトは、件数が3,280件、支援者数は124万人、支援額が156億円になったと推計する。一方、従来、主力を担っていた貸付型(ソーシャルレンディング)は、2017年~2018年頃に複数の貸付型のクラウドファンディング運営企業で行政処分が相次いだことで大幅に減少して以来、その影響は未だに続いている。
2.注目トピック
資金調達に加え情報発信の場へと進化し、実行力の伴ったオピニオンメディアに
クラウドファンディングは、これまでも資金調達の手段としてだけではなく、新製品等の認知向上、ブランディングの手段としても活用されてきた。コロナ禍によって、その活用が一層進化してきており、今後は、より効果的な新製品発表の施策として、クラウドファンディングとリンクしたオンラインデビューが一般的になっていくのではないかとみる。
こうした動きは、クラウドファンディングが社会に対するオピニオンメディアになりつつあることを示している。今後、クラウドファンディングは、人と人との連帯とともに社会を変えるメッセージングや実行力を伴ったメディアであると認識され、起案プロジェクトには、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やESG[環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)]の観点がより一層大切になると考えられる。ひいては社会的課題に密接した案件に取組む企業へのファイナンスにも活用され、今後の日本を支える重要な役割を担うことになると推察する。
3.将来展望
2021年度の市場は、株式型と不動産型は堅調に増加し、支援者の裾野が広がるものの、新型コロナウイルス関連プロジェクトが落ち着くことで寄付型と購入型は減少、貸付型は引き続き低迷が著しい見通しで、2021年度の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比18.5%減、2019年度並みの1,500億5,000万円の見込みである。
調査要綱
1.調査期間: 2021年2月~5月 2.調査対象: クラウドファンディング運営企業、利用企業等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、ならびにeメールによるヒアリング調査併用 |
<クラウドファンディング市場とは> 本調査におけるクラウドファンディングとは、資金を必要とするプロジェクト等がインターネットを介して不特定多数の人々から比較的少額な資金を調達する手段で、今回より「ファンド型」を「事業投資型」と「不動産型」に分割し、「寄付型」、「購入型」、「貸付型(ソーシャルレンディング)」「株式型」の6類型を対象とした。本調査における市場規模は、当該年度一年間の新規プロジェクト支援額から算出したが、ふるさと納税サイトは対象としていない。 ★ご注意:本リリースは、情報提供を目的としており、投資・支援その他の行動を勧誘し、特定企業を推奨するものではありません。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 社会貢献、芸術、イベント、復興、地域創生、新技術・開発、製造・販売等への支援、事業者向け貸付、不動産投資、未上場株式投資 |
出典資料について
資料名 | 2021年版 国内クラウドファンディングの市場動向 |
発刊日 | 2021年05月28日 |
体裁 | A4 243ページ |
定価 | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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