法人,節税対策,パーフェクトガイド
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

個人事業でも会社でも、商売をしている方にとって、避けて通れないのが「税金」の問題です。税金の世界は「知っている人が得をして、知らない人が損をする」ように出来ています。このマニュアルには、そんな私たちの節税ノウハウのすべてを詰め込みました。

節税は個人事業主から会社設立をして法人になるタイミングを見極める場合にも非常に重要なポイントになりますので、しっかりと理解をするようにしましょう。

1.はじめに

法人,節税対策,パーフェクトガイド
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

こんにちは、税理士の中村です。
個人事業でも会社でも、商売をしている方にとって、避けて通れないのが「税金」の問題です。税金の世界は「知っている人が得をして、知らない人が損をする」ように出来ています。

「税務署に行けば教えてくれる」
「確定申告のときには無料相談会とかやってるし」
と思っている方は確実に損をしていると断言できます。なぜなら、税務署に税金を多く持っていかれることはあっても、安くなる方法を教えてくれることはないし、無料相談会はいかに多くの人数を捌くかというものだからです。

税務調査を100 社以上経験し、無料相談会に相談税理士として何度も参加している私が言うのですから、間違いありません(笑)

そして、もっと驚くかもしれない現実をお伝えしましょう。
「税理士に任せているから節税してくれているだろう」
残念ながら、これも大きな誤解です。

確かに税理士は税金の専門家ではあります。
税務申告に関して言えば、利益が確定していれば、どの税理士事務所が処理をしても、納税額は同じになるでしょう。

しかし、利益が確定するまでの過程で「節税に積極的か、積極的でないか」というだけで納税額は全く違ってきます。税理士は基本的に対税務署を考えて、間違いのない申告をしたり、届出をしたりすることを代行することが仕事です。
会社側が何も言わず、まかせっきりにしていて、税理士事務所側から積極的に節税のアドバイスをしてくることは、ほとんどないのです。ベンチャーサポートはやりますけどね(笑)

「税理士事務所に任せているから節税もしてくれているだろう。」と思っている社長さんは、この現実を知った方がいいでしょう。だからこそ、社長自身が節税ノウハウの基礎を身につけることが重要になってきます。

このレポートでは「知って、実行する」を実践すれば全く節税をちゃんとしていない会社なら数百万円の節税効果が得られる内容を記載しました。ぜひ、最大限に活用してください。
そしてせっかく稼いだ利益を、個人や会社に残して、そのお金を次のビジネスに投資することで、どんどんビジネスを拡大していくのです。正しい節税を知って、会社にお金を残す経営を実現し、自分のビジネスを発展させていきましょう!

2.自分の会社の利益も正確に知らない社長たち

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

これさえあれば、もう他の節税テクニックの類を追い求める必要はないと思います。

しかし、私がたくさんの社長さんとお会いしていく中で、実際には、そんな節税テクニックに取りかかる「以前」の方が多いように感じます。これはとても大事なことですので、具体的な節税ノウハウをご紹介していく前に、まずは「節税前の準備」についてお話していきたいと思います。

さて、私たちのような税理士の元には、税金の悩みを抱えた社長さんがたくさん相談に来られます。そして、誰もが口を揃えて、こう言うのです。

「無駄な税金は払いたくない!節税したい!」
その気持ちはよくわかります。無駄な税金なんて、誰も払いたくはありません。

そこで、私は質問してみます。
「社長の会社の利益は、今どれくらいですか? 決算までの売上予想を加味した決算予測では、どのくらいの利益が残りそうですか?」
残念ながら、ほとんどの社長さんは答えられません。

さらに・・・
「社長、ご自分の役員報酬っていくらにしていますか? 定時株主総会の前にきちんとシミュレーションして、ベストの金額を決めていますか?」
と聞くと、ほぼ100%の方が、そんなことはしていないと言います。

自分の会社の正確な利益も知らない、決算でどのくらいの利益が残るかも予測していない、役員報酬も感覚で決めている・・・これでは、手の打ちようがありません。市販の節税に関する書籍にも、さまざまな節税の手法は書かれています。
しかし、そんなテクニック的なことを知る前に、節税には大前提があるのです。それを知らずにさまざまな節税手法を駆使したとしても、本当の意味での賢い節税はできません。

「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」
有名な孫子の言葉ですが、節税にもこれは当てはまります。
戦術だけ知っていてもダメなのです。 その前に、何をしないといけないのか?まずは、それをお伝えしていきましょう。

3.節税の大前提

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

賢い節税を実行するために、必ず押さえておかなければいけない大前提が2つあります。

(1) 自社の利益を、毎月きちんと把握すること
(2) 年間節税スケジュールに沿って、確実に実行すること
それほど難しいことではありません。
まずは(1)についてですが、これをしていない会社は、節税だけしようとしてもうまくいきません。毎月の売上、経費、利益を、きちんと把握することが第一歩です。これを「月次決算」といいます。

経理が苦手という社長は、会計事務所を活用して、毎月しっかり把握しましょう。
現時点で、いくら利益が残っているのか? どんな経費を払っているのか?
そんな自社の特長を知ることが大切です。実は、利益が残っていないのに、お金のかかる節税をしようとする人もたくさんいます。

そうならないためにも、(1)は基本中の基本ということで意識するようにしてください。次に、(2)ですが、以下の時系列の表を見てみてください。

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

この表は、3月決算の会社の例ですが、「節税には時期がある」ということをご理解いただけると思います。利益が出たと言っても、決算が終わってからでは節税はできません。

常に、前もって決算をシミュレーションしておくことで、慌てずに適切な節税をすることができます。それでは、どの時期に、どんな節税を考えていけばいいのか?ここからは、それを1つずつ見ていきましょう。

4.決算3ヵ月にやるべきこと

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決算の3ヶ月前に必ずやるべきことは、「決算対策シミュレーション」です。
(こちらは、ベンチャーサポートで使っている決算対策シートです↓)

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

9ヶ月分の「月次決算」の結果を元にして、残りの3ヶ月の売上、仕入、経費の予想をします。
ここで予想した残り3ヶ月の予想利益と、すでに確定している9ヶ月分の利益を合計して、決算の予想利益のシミュレーションを行います。

このとき、例えばシステム開発やホームページ制作の会社であれば、それぞれの案件を1つずつチェックして、決算までに納品が完了するものはどれだけあるのかまで確認しておきましょう。開発・制作料金を前払いで受け取っているけれども、まだ納品していない場合には、「前受金」として今期の売上にしなくてもいいかもしれません。

逆に、納品が終わっているけれども入金がされていないものがあれば、(まだ入金がなくても)今期の売上で計上しなければ、税務調査で大変なことになります。
そのような細かいところを、この決算対策シミュレーションの段階で詰めていくのです。

そして、次に、その利益から決算で計上する経費(減価償却費など)を差し引きます。
そこで残った予想利益を見ながら、残りの3ヶ月間で、どのような節税対策が可能かを検討するのです。
もちろん、決算の3ヶ月前だけではなく、2ヶ月前、1ヶ月前にも、毎月シミュレーションをし直します。これをきちんと行っていれば、決算終了日には「自分の会社の今期の売上、利益がほぼわかっていて、払うべき税金も把握している」という状態が作れます。

このシミュレーションシートは、難しいものでなくても結構ですので、ぜひ作成してみましょう。

5.決算直前にやるべきこと

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決算直前にすべきなのは、「節税チェック」です。
決算直前だけではなく、3ヶ月前のシミュレーションのときからでもいいのですが、必ずするようにしましょう。

今から使える節税がないか?
自分の業種に合う節税はないか?
実行し忘れている節税はないか?

それをしっかりチェックしましょう。
以下に、「節税チェックシート」を記載しました。これを使って、漏れのないように節税を実行してください。

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6.株主総会前(決算後)にやるべきこと

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決算が無事終了して、定時株主総会を開く前にやるべきことがあります。
それが「役員報酬シミュレーション」です。ベンチャーサポートでは、次のようなシミュレーションシートを使っています。

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節税の中でも、役員報酬の金額を決めるのは最も重要なポイントです。
これをいい加減に決めていては、いくら細かい節税の手法をたくさん行ったとしても、効果は知れています。
どのように役員報酬を決めていけばいいのかは、当マニュアルの【実践編】でご説明しています。もっとも効果のある節税ですので、後でじっくりとお読みください。

7.申告月(決算後2ヵ月以内)にやるべきこと

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法人の申告は、決算日から2ヶ月以内と決められています。
つまり、3月決算の法人であれば、5月末日までに申告しなければいけないということです。
この申告のときに、同時に確認しておいて欲しいことがあります。それが、「年間税金スケジュール」です。
(ベンチャーサポートでお客様にお渡ししている年間税金スケジュールです↓)

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直接、節税に影響するわけではないのですが、「自分の会社がいつ、どれくらいの税金を払わないといけないのか?」を把握しておくことは重要です。

節税でお金が出て行った後に、思ってもみない税金の納付書が届いた・・・なんてこともありますからね。
決算が終了した時点で、そこから1年間の納税予定は、だいたいわかるものです。法人税や消費税の予定納税の時期、源泉所得税の納付時期など、今後の1年間で、どのくらいの資金が税金として必要なのかを理解しておいてください。
ここまでやれば、節税の大前提はクリアです。すべて、難しいことではありません。社長自身でもできることです。以上の内容を理解した上で、次に進んでくださいね。

8.成功する節税のステップ

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(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

「節税」にも、いくつか種類があります。

私はそれを、次の4つに分けています。

1.お金が出ていかない最優先の王道的節税
2.お金は出ていくが将来につながる投資型節税
3.お金は出ていくが自分の会社を守るための保守的節税
4.お金が出ていき将来にはつながらない消費型節税

この4つの節税を、適切なステップで実行していくことが、節税の大前提になります。多くの方が、この順序を誤ります。利益が残ったら、(4)の消費的節税からはじめてしまうという方が多いのです。

正しい方法は、次の通りです。
最初に、お金を使うことなくできる節税方法である、「王道的節税」をしっかりやります。
例えば、役員報酬の金額を最適なラインに設定することや、旅費規程の作成、在庫の評価見直し、特別償却・税額控除といった節税です。これを行うだけで、会社によっては数百万円の節税効果は軽く出ます。

これをすることなく脱税してしまう人がいるというのは、本当に残念なことです。

次に、最初の「王道的節税」を実行した後でも利益が残っている場合。
このときに検討すべきなのは、(2)の「投資的節税」と、(3)の「保守的節税」です。

この2つは、どちらを先ということはないので、どちらも同時に、自分の会社に合うものを選ぶとよいでしょう。会社によっては広告宣伝費に投資するところもあれば、人材確保のために投資するところもあるでしょうし、倒産防止共済に加入するというところもあるでしょう。

まず、自分の会社にとって、どの節税を優先させたいかを決めて、優先順位の高いものから実行していきましょう。

「投資的節税」と「保守的節税」もやりきった後、それでも利益が残っている場合。このときは、2つ選択肢があります。

それは、「消費的節税」をやるか、そのまま税金を払うかです。
私は別に、消費的節税が絶対にダメだと言っているわけではありません。頑張って稼いだわけですから、自分へのご褒美として、ある程度の範囲内でするのはいいと思います。

ただ、その時期と順序を誤ると、自分が苦しくなるかもしれないということを言いたいだけです。
先ほどの鈴木さんの例も頭の片隅に置きながら、「消費的節税」をするのか、それとも、そのまま税金を支払うのかを選択しましょう。(提供:ベンチャーサポート税理士法人