IT企業の節税vol.1「ネット通販のモール料は、未払い計上ができる」
「いや~、今月楽天の売上すごい伸びたね。決算月だったからあんまり売上伸びたら税金心配だったんだけど、まあ増えるもんは仕方ないよね。」 「売上が伸びないって嘆いてるよりは、よっぽどいいじゃないですか。」 「だけど、決算で予想した数字より大分上にいってしまいましたよ。税金大丈夫かな?」 「確かに予想よりも多いですね~。とりあえず出来ることは全部しないといけないですね。」 「なんかど~んと経費になるものないですかね。」 「あれがありますよ、社長。」 「なに、なに?何かあったっけ?」 「社長がいっつも売上伸びたら、この金額もすごくなるなぁって言ってるやつですよ。」 「ああ!モール料か!あれで俺が楽天を食べさせてあげたんだよね(笑)。」 「ははは(笑)。社長のところは毎月の数字見るときはモール料を払ったときに経費にしてますよね。でも、あれって、実際は1ヶ月遅れで払ってるでしょう?」 「確かにそうですね。」 「その場合は決算で1か月分のモール料を未払計上することで経費にできるんですよ。」 「なるほど。それだったら、来月払うの結構な金額あるから大分利益減るな。」 「そうですね。こういう経費は忘れずにしっかり計上しないと損しますよ。」 「ですね。他もあったら全部教えて!」 |
この節税は、今期中に発生した費用ではあるものの、支払いをするのが翌期になる費用を、決算できっちりと経費として計上するというものです。
モール料だけでなく、人件費や社会保険料、電話代など通信費、広告宣伝費、リース料、保険料、消耗品などなど、いろいろなものが「未払金」として計上することができます。
その中でも、モール料は未払金計上がよく忘れられる経費です。ネット通販では当たり前でも、従来の商売ではなかった経費だからです。
しかし、売上が大きければ金額も大きくなる経費です。自社の経理がどのようになされているか、一度ご確認ください。
IT企業の節税vol.2「ネット通販の予約販売は前受金に」
「先生、決算間際にすごい売上が上がってしまいました!」 「商売的にはいいことですけど、税金が心配ですね。」 「そうなんです。うちの商品を雑誌でモデルの子が紹介した影響で爆発的な売れ行きになってるんですよ。」 「社長、でもそんなに売れて在庫はあったんですか?」 「いや、さすがにそんなに持ってないから今追加発注してます。」 「あ、それだったら売上に計上しなくてもいいかもしれませんよ。」 「え、売上は確定したときに計上しないとダメって先生言ってたじゃんたじゃないですか。」 「確かに売「売上は発生したときに計上するんですけど、もっと厳密に言うと発生したときっていうのは、商品を発送したときでいいんですよ。」 「へ~、注文はどんどん受けてるけど、商品の発送は1ヵ月後なんです。」 「そういう予約販売のような商品は、発送したとき、つまり来期の売上に計上するので問題はないんですよ。」 「なるほど!じゃ、今回の決算では税金の心配はしなくていいんですよね。」 「そういうことです。」 「でも代金は前払でもらってるから、入金までしてるけど、それでも売上にしなくていいの?」 「いいですよ。すでに入金している代金は前受金として処理して、売上に計上するのは来期で問題ありません。」 「そーなんだ。いや~、なんか助かった~。」 |
いつ売上を計上するのかというのは、会計処理を進める上でかなり重要なポイントになります。ネット通販などの場合には、通常、「商品を発送したとき」をもって売上を計上します。
ということは、ネット通販の会社では、人気商品などは先に入金をしてもらって予約待ちということもありますが、このような場合は、まだ発送をしていないので、売上に計上しなくて良いのです。
入金があると、すぐに売上に上げないといけないような気持ちになりますが、堂々と「前受金」として売上からはずしてください。そして、翌期に商品を発送したタイミングで売上に計上しましょう。
IT企業の節税vol.3「アドワーズは国内の広告会社を通せば消費税が控除対象に」
「今期はいっぱいアドワーズ広告使いました~。」 「そうですね。社長のところの広告費ってほとんどがアドワーズですよね。」 「ネット広告の方が効果測定もバッチリできるし、よくわからない広告するよりは大分ましです。」 「年間3,000万ですか。それにしてもなかなかな金額ですね~。」 「今期はアドワーズにぶっこんだな~。」 「社長、話は変わりますけど、消費税の金額、今期はだいたい700万くらいになりそうです。」 「あれ、思ってたより結構多いなぁ。どうしてそんなに多くなったんかな?」 「さっき話してたアドワーズ広告ですけどね、これって消費税かかってないんですよ。」 「え、どういうことですか??」 「消費税はサービスの提供が国内で行われているか、海外で行われているかによってかかるか、かからないかが決まるんですね。」 「はぁ。」 「アドワーズの場合はアメリカのgoogle .incが契約主体なので、役務の提供は海外で行われているんです。」 「???」 「まあ、要はアドワーズ広告を払うときはその金額の中に消費税は含まれていないからその分納付する消費税は多くなるんですよ。」 「じゃあ、同じリスティング広告のオーバチュアはどうなんですか?」 「オーバチュアは契約が日本法人になりますから、消費税がかかってます。なので、払っている料金の中に消費税が含まれてるんですよ。」 「痛いな~。これからももっとアドワーズ増えるんだけど、何かいい方法ってないのかな。」 「そうですね・・例えばアドワーズ広告を国内の広告代理店を通してやれば、消費税は控除できますよ。」 「へ~、そうやるだけで?」 「そうです。最近の広告会社はアドワーズ広告を効率化してくれたりもするので、そっちの面からもお徳かもしれませんね。 「早速探してみますね。」 |
アドワーズ広告の経費が消費税控除の対象にならないというのは、税務調査の現場でもよく指摘されるポイントです。ところが、国内の広告代理店に広告を発注するのは別です。
その代理店が主体でいろいろな広告媒体に出稿するのであれば、アドワーズ代金も税額控除が可能です。ただし、アドワーズの出稿エリアを国内に限定しておかなければいけません。
アドワーズ広告の金額が大きくなる会社は、一度この方法を検討してみてはいかがでしょうか。
IT企業の節税vol.4「HP制作などの前受金があれば売上を減らせる」
「先生、初めての決算なのでいろいろよろしくお願いしますね。」 「こちらこそ!社長のところは法人成りして1期目から業績好調ですね。」 「思ったより出足快調でした。個人時代に築いた人脈のおかげです。」 「でも思ったより利益が残っちゃいそうですね。 「そうなんです。税金が心配で・・。」 「社長のところってホームページの制作がメインですよね。制作料金ってどういう形でもらってますか?」 「うちは基本的には前払いしてもらうんです。昔は納品してからの未収がすごく多くて、大変だったからな~。」 「それだったら、この決算前の入金はほとんど前受ですよね?」 「そう言われればそうですね。2月・3月の入金(3月決算法人)はほとんど納品は4月とか5月ですね。」 「じゃあ、その金額は全部前受金として処理できるんで、今期の売上には上げなくても大丈夫ですよ。」 「へー、そうなんですか。だけど、それだったら赤字になるかも・・。赤字は嫌だなー。1期目から赤字ってなんか縁起悪いし。」 「赤字にはならないと思いますよ。前受金にはしますけど、その分その案件の作業をしてくれてたスタッフのお給料や外注費なんかを仕掛として計上しないとダメですからね。」 「それも初耳ですね。そんなことしないとダメなんですね。」 「そうですよ。社長の業界の税務調査では結構指摘される点なんで注意しないとダメですよ。」 「まあ、赤字にもならず、あんまり税金も払わなくていいみたいだし、とにかく良かったです。」 「来期からは、毎月前受と仕掛を計上して正しい利益を見ていきましょうか。その利益と、キャシュフローと両方見ていくと経営がよくわかりますよ。」 「それ、ぜひお願いします。2期も頑張ります!」 |
ホームページ制作会社などでは、制作代金を先にもらう会社も多いのではないでしょうか?
税法では、納品よりも先に代金をもらった場合は「前受金」として処理し、納品をした時点で「売上」に計上します。
ということは、期末に代金をもらっていて、納品がまだのものがあれば売上からはずせるのです。もし前受金経理をせずに、入金ベースや請求書ベースで売上を上げているのであれば、ぜひ検討してみてください。
IT企業の節税vol.5「SEO会社などの成功報酬型の料金も前受金に」
「堺先生、うちね、最近新しいサービス始めました。」 「へー、どんなサービスですか?」 「うち得意のSEOなんですけどね、今までは月額課金でやってたでしょ。それを成功報酬型のプランをやろうと思ってるんです。」 「確かにSEOは成功報酬の方が依頼する方も頼みやすいですもんね。」 「そうそう。一応、前払金で50万円もらって、3ヶ月以内にヤフーで1ページ目にきたら前払金以外にも成功報酬としてさらに50万円もらうっていう内容なんです。」 「なるほど。どんなワードでもいけるんですか?」 「いやー、ビックキーワードはなかなか難しいですけどね。複数ワードにすればだいたいいけるから、その辺はお客さんと最初に打合せして、どのワード狙うかっていうのもうちがコンサルして決めるんです。」 「それも一緒にやってくれるんですね。」 「結構ニーズありますよ。で、この取引の会計処理なんですけどね・・」 「はいはい。」 「この先にもらう50万ってやっぱり売上ですよね?」 「いや、この50万は前受金として処理できるから売上には上げなくてもいいですよ。」 「あ、そうなんですか。」 「だって、3ヶ月以内に1ページ目に表示できなかったら返金するんでしょ?それだったら先に入金してもらった時点では売上として確定してないですからね。」 「あ、そっか。じゃあ、3ヶ月して1ページ目に掲載できて成功したときに売上っていうのでいいんですね。」 「その通りです。決算のときとかに、確定してない売上を無駄に計上しないように気をつけましょうね。」 「はい、ありがとうございました~。」 |
売上の計上は、あくまで債権が確定したときです。具体的には、サービスが完了したときや商品を引き渡したとき。SEO会社のように成功報酬型で、先にお金を預っているような場合は、もしかしたら全額返金することもあります。
このようなときは、「債権が確定した」とは言えません。
サービスが完了して初めて「債権が確定」ですので、いったん売上ではなく「前受金」のように処理すると良いでしょう。
先に売上を計上して、無駄な税金を払ってしまわないように気をつけましょう。ただし、いくら成功報酬型といっても、実質的にお金をもらった時点で債権が確定するような場合は、前受金とすることができないこともあります。具体的な事案については、税理士に相談してください。
IT企業の節税vol.6「リスト取りの経費で節税」
「今期はまだ半分終わったところですけど、かなり利益が残ってきてますね。」 「最近出した商材がすごく売れてるんです。嬉しいことです。」 「すごいですね。猫のしつけのマニュアルがこんなに売れるとはびっくりです。」 「いや、僕もびっくりです(笑)。」 「今期はまだあと半分ありますけど、今から決算に向けてできる節税はやっていった方がいいですね。」 「今からやっておいた方がいいことって何かあるんですか?」 「そうですね。いろいろありますけど、社長前からリスト取りにもっとお金かけたいって言ってましたよね。」 「情報起業の業界はリストの数と質は大切ですからね。」 「だったら、この半期でどんどんリスト取りのための経費を使ったらどうですか?」 「あ、それいいですね。」 「メルマガ広告とか、PPC広告とか、アフィリ報酬を上げたりとか、リストを購入っていうのもありますよね。」 「それって全部経費になる支出なんですか。」 「なりますよ。リスト取得は広告費や販売促進費ですから、全額経費になりますよ。」 「それおいしいですね、うちの業界って節税手法少ないから、これはいいですね。」 「そうですね、業績がいいときにどんどんリストを取っていってください!」 |
情報起業やアフィリエイトをされている会社は、節税手法が少ないと言われています。その中で、「広告宣伝費」や「リスト購入費」は、節税に役立つ経費です。
何も節税をせずに放っておけば、利益の40%が税金で持っていかれます。
それならば、来期の売上につながる広告費やリスト購入費に、ドカンと資金を投下してみてはどうでしょうか?
特に、将来につながる投資型の節税として、「リスト取得」のための支出は経費になりますので、効果的だと思います。。
ただし、何点か注意点があります。PPC広告については、消費されたときに初めて経費になります。ですので、期末ギリギリにPPC広告へお金を入れても、経費には落ちません。メルマガ広告も同様で、広告が配信された日に経費に落ちますので、出稿のタイミングには注意してください。
メールアドレス等のリストの購入費は、原則は購入のときに経費へ落ちますが、リストの効果が数年に及ぶようなもので金額が大きいものは、「資産計上」を税務署から指摘される可能性があります。
詳しくは税理士に確認することをお勧めします。
IT企業の節税vol.7「HP作成は、30万円以上でも一括経費にできる場合あり」
「せんせー、うち利益残りそうでしょ。」 「あ~、今期好調ですもんね。利益残ってますよ。」 「うちのホームページそろそろ全面リニューアルしたいと思ってたんで、ガツンとお金かけて新しくしようと思ってるんだけど・・。」 「もう見積もりしてもらったんですか?」 「うん。知り合いの深江社長のところに見積もりしてもらったら100万ぐらいらしいです。」 「深江社長のところのデザインきれいだし、それぐらいはするでしょうね。」 「ですねー。この経費ってやっぱ全額経費にはならないよね?30万超えていたら資産計上しないといけないって先生いつも言ってるもんね。」 「社長、これってデザインだけですか?それともシステムも一緒になってる料金ですか?」 「今回はデザインだけです。」 「それだったら全額経費になりますね。ホームページの制作って言っても、内容によっては一発で経費になる場合と、社長が言うように30万以上の場合は資産計上しないとダメな場合とあるんです。」 「へー、じゃあ今回のはデザインだけだし、一発経費でいけるんだね。」 「そうですね。これで税金まあまあ減りましたね。」 「それは何よりです!」 |
ホームページの制作料金は、一括経費になる場合と、資産として計上して「減価償却」という方法で数年にわたって経費にしていく場合があります。一括で経費になるのは、「デザイン部分」の支払いをした場合。
「デザイン部分」は更新が頻繁に行われることが多く、1年以上同じデザインで使わないことが多いでしょう。
このように、1年未満で使い切ってしまうようなものは、一回で経費に落とすことが認めらています。具体的には、「外注費」や「広告宣伝費」で落とします。
ただし、注意が必要な点は、何年間も使う「システム部分」です。システム部分は、5年で減価償却し、経費になります。節税のためには一括経費にしたいところですので、内容をよく確認しましょう。
IT企業の節税vol.8「ネット通販の在庫の評価損」
「あぁ、在庫が残ってしまった~。」 「社長、どうしたんですか?」 「いや、売れると思っていっぱい仕入れた商品があったんだけど、ブームがすごく短くてほとんど残ってしまったんです。」 「やっちゃいましたね。でも、商売してればそういうこともありますよ。」 「いけると思ったんだけどなぁ、このオッパッピー人形。」 「私はダメだと思ってましたよ(笑)」 「もうオッパッピーブームが来ることないよね。」 「まあ、ゲッツの人とか最近また売れてるし絶対ってことはないでしょうけど、ブームはないでしょうね。」 「この在庫どうしよう。廃棄するのもあれだけど、このまま持ってたら経費にできないもんね。」 「社長、そういうときは評価損を計上すればいいんですよ。」 「評価損?」 「そうです。経費にするにはいくつか条件があるんですけど、廃棄しなくても経費にできますよ。」 「条件って?」 「まず1つ目は災害とかでボロボロになったとき。次に著しく陳腐化したとき。あと、破損とか型崩れ、棚ざらし、品質変化とかでもう普通の方法では販売できないようなときとかですね。」 「じゃあ、うちの場合は2番目の著しい陳腐化ってやつですね。」 「そうですね。オッパッピーは著しい陳腐化ですね(笑)」 「でも評価損にできて利益が減るならよかったですよ。」 「一つ注意点は、決算後にその商品を通常の価格で販売していたりすると、評価損として認められない可能性がありますので、気をつけましょうね。」 「大丈夫です。さすがにこれはもう通常の価格では売れないですね~(涙)」 |
評価損の計上は、税法では原則認めません。
しかし、例外的に評価損として経費にすることができるのは、以下のような場合です。
(1) 災害等で著しく損傷した場合
(2) 著しく陳腐化した場合
(3) 破損や型崩れ、棚ざらし、品質変化によって通常の方法によって販売できないようになった場合
今回は、(2)の「著しく陳腐化した場合」のケースでした。ブームが去ってしまって売れなくなった商品以外には、季節商品で売れ残って、今までの金額では販売できないことが明らかなものも含まれます。
他のケースについても、少しご説明します。
(1)のケースは、水害などで商品が水に浸かり、販売できないようなケースです。
(3)のケースは、長期間のデッドストックで品質が落ちてしまっているようなケースです。
どちらも、「通常価格では売れないことが明白」なことが条件です。税務調査のときは、評価損の妥当性がよく問題視されます。社内資料として、通常価格では販売できないことを主張できる根拠書類を残すようにしてください。
そうは言っても、この節税はキャッシュアウトを伴わない効果的な節税です。ぜひ検討してみましょう。
IT企業の節税vol.9「サーバー代を年払いして一括経費に」
「前に事務所の家賃とかって、1年分年払いすれば一気に経費にできるって言ってたじゃないですか?」 「はいはい、できますね。」 「ネット業界やと他にどんなのが年払いできるんですか?」 「そうですね。例えばレンタルサーバーとか、ドメインの使用料とかは年払いすれば経費にできますね。」 「なるほど。これも何か条件っていうのはあるんですか?」 「ありますよ。1つ目は実際にそのお金を期末までに払わないといけないということ。未払計上とかしててもダメですよってことですね。」 「それはそうですね。」 「それから、その1年分前払いを毎年継続しないといけないということです。」 「やったりやめたりはダメってことですね。」 「そうですね。条件はその2つくらいだけど、あと注意しないといけないのはキャッシュアウトを伴いますから、資金繰りには注意が必要ですよ。」 「税金は安くなっても、お金がなくなったら元も子もないで すからね。」 「ですね。そこに気をつけて実行してくださいね。」 |
年払いすることで、翌1年分の経費を算入できるということは、以前もご紹介しました。これをネット企業で考えた際に、忘れてはいけないのが、レンタルサーバー代です。
「サーバー代」という経費そのものがまだ新しい経費であるため、ネットに詳しくない税理士だと年払いの対象になることを理解していない可能性があります。家賃や生命保険は年払いが節税に役立つことが知られていますが、案外、サーバー代は見落としがちです。
しかし、サーバー代は、前払いが認められる経費です。自社のサーバー代を年払いしているか、一度確認してみてください。
IT企業の節税vol.10「ネット通販なら最終仕入単価を引き下げる」
「最近在庫が増えてきてますねぇー。」 「社長のところ取り扱ってる商品数が多いですもんね。」 「そうなんです。在庫ばっかり増えたら、お金ないのに利益が残って税金払うときに大変だからなー。」 「社長、よくわかってますね。そんなときにいい方法がありますよ。」 「おっ、待ってたよ。なに、なに?」 「その在庫の評価方法なんですけどね、いくつか方法があるんですよ。」 「へー。」 「個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、単純平均法、最終仕入原価法、売価還元法と8種類もあるんですよ。」 「もう3つ目くらいで見失いましたけど・・」 「まあ8種類を覚える必要はないので、大丈夫ですよ(笑)。」 「は~~、よかった。」 「このうちの最終仕入原価法ってやつをうまく使えば結構節税になります。」 「どんなことをすればいいんです?」 「まず自分の会社がさっきの8種類のうちどの方法を選んでいるかを確認してください。特に選んだ届出を出したことがなかったら、自動的に最終仕入原価法になっているので、問題はありませんが、そうでない場合は評価方法の変更手続きが必要です。」 「うちは何も届出したことないです。」 「それだったら最終仕入原価法っていう方法になりますね。簡単に言ったら、期末の最後に仕入れた単価をもって期末商品の評価をするという方法です。最終仕入単価が低いほど在庫の金額が小さくなるんですね。ということは・・」 「利益が少なくなる!」 「そう、その通りです。この方法を採用していると最終仕入単価を引き下げれば引き下げるほど節税になるんです。」 「決算だから特別に値引きしてよって頼むのは難しくない から出来ますよ。」 「じゃあ、早速依頼してみてください。」 |
最終仕入原価法とは、棚卸資産の評価方法の1つで、「期末直前に仕入れた棚卸資産の単価を、その商品の1年間の仕入価額とする方法」のことです。
つまり、期末直前に安い金額の仕入れをすることができれば、在庫の金額は『その仕入金額×個数』で計算しますので、1個1個の仕入金額を集計した場合よりも低くすることができるのです。
在庫金額が少ないということは、それだけ利益が減るということ。
つまり、節税になるということです。この方法自体は税法でも認められた、正しい評価方法です。なんとか得意先に依頼して、安く仕入れてみてください。
IT企業の節税vol.11「システム開発は検収基準に変更する」
「うちの会社の売上の計上基準なんだけど、前の税理士さんのときは納品したときに売上計上していたんです。」 「ええ、それで正しいですよ。」 「でも同業の社長に聞くと、そこは検収基準というのを採用して節税してるそうなんです。それってどういうことですか?」 「ああ、なるほど。売上っていうのは基本的に商品を引き渡したときに計上することになってるんです。」 「うんうん。」 「で、この「商品を引き渡したとき」っていうところがポイントで、具体的に言うと出荷したときやトラックなんかに積み込んだとき、または納品したときなんかになるんですけど、もう1つあるんです。それが相手先が検収したときです。」 「なるほど。それは相手が検収をあげてきたときに売上計上するってこと。」 「そういうことです。社長のところの業種なら開発案件を請け負って、出来上がったら納品しますよね。でも、それから相手先で動作確認とかチェックがありますよね。」 「そうそう。それで結構引っかかって、検収伸びたりするんです。」 「そういう場合、検収基準をとっておいた方が売上計上を遅くすることができるんですね。」 「なるほどなぁ。」 「なので例えば3月31日が決算で、納品が3月31日だった場合でも、検収が4月以降であれば来期の売上にすることができるんです。」 「よし、うちもこれからは検収基準にかえます!」 |
売上を計上する日は、基本的には「商品を引き渡した日」ということになっています。つまり、「納品日」が基本です。
しかし、合理的と認められて、かつ継続的に適用するのであれば、別の基準で売上を計上することも認めれらています。その一つが「検収基準」です。
検収基準とは、システムの制作のように「先方の検収が必要な商品で、検収通知書などが発行される場合」に選ぶことができます。「検収」は商売の流れの中で一番遅くなっていますので、売上の計上時期としては、もっとも遅らせることができる方法です。
ただし、売上を翌期へ繰り延べるのであれば、それに対応する外注費や人件費なども翌期へまわさなければいけません。すでに支払っている場合は、「仕掛品」として経費から外してから資産計上するようにしてください。
IT企業の節税vol.12「情報商材の購入で節税」
「先生、この前ヤフカテ登録を決算までに払っておくって聞きましたけど、他にも何かないですかね?」 「そうですねー、社長のところは知識が仕入れだから、いつも結構な金額の情報商材とかを購入していますよね。」 「まあ、うちは最新のノウハウを常に勉強しないとダメですから。」 「利益も結構残ってることですし、前から購入を迷っていた情報商材も買っておいたらいいんじゃないんですか?」 「結構金額高いですけど、これって経費にはなるんですか?」 「研修費ですからね、経費になりますよ。」 「へー、じゃあこのSEOのノウハウとPPCアフィリの商材に、あとこのツールも欲しかったんだよね。どうせだし、いっぱい買います。」 「それで勉強して、また来期ガッツリ稼いでいってください!」 |
ネットで商売をしている社長には馴染みのある「情報商材」。
中には、いろいろなツールや特典がついて、結構値段の高いものもあります。しかし、その分、本では出版されていないようなノウハウがあることもあります。このような情報商材も経費になりますので、税金で利益の40%持っていかれるのであれば、積極的に購入してください。
考えようによっては、4割引で購入するようなものです。PDFなど、ダウンロードするタイプの商材であれば、クレジットカードを切った日付で経費になります。期末ギリギリでもできる節税として、有効でしょう。
IT企業の節税vol.13「メルマガ広告は掲載日に注意」
「必要な経費は結構使ったし、メルマガ広告もいいやつは全部出しておきました。」 「メルマガ広告は1つ注意しておいてくださいね。」 「なんですか?」 「例えば3月決算で、3月末くらいに広告依頼をするとしますよね。」 「はい。」 「支払ったのは3月末なので全部経費になりそうな気がすると思うんですけど、メルマガの配信日が4月以降になっている場合とかは、いくら払っても経費にはならないんです。」 「えー、払ってもですか?」 「そうです。こういうのは広告の掲載日っていうのが大事で、メルマガだけでなくて雑誌広告とかも同じ扱いになるんです。」 「あー、やってしまったなー。いくつか4月以降のもありますよ。」 「それは前払費用ということで、来期の経費になってしまいますね。」 「そっかー、まあ仕方ないか・・」 |
広告宣伝費は、ネット企業にとって重要な経費であり、また投資的な節税にも役立つ重要な経費です。
しかし、「いつ経費になるか」は税務調査でも着目される重要なポイントです。基本的に、経費になるタイミングは「広告掲載日」です。つまり、メルマガ広告では配信された日、PPC広告ではクリックされた日、普通の雑誌広告では掲載された日が掲載日となります。
特に、メルマガ広告は前払いのものが多くあります。いつ配信されるかを確認して出稿してください!
IT企業の節税vol.14「高額なセミナーでも経費に」
「もう1つこれは経費になるのかなぁと思っているのがあるんですけど・・」 「どんな内容のものですか?」 「セミナーはセミナーなんですけど、結構高いんです。」 「へ~、いくらくらいのものですか?」 「2泊3日の合宿セミナーなんだけど、100万円です。」 「高!何教えてくれるんですか??でも、大丈夫ですよ。ちゃんと経費にできます。」 「あ、そうなんですね。それはよかった。」 「でも税務調査のときには高額なだけに目をつけられやすいところになりますから、証拠資料をちゃんと残しておいてくださいね。」 「どんなものを残しておけばいいですか?」 「まず、請求書や領収書ですね。それからセミナーの日程表とかあったら、それも残しておいてください。あと、教材とかも証拠資料になりますからちゃんとおいておきましょう。」 「わかりました。金額以上の価値があると思うので、しっかり勉強してきます!」 |
ネット企業の社長は、ノウハウや知識が経営の要諦です。
常に新しい情報を追いかけなければ、あっという間に置いていかれます。SEO、PPC広告、コピーライティング、アフィリエイト・・・
様々な分野において、日進月歩で新しいツールやテクニックが出てきますね。これらを学ぶためのお金も、もちろん経費に落ちます。
ただし、注意点が2点。
一つは、数ヶ月にわたるセミナーの場合です。セミナー代は、支払ったときに全額が経費に落ちるのではなく、サービスの提供を受けたときに経費に落ちます。ですので、決算をまたいで翌期にまで及ぶようなセミナーは、回数などの基準で按分した金額だけしか経費に落ちないのです。
もう一点の注意点は、セミナーの内容です。
自分のビジネスに直結するものであれば間違いなく経費ですが、直結しないものはダメです。例えば、ネット通販の社長が占いのセミナーに通っても経費になりません。「これからやろうと思ってる」などの拡大解釈は危険です。注意してください。
IT企業の節税vol.15「決算間際の商品の発送を遅らせる」
「先生、この前予約販売のときは前受金として処理をしたら来期の売上になりますって教えてもらったじゃないですか。」 「そうですね。」 「発送したときに売上計上してもいいってことだったんで、うちのような3月決算の会社が、3月の最後の週は発送しないで、4月になってから発送した場合って、売上は来期に計上してもいいんです?」 「大丈夫ですよ。あくまでいつ発送したかが基準ですから、問題はありませんよ。」 「じゃあ、今期は利益が残りそうなんでこの手も使えますね~。」 「まあ、お客さんが届くのが遅い!って怒らないかが心配ですけどね・・」 「あ、うちの商品はそんなに急いで送らなくても大丈夫なやつなんでOKですよ。」 「じゃあ、いいかもしれませんね。税務調査の現場では調査官は厳密にいつ発送したのかまで見てきますから、経理はしっかりしておきましょうね。」 「そんなに細かく見てくるんですか?」 「細かいですよー。ヤマトとか佐川の発送伝票まで1枚ずつめくっていきますからね。」 「税務署ってすごいんだなぁ・・・。」 |
売上の計上時期は、「商品を発送したとき」が基本でした。
これを「引渡基準」と言います。ネット通販の会社などは、期末の2日~3日分の商品発送を翌期首にまわすことができると、売上も翌期へまわすことになります。
ただし、税金ばかりに目を取られてしまうと、商品の発送が遅いということでクレームになる可能性があります。本末転倒にならないようにしてください。
IT企業の節税vol.16「人件費よりも外注費にして消費税を削減」
「先生、うちも配送業務でアルバイトが増えてきました。」 「そうですね。もう20人以上いますよね。どんどん会社が大きくなりますね。」 「まあ、それはいいんですけど毎月の給料も大変ですよ。」 「消費税も安くならないしね。」 「そうなんですか!せめて何かでうまく消費税だけでも安くする方法とかないんですか?」 「あることはありますよ。給料だと消費税の課税仕入の範囲から除かれるんだけど、例えば人材派遣会社とかに払う外注費とかは消費税の控除対象になるんです。」 「へー、人件費より外注費にした方が消費税は得なんですね。」 「そうですね。でも、派遣費用がアルバイトの給料より高かったらあんまり意味がないかもしれませんけどね。」 「確かに。でも一度知り合いの派遣会社に聞いてみよう。」 「社長のところだと繁忙期はだいたいわかってるので、派遣会社をうまく使ったら消費税だけじゃなくて、経費の節約にもなるかもしれませんね。」 |
通常の人件費よりも、派遣などの外注費にした方が、消費税分がお得です。
人数が多くなればなるほど、メリットも多くなります。人件費率の高い会社は、一度検討してみるのもいいかもしれません。
IT企業の節税vol.17「開発会社は印紙税を工夫する」
「請負契約書に貼る印紙代ってバカにならないんですよね~。」 「そうですよね。社長のところ多いですもんね、契約書。」 「何か安くなる方法とかないよね、さすがに?」 「いえ、一応ありますよ。」 「あるんですか!そんな美味しい話は、早く教えてよ~。」 「ははは、すいません。例えば請負契約をいくつかに分けた契約書にして、安くするっていう方法があります。」 「どうするんですか?」 「えーとですね、例えば請負金額が1億500万円だったとしますよね。その場合1つの契約書だと印紙は10万円になりますが、2つの契約書にして1億円と500万円にすると6万2千円になるんですよ。」 「変な税制ですねー。」 「これだけで3万8千円も印紙代が違いますからね。領収書なんかも同じですよ。」 「へー、他にもあるんですか?」 「そうですね。請負契約書って大体2通以上作成して、それぞれが保管するじゃないですか。」 「そうですね、うちもそうしてますね。」 「その場合はそれぞれの契約書に印紙を貼らないといけないんですね。」 「貼ってます、貼ってます。」 「そういうときに問題ないようであれば1通だけ契約書を作成して印紙も貼って正本ということにして、あとはコピーで済ませればそっちは貼らなくていいんですよ。」 「なるほど、うちの場合も正本1通だけでいいときも結構あるもんね。」 「でしょ。そういうときは、印紙がもったいないのでコピーで済ませてしまってください!」 |
たくさん契約書を作成する会社の場合、印紙代も年間トータルすればかなりな金額になります。印紙代は契約の金額に応じて決まったり、契約書の内容によって決まります。もし分けて差し支えない契約書ならば、複数枚に分けると印紙代が安くなることがあります。
また、契約書のコピーには、印紙は貼らなくてもOKです。もし2通作らずに、1通はコピーで済ますことができるならば、印紙代も1通分で助かります。「小さなことからコツコツと」ということで、意識してみましょう。(提供:ベンチャーサポート税理士法人)