2020年4月にFC展開を始めたヘアカラー専門店「スマートカラーKirei」が、この1年足らずで、直営店を含め52店舗まで拡大している。本拠地である関西のショッピングセンターを中心に出店が相次いでいるが、今後は東海、関東、九州にも出店が見えており、スピード感を持った全国進出を狙う。(※2021年4月号「注目のNEW FCビジネス」より)

中村 一隆 執行役員COO
(画像=中村 一隆 執行役員COO)
中村 一隆 執行役員COO
中村 一隆 執行役員COO(43)
昨今美容業界の中でも注目を集めているのが、ヘアカラー専門店だ。ヘアカラー市場を大きく分けると、自宅でセルフで染めるホームカラーと、美容院で染めるサロンカラーの2つとなり、合わせて1000億円の市場となっている。

30代後半以降の女性のグレイカラー(白髪染め)のニーズは高い。しかし、美容院に行くと、カラーをするだけでは終わらず、カットやトリートメントなどを提案され、6000〜8000円など高額になることもある。また滞在時間も長くなり「プロにやってほしい反面、煩わしさを感じる人が多い。根元染めだけでいい、となった時に根元染めだけをやってくれるお店のニーズが生まれた」

▲アリオ北砂店
(画像=▲アリオ北砂店)

スマートカラーKireiは、根元染めを2440円という価格で提供し、「チェーン店にはない専門店のクオリティ」をキャッチコピーにしている。低価格でサービスを提供している競合他社は多数あるが、他店に比べて大きな強みが2点ある。それは本体が長年美容院の経営をしてきたため、技術面に対して的確なフィードバックができること。

もう一つは、ヘアケアブランド「ミルボン」のヘアカラー剤を使用していることだ。「ミルボンのヘアカー剤をこの価格で提供できるのはうちだけ。それも美容業のバックボーンがあり10年以上の取引がある結果」低価格でクオリティが高いため、スマートカラーKire iのリピート率は約80%を誇る。

休眠美容師を積極採用
女性の社会復帰の手

開業費用は出店するショッピングモールなどの規模にもよるが、加盟金、物件取得費などを含めて、1000〜1500万円程度。月の来店平均客数が650名、客単価を3100円と設定すると、売り上げが201万5000円。利益率がおよそ18%のため、3年弱で投資回収きる計算だ。

スマートカラーKire iは女性の社会復帰の一助にもなっている。世の中には、結婚や出産を機に美容業界を離れた女性が大勢おり、休眠美容師は75万人に上る。「長時間労働ができない」「スキルが衰えている」など復職したくてもできない休眠美容師が多い中、ブランクに応じた技術研修を用意し、土日も休めるうえ勤務時間も決められるという、復職しやすい環境を整えている。

▲復職する女性美容師も多い
(画像=▲復職する女性美容師も多い)

カラーリスト採用サイトの反響は大きく、昨年実績で156名の採用が決まった。また、加盟店はこちらのサイトをひと月1万5000円で求人の掲載をすることができ、低コストで求人ができることも大きな魅力だ。安く済むがクオリティが低いホームカラー、キレイに染まるが価格が高いサロンカラーの2つであったヘアカラー市場に、「価格は素人、仕上がりはプロ級」という第3のポジションを確立した、スマートカラーKire i。すでに年内100店舗は見えている。