矢野経済研究所
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2019年度の企業向け研修サービス市場は前年度比0.8%増の5,270億円、2020年度は同1.3%減の5,200億円を予測

~コロナ禍の影響で失速避けられず、2020年度はマイナス成長へ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の企業向け研修サービス市場を調査し、マーケット動向のほか、コロナ禍がマーケットにもたらす影響評価やサービスニーズの変化などを踏まえた将来展望を明らかにした。

企業向け研修サービス市場規模推移・予測

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1.市場概況

2019年度の企業向け研修サービスの市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比0.8%増の5,270億円と推計した。伸長率は鈍化傾向が続いているが、プラス成長を確保している。
研修事業者各社の業績をみると、ここ数年は大半の研修事業者が業績を順調に拡大していたが、2019年度は微増収着地の事業者が中心であり、大幅減収となった事業者も散見されるなど、成長の鈍化傾向が鮮明になっている。

研修内容別では、ここ数年、企業の積極的な新卒採用を背景とした新人研修需要の拡大がマーケットの成長ドライバーとなっており、2019年度もその流れが続いている。
また、就労人口の減少により、若年層を中心とした人材採用難が続くなかで、企業の社員教育・人材育成に対する投資意欲は高まる傾向にあり、若手・中堅社員向け、次世代リーダー層向け、中間管理職向け、経営幹部候補向けといった各階層別の研修も好調に推移している。加えて、最近はデジタル技術を活用した企業経営を推進する動きが活発化しており、デジタル経営を推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)推進人材の育成機運も高まりをみせている。
労務関連では、働き方改革に紐づいたテーマである生産性向上や業務効率化関連の研修ニーズも高水準で推移したほか、ストレスチェック制度関連のサービス導入が一巡して鈍化傾向にあったメンタルヘルス関連研修の需要も、テレワーク普及による「在宅うつ」や、コロナ禍に伴う「コロナうつ」などの新たなサービスニーズを創出しており、マーケットを再び活性化している状況にある。さらには、パワハラ防止法関連の研修も2020年6月の施行を前にサービス需要が拡大した。

2.注目トピック

オンラインの活用は引き続き活発化、語学研修分野でもオンライン英会話の導入進む

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、研修サービスで提供されるオンラインサービスが増加基調にあるが、なかでもオンラインによる語学研修ニーズが高まりをみせており、オンライン英会話を導入する企業が増えている。

従来の法人向け英会話サービスの対象者は、海外出張や海外企業とのコミュニケーションを取る必要のある一部社員に限定されていたが、日本企業のグローバル化=社員の多国籍化の進展により、社内で英語を使用せざるを得ない場面が散見されるようになったことを受けて、サービスの対象者が全社員に広がりを見せており、企業はスクールよりローコストなオンラインを活用したサービスを採り入れるようになっている。

コロナ禍の影響を受けて、企業向け研修領域のデジタルシフトが急速に進む中で、語学研修事業者においても、オンラインサービスへの対応力の強化が急務課題といえるだろう。

3.将来展望

2020年度の企業向け研修サービス市場(事業者売上高ベース)は、コロナ禍によるマイナス影響を通年度で受けるかたちで企業業績が悪化し、研修予算の削減圧力が高まるとみて、前年度比1.3%減の5,200億円とマイナス成長を予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年4月~7月
2.調査対象: 企業向け研修サービスを展開している事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・FAX等によるアンケート調査、ならびに文献調査併用
<企業向け研修サービスとは>
本調査における企業向け研修サービスとは、企業向けに「事業」として実施される研修・教育のことであり、自社内の研修部署による自社社員の教育は含まれない。ただし、研修子会社により、親会社またはグループ会社向けに実施される研修サービスは「事業」として含める。

研修形態としては、クラスルーム形式(公開プログラム、カスタマイズプログラム)や通信教育、eラーニング、組織診断・アセスメントなどを対象とした。但し、「教材」に関しては、「クラスルーム研修」「通信教育」に予め組み込まれていない限り、含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
企業向け研修サービス

出典資料について

資料名2020 企業向け研修サービス市場の実態と展望
発刊日2020年07月29日
体裁A4 728ページ
定価150,000円(税別)

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