全国金融M&A研究会が主催する「2020年M&Aバンクオブザイヤー」の受賞行を取り上げる企画の第四弾。

日本全国の地域金融機関でM&Aや事業承継を担当されている行員(BANKER)に各行の取り組みや銀行のカラー、地域の事業承継事情など他行への参考になる情報をインタビュー。

第4回目は、近畿ブロックにおいて「地域貢献大賞」を受賞した滋賀銀行でM&Aチームを統括している、営業統轄部 地方創生担当部長 菅井 敏雄氏にインタビューした。

共栄共存。近江商人気質の滋賀県

BANKERS
滋賀銀行の菅井氏。琵琶湖を望む本店の屋上より撮影

――滋賀県の県民性、ビジネスの特長はどんなところですか。

菅井:滋賀県の県民性についてですが、ビジネスについては、滋賀県にはいまだに近江商人の気概が残っているように感じます。近江商人といえば有名な言葉に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」があります。これは、商売は売り手、買い手双方が得するのはもちろん、社会にも貢献できるものでなければならないという意味です。

この言葉に触発される滋賀県民が多いのは事実で、「win-win-win」という三方からの共存共栄をはかる精神というのは地元経営者の理念の根底にあるのではないでしょうか?

――コロナウィルスは滋賀県内の企業にどのような影響がありましたか?

菅井:やはり、先行きの不安もあり、ホテルや飲食関係の企業から譲渡に関するご相談がかなり増えています。

また、「先行き不安」というのは、あらゆる業界で全体的に強まっているように感じました。実際に今、このコロナで生じた「先行き不安」と事業所個々の「事業承継問題」とがオーバーラップしての譲渡案件がかなり増えています。

今年もこれからそのようなご相談が増えるのは間違いないと思います。ただ、私は今以上にM&A案件は増加していくだろうと思っています。というのも、私も営業店での勤務経験が長いので肌感覚で申し上げますと、非常に多くの経営者様が『事業承継問題』で悩んでいるという事実がありますから。

そういったお取引先の課題解決に向けた取り組みとして2020年11月25日に滋賀銀行と日本M&Aセンター様と共催で「SDGs事業承継・M&Aカンファレンス2020」という国内最大級のイベントを完全web開催方式にて開催します。

新型コロナウイルスの影響でリアルのイベントのキャンセルが相次ぐ中、この状況下でも開催できる形態を考え、『地域金融機関を代表して持続可能な地域社会の創造に貢献する。』という強い想いで開催を決定しました。

もともと、2020年2月にリアル開催としてM&Aカンファレンスを開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期となりました。前回はお申し込みが殺到し2,000名を超えるお取引先にご来場をいただく予定となり、会場のキャパシティの関係上、途中で申込受付をストップしました。

一方、今回は完全web開催となりますので、会場のキャパシティに制限が無く、ご来場をいただく手間をお掛けする事無く、稀少性の高い情報をお届けできる事となりましたので、10,000名を超えるお取引先にご参加いただく事を想定しています。

今回のカンファレンスは、滋賀銀行と日本M&Aセンターと協業をさせて頂く形のM&Aアドバイザリーの商品説明書と言っても過言ではありません。日本M&Aセンターの日本一の圧倒的な強みをこのカンファレンスに集約していただいている形です。ここ数年多くのお取引先にお喜びいただいている我々のサービスを、全国の中堅中小企業経営者の方々を中心として多くの方々にお届けする事で課題解決のお役に立ちたいと考えています。

M&Aのマーケティング&セールスの仕組みを標準化する
日本M&Aセンター×滋賀銀行方式

BANKERS

――M&A業務における滋賀銀行内の仕組みはどのようなものでしょうか。

菅井:通常ほかの金融機関等では、M&Aコンサルタントが、マーケティングからエグゼキューションまで一気通貫で行います。一方で、私たちは入り口のリードジェネレーションの部分は営業店が中心に行う仕組みを構築し、本部のM&A担当は専門家として日本M&Aセンター様と連携して売りアドバイザリーの契約締結とエグゼキューションに集中できる仕組を構築しています。

具体的には、今回のM&Aカンファレンスがリードジェネレーションの最たるものです。我々のサービスをM&Aカンファレンスを通じて幅広いお取引先に知っていただく。また、知って頂く為の参加誘致を営業店から行う。その後、お取引先のニーズに応じて本部専門家との面談をセッティングする事でお取引先の課題解決に向き合います。結果として、課題解決の手法としてM&Aの活用が選択される事になります。

我々のご提案手法の特徴は、あくまでもニュートラルな視点でお取引先に事実をご説明するという所にあります。すなわち、金融機関単独でお申し込みいただく場合、専門会社単独にお申し込みいただく場合、そして我々がご提供する協働受託形式でお申し込み頂く場合、それぞれのメリットデメリットを事実に基づきご説明をし、アドバイザリーのご依頼に際してお取引先の意思決定をサポートします。

まず、営業店では、上記の基本的なご案内を出来る様にマニュアルを策定し勉強会や動画コンテンツを通じて情報や知識を補完しています。

これによって、最大化されたリードに対して、営業店が質の高いトスアップをできる仕組みが構築され、本部専門家には質の高い情報が大量に供給される事となります。この情報に対して、専門家の知見をもとにお取引先の課題解決に向き合う事で結果として、売り受託が爆発的に増加しています。

――そこで悩んでいるというか、つまずいている銀行さんが一番多いように思いますが、まずは今後支店で成功例をつくっていくわけでしょうか?

菅井:そうですね。なぜ、ほかの銀行が悩んでいるかといえば、本部専門家と営業店の役割や業務内容について、はっきりさせていないからだと思います。

と申しますのも、M&Aアドバイザーの仕事はアポ取りから、デューデリジェンス、はてはお客様の心理的なケアなど範囲が広く、一括りにしても業務内容が非常にザックリとしています。

滋賀銀行では、リード創出からトスアップを営業店が担い、そこから上がってくる質の高い情報に対して本部専門家が、専門的知見でもって課題解決に当たる、この役割分担の明確化に成功しています。

私たち滋賀銀行がお取引先へご提案する、滋賀銀行と日本M&Aセンター様との“協働受託アドバイザリーサービス”これは、他社・他行のサービスと事実ベースで比較いただいた場合、高い確率でお取引先から選んでいただける「最強の商品」であると考えています。

無理やり我々のサービスを売り込むという事では無く、事実をありのまま営業店から説明する事で多くのお取引先から売りアドバイザリーの依頼をいただいています。

我々滋賀銀行は、ここ6年程度で今の協働受託のサービス開発・提供に磨きをかけてきましたが、日本M&Aセンター様と共同してシステムを構築している銀行としては日本一であると自負しております。

日本M&Aセンターと共にM&A変革を目指す

BANKERS
屋上にある社、地域経済活性化・事業承継問題解決を願い定期的に手を合わせに来る

――現在のM&Aチームはどういうメンバーでしょうか?

菅井:日本M&Aセンター様と提携してM&A業務に注力しはじめたのは6年前から。その頃から経験を積んでいる者が多く、チームのメンバー5名のキャリアは1~6年程度です。

現在、この部署を希望している、やる気のある人材を行内で集めています。やはり、通常の銀行業務と比較して専門性も高く、ハードワークも求められます。その意味では、よく日本M&Aセンター三宅社長様がおっしゃる、「ウォームハート・クールヘッド」この両輪を備えた人材を配置しています。

数年まではここまでではありませんでしたが、今となりましては、M&A業務は、行内の全員が憧れる花形の業務になりつつあると自負していますし、今後も成長意欲と挑戦意欲のあるメンバーでチームを構成し、より筋肉質なチームにしていく事でお取引先のお役に立っていきたいですね。

――M&Aセンターに今後新たに期待することがありましたら教えてください。

菅井:日本M&Aセンター様に新たに期待することですか。いや、もうすでに我々の期待値をはるかに超えていますね。

例えば、本年6月には 大津駅前には大津事務所を開設いただき、当行の専門担当者も厚みを増していただいた事により、従来にも増してスムーズな協業ができるようになりましたし、デジタル対応強化に向けて両社専用のオンラインストレージの導入も勧めていただいています。当行単独でなし得ない事がすごい速度で実現できている実感があります。

また、今後の更なる協業強化を地域に発信するべくCM制作を実施しました。今回のM&Aカンファレンスも併せまして、滋賀銀行と日本M&Aセンター様との協働受託体制について、今後更に力を入れて情報発信をする事で、地域経済の発展、事業承継問題の解決に貢献してまいる所存です。