三温度帯配送に対応したECサイトを構築する方法を紹介!

食品をはじめ、飲料や一部の化粧品を販売するECサイトは、三温度帯配送に対応する必要があります。EC事業者のなかには、費用や手間などコストがかかるため、導入を迷われている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、三温度帯配送に対応するメリットだけではなく、三温度帯配送に対応しなかった場合の課題やトラブルなども解説します。三温度帯配送に対応したECサイトの構築方法についても紹介しますので、三温度帯配送に対応するか悩んでいるEC事業者は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. 食品ECに欠かせない’’三温度帯配送’’とは?
    1. 常温便
    2. 冷蔵便(クール便)
    3. 冷凍便
  2. 三温度帯配送を利用するECサイトの例
  3. 三温度帯配送に対応するメリット
    1. 顧客満足度の向上につながる
    2. 取り扱う商品の幅を増やせる
    3. まとめ買いを促進できる
    4. 競合他社との差別化を図れる
  4. 三温度帯配送に対応していないとどうなるのか?
    1. 購入フローが複雑化する
    2. まとめ買いをする顧客が増えづらい
  5. 温度帯ごとに送料を設定する理由
  6. 送料の例を紹介
    1. 常温商品のみを注文
    2. 冷蔵商品のみを注文
    3. 常温・冷蔵・冷凍を同時注文
  7. futureshopでは三温度帯配送に対応したECサイトを構築できます
  8. まとめ

食品ECに欠かせない’’三温度帯配送’’とは?

食品ECサイトを運営するうえで欠かせないのが、三温度帯配送です。三温度帯配送とは、常温便・冷蔵便(クール便)・冷凍便の異なる温度帯に対応した配送方法を指します。

まずは、三温度帯配送の3つの温度帯を詳しく理解していきましょう。

常温便

常温便は、原則として温度や湿度の管理をせず配送する方法です。一般的に常温便は、10〜15℃または20℃で保管・配送されます。ただし実際の倉庫や配送中の環境では気温が上下するため、常温便は、温度や湿度の影響を受けにくい商品の配送に適しています。

なお、夏場の高温や冬場の低温が商品の品質に影響する場合は、倉庫内の温度管理や配送時の簡易保冷、一時的にクール便に切り替える(夏季クール便)など、一定の対策を講じることもあります。

主に缶詰や缶ジュース、非常食などが代表的です。食品以外にも、紙製品や金属製品なども常温便で配送されます。

冷蔵便(クール便)

冷蔵便(クール便)は、5〜マイナス5℃の状態を維持して配送する方法です。10℃以下で配送するものは、全て「冷蔵便」と呼ぶケースと、冷蔵・冷凍を分けて呼称するケースがあります。冷蔵便は、鮮度維持が必要な肉や魚、菌の繁殖リスクや分離の可能性がある乳製品などの配送に適しています。賞味期限が短い商品が多いため、スピーディーな出荷・配送体制が必要です。

冷凍便

冷凍便は、マイナス15℃以下で商品を冷凍したまま配送する方法です。冷凍食品やアイスクリームをはじめ、一部の肉や魚類も、長距離輸送やストック性を高めるなどの目的で冷凍便で配送されます。常温便や冷蔵便に比べると、冷凍便に対応している物流倉庫は少ない傾向にあります。

上記のほかにも、温度変化に敏感な商品を15〜25℃で保管・配送する「定温」、冷蔵の中でも0〜5℃前後でより厳しく鮮度管理が必要な「チルド」、生マグロや医薬品など冷凍でも保存しきれないものを管理する「超低温」も存在し、それらを組み合わせて「4温度帯」「5温度帯」などと呼ばれる場合もあります。

この記事では、基本的な三温度帯から解説しています。

三温度帯配送を利用するECサイトの例

三温度帯配送を利用するECサイトは、食品をはじめ以下のようなECサイトが挙げられます。

・食品(生鮮品・スイーツ・冷凍食品)
・医薬品や化粧品(品質維持のため温度管理が必要な商品)
・雑貨や飲料(アロマオイルや植物を含む、温度に影響される商品)

三温度帯配送は、食品だけでなく温度管理が必要な医薬品や雑貨も対象です。商品を適切な状態で配送するため、取り扱っている商品に合わせて三温度帯配送を利用しましょう。

三温度帯配送に対応するメリット

三温度帯配送に対応するメリットは、以下が挙げられます。

・顧客満足度の向上につながる
・取り扱う商品の幅を増やせる
・まとめ買いを促進できる
・競合他社との差別化を図れる

それぞれを詳しく見ていきましょう。

顧客満足度の向上につながる

食品ECにおいて配送時の温度管理は、顧客満足度を大きく左右する要因の1つです。特に生鮮食品や冷凍食品を扱う場合、適切な温度管理は必須です。温度管理が適切でないと、商品が「傷んでいた」「溶けていた」といったクレームにつながる可能性があります。

三温度帯配送に対応すると、品質を維持したまま商品を届けられ、顧客から高い評価を得られやすくなります。顧客満足度が高まれば、リピート購入の促進や口コミによる新規顧客の獲得も期待できるでしょう。

取り扱う商品の幅を増やせる

三温度帯配送を導入すると、取り扱える商品の種類が大幅に増えるのもメリットです。常温商品のみの販売では、取り扱える商品が限定されてしまいますが、冷蔵・冷凍商品の取り扱いが可能になれば、生鮮食品や冷凍食品、スイーツなど幅広いジャンルの販売が可能になります。実際に「元々は常温の焼き菓子のみを販売していたが、生菓子のニーズに応えるため冷蔵・冷凍商品を追加して単価アップを実現した」といったケースもあります。

多様な商品を取り揃えると、顧客の選択肢が増え、より多くのニーズに応えられるようになり、新たな顧客層の獲得にもつながります。

まとめ買いを促進できる

常温・冷蔵・冷凍の商品を同時に購入しやすくなり、まとめ買いを促進できるのも三温度帯配送に対応するメリットです。調味料(常温)、生鮮食品(冷蔵)、冷凍食品(冷凍)を一度に注文でき、顧客は複数回に分けて購入する必要がなくなり、利便性が向上します。例えば、冷凍スイーツ・常温紅茶・冷蔵チーズでアフタヌーンティーセットを作るなど、セット商品化することも可能です。まとめ買いが可能になると、顧客層の満足度が高まるだけでなく、客単価の向上やリピート購入の増加にもつながるでしょう。

「配送が分かれてしまい、送料が高くなって買いにくくなるのでは?」という懸念がある場合には、セット購入での送料優遇施策を実施したり、常温商品も冷蔵で配送できるようユーザー側で選べるようにといった工夫も可能です。送料については記事の下部で詳しく説明しています。

競合他社との差別化を図れる

三温度帯配送に対応すると、配送の品質を保証し、競合他社との差を明確にできます。生鮮食品や冷凍食品を扱う場合、適切な温度管理がされているか、傷んでいるなどトラブルを懸念している顧客も少なくありません。ECカートのシステムによっては、クール便などの温度帯マークは自動表示することが可能です。

対応していないECサイトと比較して、安心して利用できる点をアピールすると、競合他社より魅力的に映るでしょう。

三温度帯配送に対応していないとどうなるのか?

三温度帯配送はコストがかかるため、対応するか悩んでいるEC事業者の方もいるのではないでしょうか。三温度帯配送に対応していないと、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

・購入フローが複雑化する
・まとめ買いをする顧客が増えづらい

三温度帯配送に対応しないと起こり得るトラブルを詳しく見ていきましょう。

購入フローが複雑化する

三温度帯配送に対応した表示・導線が出来ていないECサイトでは、異なる温度帯の商品を同時に購入できないケースが発生します。例えば、顧客が冷蔵食品と冷凍食品をカートに入れ、決済を進めようとした際に「温度帯が異なるため、同時に購入できません」とエラーが表示されます。

顧客によってはエラーの仕組みを理解できず、手続きを途中で諦め、サイトから離脱してしまう可能性があります。さらに、温度帯ごとに決済手続きを求められると、購入意欲が削がれ、リピート購入は期待できないでしょう。スムーズな購入体験を提供するためにも、三温度帯配送に対応した表示や、わかりやすい決済方法の対応は欠かせません。

まとめ買いをする顧客が増えづらい

三温度帯配送にECのシステムが対応していないと、異なる温度帯の商品を同時に購入できないため、まとめ買いを促進する施策が機能しにくくなります。「〇〇円以上で送料無料」や「まとめ買いでクーポン適用」といった販売促進策を実施しても、同じ温度帯の商品しか一度に購入できないため、顧客の購入金額が伸びにくくなります。

三温度帯に対応していない場合は、温度帯ごとに適切な商品をレコメンドする機能を導入するなど、同じ温度帯だけでまとめ買いを促すことも可能です。ただし温度帯をまたぐニーズに応えることができないため、商品のバリエーションやオペレーションリソースを考えて徐々に対応範囲を増やすことをおすすめします。

温度帯ごとに送料を設定する理由

常温便や冷蔵便、冷凍便にそれぞれ送料が設定されているのは、温度管理や配送にかかる手間が関係しているためです。送料の違いやオプション料金を見てみましょう。

配送の手間 配送にかかる費用
常温便 一般的な宅配便と同様 最も安価
冷蔵便 低温維持が必要 常温便よりやや高い(クール便オプション料金が追加)
冷凍便 マイナス温度を維持する特殊設備が必要 最も高額(冷蔵便よりさらに高いオプション料金が発生するケースもある)

冷蔵便や冷凍便は、適切な温度を維持するために特別な輸送手段が必要です。特に冷凍便は、ドライアイスの使用や特殊な冷凍設備が必要になるため、さらにコストがかかります。

こうした違いを考慮せずに送料を一律にすると、冷蔵・冷凍便を扱う店舗ほど負担が増えてしまいます。結果として販売価格に上乗せせざるを得なくなるため、適切な送料設定や対応商品選定が必要です。

送料の例を紹介

三温度帯配送に対応したECサイトで異なる商品を注文する際の、送料の例を紹介します。

三温度帯配送に対応したECサイトを構築する方法を紹介!
冷蔵便・冷凍便・常温便の三温度帯配送
futureshopでは、商品ごとにクール便(冷蔵)・クール便(冷凍)の配送温度帯を指定でき、温度帯ごとに配送するための送料計算ができます。

常温商品のみを注文

常温便のみの商品を注文する場合は、1個口の送料です。オプション料金も発生しないため、仮に、全国一律500円という送料設定であれば送料は500円です。通常の宅急便と同様のイメージであり、送料計算は複雑になりません。

冷蔵商品のみを注文

冷蔵商品のみを注文した場合は、常温便のみと同様1個口の送料が適用されます。クール便手数料を300円と設定している場合は以下のとおりです。

・送料(500円)×1
・クール便手数料(300円)×1

送料と手数料を合わせ、800円の送料がかかります。これは冷凍便のみを注文した際も同様です。

常温・冷蔵・冷凍を同時注文

常温便・冷蔵便・冷凍便商品を同時に注文する場合は、別配送となり、3個口の送料が適用されます。冷蔵便と冷凍便には、それぞれクール便手数料300円が加算されます。

・送料(500円)×3
・クール便手数料(300円)×2

その結果、送料は総額2,100円になります。

ただし、「常温便配送の商品でも、冷蔵便または冷凍便に同梱して配送できるようにする」などの設定により、顧客の送料負担を減らすことも可能です。ニーズにあった設定のできるECカートシステムを選ぶようにしましょう。

futureshopでは三温度帯配送に対応したECサイトを構築できます

futureshopでは、三温度帯配送に対応したECサイトを構築できます。温度帯の異なる商品を同時注文できるため、温度帯に縛られず、ユーザーが“欲しいものをまとめて買える”、満足度の高いECサイトを構築できます。。温度帯の異なる商品を購入する際にエラーが発生してカゴ落ちする、というリスクも軽減できます。

また、 送料の透明化による信頼感と購入率向上にもつながります。個口数と送料、クール便手数料がご注文手続き画面に明細が表示されるため、顧客に送料をお知らせしたうえでご購入いただけます。

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冷蔵便・冷凍便・常温便の三温度帯配送
futureshopでは、商品ごとにクール便(冷蔵)・クール便(冷凍)の配送温度帯を指定でき、温度帯ごとに配送するための送料計算ができます。

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まとめ

三温度帯配送とは、常温便・冷蔵便・冷凍便など異なる温度帯に対応した配送方法を指します。三温度帯配送に対応すると、取扱い商品の多様化や、競合他社との差別化を図れるなど様々なメリットが期待できます。

一方で三温度帯配送に対応していないと、購入フローが複雑化したり、まとめ買い施策が機能しなかったりなどのトラブルが発生するケースも少なくありません。導入にはコストがかかりますが、導入した方がスムーズにECサイトを運営できるでしょう。