信長の夢と共に散る!安土城は何故「幻の城」なのか?【滋賀エリア】
信長の夢と共に散る!安土城は何故「幻の城」なのか?【滋賀エリア】

こんにちは! 推しの戦国武将は真田幸村、ライターの橋本です!

戦国時代の名将・織田信長が築きあげた安土城。

最も有名な城の一つで華麗で壮大な造りであったのにも関わらずわずか数年で消え去った安土城は「幻の城」と呼ばれています。

本記事では安土城が「幻の城」と言われる理由や謎・既に明らかになっていること・現在行われている研究を紹介します!

なぜ安土城は「幻」の城なのか

安土城が「幻」とされる理由は、大きく分けて3つあります。

1.完成から間もない消滅

1576年、室町幕府を討伐し勢いづいていた織田信長は、琵琶湖畔の安土山に安土城を築きました。

しかし、すぐに本能寺の変(1582年)が起こり、その数日後に焼失してしまいました。
完成してからわずか6年で姿を消してしまったため、来訪者も少なく、記録もあまり残っていない幻の城となりました。

2.鮮明ではない構造

記録の少ない安土城ですが、当然外観や内装も明らかになっていません。

当時の構造を示す明確な設計図も見つかっていないため、文献や絵図を参考にどのような造りだったのかさまざまな議論が巻き起こっています。

3.特異な価値

安土城には、他の城にはない重要な役割がありました。

それは「権力を象徴すること」です。
単なる軍事拠点ではなく、様々な戦に勝利して天下統一に手が届きそうだった織田信長の力を世間へ知らしめる役割があったため、ある種の神格化が行われていました。

当時には少なかった南蛮文化を取り入れた煌びやかな装飾がなされており、立派な天守がそびえ立っていました。
権力の象徴であったのにも関わらず、信長の死と共に消えてしまった安土城には、他の城にないロマンがあります。

これも安土城が幻の城と呼ばれる理由の一つなのではないでしょうか。

既に明らかになっていること

全貌は未だ謎ではあるものの、これまでの研究で明らかになっていることも数多くあります。
今回は判明している2つの特徴を紹介します。

1.経済的・政治的な機能

多くの戦国時代の城は軍事拠点であり、防衛力と安全性が重要視されていた「戦のための要塞」でした。

しかし織田信長は、安土城を中心に政治を行い、城下町を整備、楽市楽座などの政策で経済の中心地にしました。

2.豪勢な外観や内装

象徴としての役割を重視して軍事的な役割を目指さなかったためその装飾の煌びやかさをとことん追求することができました。

当時では珍しく天守を多層構造にして内部は金箔や美しい芸術作品によって彩られていました。
また、高度な技術で作られた石垣も特徴的で、他にはない統一感のある壮観となっています。

また、宣教師ルイス・フロイスが「ヨーロッパの最も壮大な城に匹敵する」と称賛したという記録があり、当時の様子が描かれた資料は少なくてもその美しさは間違いのないと言えるでしょう。

幻の城、最大の謎

優美で政治的・経済的にも重要な役割を果たしていた安土城ですが、本能寺の変がきっかけとなり突然焼滅してしまいました。

織田信長の死によって戦況が激変し象徴としての役割を果たさなくなってから僅か数日で火に包まれ、その存在は信長の夢と共に燃え尽きてしまったのです。

火災の原因は未だに明らかになっておらず、明智光秀の軍勢の放火や残された家臣による反逆などの説があります。
しかし確固たる証拠はないため、安土城の最大の謎として、長年研究者たちを悩ませています。

権力者の変動が多かった戦国時代の波に揉まれ、安土城の真相は歴史から姿を消してしまいました。

現在の研究

安土城跡には様々な歴史的遺産が残っており、発掘調査が盛んに行われています。
2023年からは滋賀県による「令和の大調査」が実施されていて、公式ホームページからはその進捗や今後の展望を閲覧できます。

令和6年度・発掘調査の進捗はこちらから!
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/bunakasports/bunkazaihogo/341225.html

令和6年の調査では石垣の崩落があったことが判明し、安土城の歴史を解明する手掛かりとなっています。

また、調査で判明したことから安土城の当時の姿を再現する取り組みがあります。

安土城天主信長の館では天守の原寸大復元模型が展示されています。
また、安土城考古博物館では当時使用されていた実物の一部を見ることが可能です。

他にもVRで安土城を再現する取り組みがあり、現在は安土城天主信長の館で、15分のムービーが視聴が可能です。

現在の復元への取り組みについてはこちらの記事をご覧ください!
https://madeinlocal.jp/area/shiga/knowledge/028

令和の大調査を通じて、その詳細がさらに正確で鮮明なものになることが期待されます。

おわりに

いかがでしたか?
多くの謎が人々を魅了する幻の城「安土城」。

姿形や歴史すら不鮮明ですが、調査は着実に進んでいます。
新事実の解明により、幻が現実の記録として移り変わっていくことが期待されます。

あなたも安土城跡やその周辺にある安土城考古博物館や信長の館を訪れ、信長の夢を感じ取ってみてはいかがでしょうか?

施設情報①

施設名:安土城考古博物館
営業時間:09:00-17:00
アクセス
滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678
JR琵琶湖線「安土駅」からレンタサイクルで約10分
料金
大人 600円
大学生 360円
*小中高生や65歳以上の方などは入場無料です。特別展が開催されている場合は料金が異なるため、詳細は公式ホームページでご覧ください。

施設情報②

施設名:安土城天主信長の館
営業時間:09:00~17:00
アクセス
滋賀県近江八幡市安土町桑実寺800番地
JR琵琶湖線「安土駅」から徒歩約25分
料金
一般 610円
学生 350円
小中学生 170円

*個人で入館した場合の料金です。20人以上の団体の場合は異なるため、詳細は公式ホームページをご覧ください。

参考

刀剣ワールド「城安土城の歴史と現在・特徴」
https://www.homemate-research-castle.com/useful/16956_tour_037/
お城めぐりFAN「安土城」
https://www.shirofan.com/shiro/kinki/azuchi/azuchi.html
滋賀県ホームページ「天下統一を目指す織田信長が築いた安土城は -滋賀県」
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/2042825.pdf
滋賀・びわ湖観光情報「滋賀県立安土城考古博物館」
https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/727/
安土城天主 信長の館
https://www.zc.ztv.ne.jp/bungei/nobu/index.html