【海なし県の海賊】琵琶湖の支配者、湖賊とは?【滋賀エリア】
【海なし県の海賊】琵琶湖の支配者、湖賊とは?【滋賀エリア】

こんにちは!
小学生のころ、友人たちと海賊団を名乗っていたことがあるライター、橋本です!

海を支配する荒くれ者たち、海賊。

その雄姿と海の揺らめきに、誰しも一度はロマンを感じたことがあるのではないでしょうか?
小説やアニメ、映画など幅広いジャンルで、全世界から愛される海賊ですが当然陸地に彼らの姿はないため、舞台は限られます。

しかし、海がない滋賀には海賊を名乗る荒くれ者たちがいたのです!
今回は、琵琶湖で活動していた海賊、通称「湖賊」を紹介します!

海賊のリアル

海賊と聞くと、金銀財宝を巡って争う様子を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
たしかに大海原へと繰り出し富を追い求める海賊もいましたが、実際はもっと地味な仕事をしていたことがほとんどでした。

彼らの主な仕事は、海上強盗や安全の押し売りと言えます。

移動中の船に襲い掛かり、積み荷を奪う海上での強盗が主な活動の一つです。 海賊が宝を探すのは伝説の島でも秘密の場所でもなく、自分たちのテリトリーの海でした。

また、他の海賊から守る代わりに一方的にボディーガード料を要求する安全の押し売りも行っていました。
もちろんそれを断れば悲劇が待っているため、船に拒否権なんてありません。

たしかに野蛮な行為ではありますが、海賊は貿易が盛んな海路における一つのビジネスの形態だったのです。

一方で琵琶湖はただの湖。果たして海賊ビジネスは成立したのでしょうか?

琵琶湖は都への架け橋だった!

琵琶湖は古来より、交通の要所として重要な役割を果たしてきました。
周辺の地域にとって大切な水源であることは有名ですが、実は都へと続く輸送路として利用されていたという歴史を持っています。

当時の人々にとって、複雑な形状の陸地を利用して北国と京の都を行き来するのは、そう容易ではありませんでした。そこで、直線的な移動ができる最短のルートとして琵琶湖が活用されるようになったのです。

琵琶湖の水運に関する最古の記録は平安時代。明治時代に鉄道が開通するまでの何百年という期間、経済の要所としての役割を果たしてきました。

湖の海賊「湖賊」

経済の要所として大きな価値を持っている琵琶湖。

当然悪事で儲けようとする人々が現れます。
彼らこそが琵琶湖の海賊であり、「湖賊(こぞく)」と呼ばれています。

湖賊は中世に活動し、主に安全の押し売りを生業としていました。
「琵琶湖を無事に渡りきる手伝いをするからボディーガード代を払え」と一方的に要求していたのです。
海路以外に運搬経路の選択肢を持たない人々は、湖賊に対価を払わざるを得ません。

ただの湖でも琵琶湖は経済の要であったため海賊と同様のビジネスが成立しました。 滋賀の一部の人々が琵琶湖のことを「うみ」と呼ぶこともあり、湖賊たちは海賊と名乗っていたのです!

戦国時代における「湖賊」

また、湖賊たちの及ぼす影響は、琵琶湖だけには留まりませんでした。湖賊たちは戦国の世において重要な要素の一つとも言えます。

都への道のりの要である琵琶湖の支配は、天下を取るためには欠かせません。そのため多くの戦国武将たちが、湖賊を味方につけるべく争ってきました。湖賊たちは時代を形作るキーパーツでもあったのです。

彼らは鉄道のシステムが確立するのとともに消えてしまいましたが、「うみ」の支配者として恐怖を与え、全国的な影響力を持つその生き様は海賊そのものでした。

おわりに

いかがでしたか?
今回は琵琶湖の海賊「湖賊」について紹介しました!

現在の琵琶湖は観光地で、クルーズも体験できます。
今はなき湖賊たちに想いを馳せながら船に揺られてみるのも、また一興ではないでしょうか!

参考

地球の歩き方「近江八景と『湖賊』の郷、秘密がいっぱいの「堅田」」
https://www.arukikata.co.jp/tokuhain/243195/
shiRUto「『ONE PIECE』好きも『カリブの海賊』好きも必見! 海賊の知られざる真実を専門家が解説」
https://shiruto.jp/culture/4704/
北淡海丸子船の館「物資輸送と琵琶湖」
http://www.koti.jp/marco/suiun.htm
水のめぐみ館アクア琵琶「琵琶湖の水位とくらし」
https://www.kkr.mlit.go.jp/biwako/aquabiwa/biwazu/48/02.html