Web3/NFT技術は様々な分野に浸透していますが、まだ新しい技術であるため、複雑な知識や操作が必要になり、またセキュリティ性が保証されにくいという面があります。
こうした課題を補うのがWeb3/NFTインフラサービスです。これらのサービスを用いることで、より安定した環境で、かつ高いセキュリティ性を基にプロジェクトを進めることが可能です。
本記事ではWeb3/NFT領域におけるインフラサービスの重要性や利用するサービスの選び方、おすすめのインフラサービスをご紹介します。
現在では、様々なWeb3/NFTインフラサービスが開発されていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
本記事のまとめ
・Web3/NFTインフラサービスを用いて、プロジェクトの運営が容易になる ・高度で複雑なWeb3/NFT技術を簡単に扱えるようになる ・セキュリティ性や脆弱性を補うことができる ・様々な目的に特化したWeb3/NFTサービスがある ・最新の技術トレンドに応じたプロジェクト開発が可能になる ・様々なWeb3/NFTインフラサービスが提供されている |
Web3/NFT領域におけるインフラサービスの重要性
Web3やNFTの領域は、その革新性ゆえに急速に発展していますが、Web2のような成熟したインフラが整備されているとは言えない状況です。この状況下で、Web3/NFTに特化したインフラサービスが重要になる理由として、高度で複雑なWeb3/NFT技術の操作をより簡単に行えるという点が挙げられます。
例えば、Web3/NFTで用いられるスマートコントラクトは、コードに脆弱性があると、ハッキングや不正利用の標的になりかねません。ここに、高度なセキュリティ監査や脆弱性診断ツールなどをインフラとして提供することで、システムの安全性を強化しながら、操作することが可能になります。
こうした様々な機能をインフラサービスとして提供することで、Web3/NFTの世界により参加しやすくなります。
Web3/NFTインフラサービスの選び方
Web3/NFTインフラサービスは様々なものがあるので、選ぶ際には下記のようなポイントを参考にします。
・利用できる機能 ・料金プラン ・導入実績 |
自身の必要としているものが何かを把握した上で、機能や料金などをベースに判断することで、自身にピッタリのサービスが見つかるでしょう。
利用できる機能
各Web3/NFTプロジェクトは、マーケットプレイスやDeFi、ゲームなど、異なる目的でWeb3/NFTを活用するため、それぞれのプロジェクトに最適なサービスを選ぶ必要があります。
例えば、NFTマーケットプレイスであれば、オークション機能、固定価格販売、NFTの一括購入などの機能を有するサービスが最適でしょう。
他には、コミュニティトークン、DAOの構築など、各ビジネスモデルに対応した機能を持つインフラサービスを選ぶことで、プロジェクトの成長可能性を高めます。
料金プラン
Web3/NFTプロジェクトの運営には継続的なコストが発生するため、使用するインフラサービスの料金プランは、プロジェクトの予算と合致している必要があります。
同じ機能を提供する複数のサービスがある場合、単に安いプランを選ぶのではなく、コストパフォーマンスを比較した上で、機能と価格のバランスを考慮することが重要です。
また、プロジェクトの成長に伴って利用量が増加する際に、段階的な料金体型が用意されているサービスであれば、プロジェクトの規模に併せて柔軟にコスト調整を行うことができます。
導入実績
導入実績は、そのサービスの技術力と信頼性を示す重要な指標であり、特に大手企業との協働実績や開発実績は、そのサービスの能力を裏付けます。
Web3やNFTの分野は比較的新しく、様々な技術的課題が存在します。導入実績が豊富なサービスであれば、これらの課題に直面した場合でも、適切に対処してきた経験が多いことになるはずです。
また、実績のあるサービスは、Web3/NFT技術の最新トレンドや規制に精通している可能性が高く、信頼性も高いと言えます。
導入実績が豊富なサービスを選ぶことで、自社プロジェクトの成功率をより高めることができるでしょう。
Web3/NFTインフラサービスおすすめ一覧
このようなWeb3/NFTインフラサービスは、既に国内でもさまざまなものが登場しています。今回は、特におすすめな以下4つのサービスをご紹介します。
・Startrail ・T&T(Tales & Tokens) ・MOUNTAIN ・Ginco Web3 Cloud |
以下では、上記のWeb3/NFTインフラサービスについて、それぞれ詳しく解説していきます。
Startrail
サービス名 | Startrail |
利用できる機能 | 作品の所有権証明、来歴記録、著作権管理など |
料金プラン | 要問合せ |
導入実績 | ・文化庁 ・東京都交響楽団 ・経済産業省 |
運営元 | スタートバーン株式会社 |
◆Startrailの特徴
NFTアートのためのインフラとして、Startrailでは自身の作品の固有性の証明、来歴記録、二次流通や著作権管理などの様々な機能を提供しています。
様々なブロックチェーンを用いたNFTプロジェクトとの連携にも対応し、技術的なトレンドや、将来的な技術アップデートにも対応可能な設計とのこと。
また、NFCタグの「Startail PORT」を用いることで、オフラインの物理媒体の作品をブロックチェーン上に紐づけることも可能です。
Startailは既に官公庁を中心とした多くの導入実績があり、これまで文化庁や経済産業省などが行ったNFTの実証実験にも活用されています。
◆企業情報
企業名 | スタートバーン株式会社 |
所在地 | 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟 255 |
代表者 | 施井 泰平 |
設立日 | 2014年3月26日 |
事業内容 | NFTアートの流通インフラの構築 |
T&T(Tales & Tokens)
サービス名 | T&T(Tales & Tokens) |
利用できる機能 | ・動的NFTの制作 ・チェックイン機能 ・ユーティリティ機能 ・共通ウェブアプリ |
料金プラン | 550円(NFT制作費用)~ |
利用実績 | ・Game of the Lotus 遠野幻蓮譚 ・匠の守護者NFT ・Candy Girl Wakayama その他多数 |
運営元 | Tales & Tokens株式会社 |
◆T&T(Tales & Tokens)の特徴
ブロックチェーンの特徴を活かして、システム運営に必要なコストを最小化・分散化し、かつ透明性と持続可能性の高い「NFT as a Service」を提供するインフラサービスです。
プロジェクト管理者は、イラストやイベントといったデータを画像やテキストでアップロードするだけで、ノーコードでNFTサービスの提供を開始することが可能です。
具体的な機能としては、ユーザーの行動によって変化する動的NFTの制作や、店舗や観光地など実際の場所と連携したチェックイン機能などがあります。この他、NFTの受け取りや確認、ユーティリティの使用などを行うためのインターフェースを利用可能です。体験型のNFTをより簡単に構築するためのツールキットとも言えるでしょう。
同ツールは、主にゲームやメンバーシップなどの目的で活躍し、既にいくつかのゲームで導入されています。
◆企業情報
企業名 | Tales & Tokens株式会社 |
所在地 | 東京都杉並区西荻北4-38-8 |
代表者 | 佐々木 大輔 |
設立日 | 2023年02月 |
事業内容 | NFTサービス開発と物語開発 |
MOUNTAIN
サービス名 | MOUNTAIN |
利用できる機能 | ・Web3ゲーム開発 ・トークン保有者限定コンテンツ作成 ・NFT配布 |
料金プラン | 要問合せ |
導入実績 | ・SYMBIOGENESIS ・RhizoMatiks NFT Experiment ・ABCRECORDSその他多数 |
運営元 | 株式会社Kyuzan |
◆MOUNTAINの特徴
MOUNTAINは、Web3アプリケーションを容易に構築するためのAPI、スマートコントラクト、またこれらを管理するDashboardを提供しています。
また、トークン保有者向けの限定コンテンツの配布や、コーディング無しでの操作が可能で、主に企業やブランド向けのWeb3プロジェクト開発をサポートするサービスです。
同サービスには様々な導入実績があり、上記の他にもピクセルアートNFTプラットフォームのTHE PIXEL、市川海老蔵のNFT作品など販売プラットフォームなど多数です。
開発元のKyuzanは、過去にNFTゲームのEGGRYPTOを開発した実績があり、これらの知識と経験が生かされたサービスと言えます。
◆企業情報
企業名 | 株式会社Kyuzan |
所在地 | 東京都渋谷区渋谷2-24-12渋谷スクランブルスクエア WeWork |
代表者 | 髙橋 卓巳 |
設立日 | 2018年4月4日 |
事業内容 | NFTゲーム開発、ブロックチェーン技術サービス |
Ginco Web3 Cloud
サービス名 | Ginco Web3 Cloud |
利用できる機能 | ・Non-custodial Wallet Service ・Hot Wallet Service ・Node Service ・Indexer API Service |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | - |
運営元 | 株式会社Ginco |
◆Ginco Web3 Cloudの特徴
Ginco Web3 Cloudは、Web3サービス開発の際に必要になる一連の機能を統合した、Web3クラウドインフラサービスです。シンプルかつ迅速に導入できるのが利点で、ユーザー体験と高いセキュリティ性を両立したWeb3サービスを構築する際に役立ちます。
オールインワンのプラットフォームであり、鍵管理を行うためのAPI提供や環境構築支援、また取引の通知や履歴取得、所有するNFTの情報取得などがAPIによって可能です。
複数のブロックチェーンに対応しており、運用や保守の工数を削減し、サービス開発に集中できる環境構築を提供しています。
◆企業情報
企業名 | 株式会社Ginco |
所在地 | 東京都中央区八丁堀三丁目27-4 |
代表者 | 森川夢佑斗 |
設立日 | 2017年12月21日 |
事業内容 | クラウド型ブロックチェーンインフラおよび、同インフラを利用した各種エンタープライズサービスの開発・運営・提供 |
【まとめ】おすすめのWeb3/NFTインフラサービス
Web3/NFTを用いたプロジェクトや事業には、多くの専門知識や複雑な操作が必要になるため、個人や企業のみで対応するのは困難な部分が多くあります。
こうした際に役立つのがWeb3/NFTインフラサービスで、最新の技術トレンドを活かしたシステム開発や運営を、より容易に行うことが可能です。
現在では、国内でも様々なWeb3/NFTインフラサービスが提供されており、サービスごとに異なる機能が提供されています。
自社のプロジェクトに最も適切なサービスを活用することで、より質の高いサービスを素早く、かつ容易に構築することが出来るでしょう。