目次
- 香川県内の公共施設のほか、住宅、事務所などで幅広い施工実績
- 消火器の販売など防災関連事業を通じて地域の安心・安全の確保に貢献
- 注文住宅事業にも力を入れる 本社の敷地内にはモデルハウスを設置
- クラウドストレージを導入して協力会社との情報共有の業務を効率化
- 直感的な操作と強固なセキュリティ機能 ドラッグ&ドロップで大容量の写真を一括アップロード
- 瀬戸内海の離島など本社と行き来がしにくい現場でも効果を発揮
- UTMで情報セキュリティを確保 NASで情報のバックアップにも取り組む
- 証憑データの電子保存サービスを導入して社会のデジタル化に対応
- 2022年8月に「SDGs宣言」 具体的な取り組みには経営理念が反映されている
1956年創業の株式会社丸井工務店は、香川県中西部の丸亀市を中心に事業を営む地元密着型の建築会社だ。建築物を通じたまちづくり、働きやすい職場づくり、地域とともに歩むことを経営理念に掲げている。ICTを活用した業務効率化や情報セキュリティの強化に取り組む一方、証憑データを電子保存するサービスを活用するなど今後の社会のデジタル化に備えた準備を進めている。(TOP写真:協力会社と情報を共有するためクラウドストレージを活用する様子)
香川県内の公共施設のほか、住宅、事務所などで幅広い施工実績
株式会社丸井工務店は、工事に携わる多くの職人を束ね、建築物の工事における工程や原価の管理、安全や品質の確保を担う施工管理業務に強みを持ち、地域の公共施設のほか、住宅から事業所まで幅広い施工実績を誇る。丸亀市モーターボート競走場内の北広場整備工事や新築された丸亀税務署も丸井工務店が施工管理を担当した。
「技術と信用の向上を合言葉に事業に取り組んでいます。より良い地域づくりのお役に立てるならば、これに勝る喜びはありません」。丸井工務店の本社で取材に応じた西原英樹総務部長は、柔和な表情で話した。
消火器の販売など防災関連事業を通じて地域の安心・安全の確保に貢献
創業当初以来、建築と合わせて、地域の安心・安全の確保に貢献したいという思いから防災関連事業にも取り組んでいる。消火器、救助袋、災害救助避難用品、火災報知器、消防ホースなどの物品販売、消防用設備の設計・施工、保守点検、消防自動車等の消防資機材の販売など業務内容は幅広い。2024年1月の能登半島地震の発生を受けて地域で防災への関心も高まっていることから、引き続き防災関連事業に力を入れていきたいという。
注文住宅事業にも力を入れる 本社の敷地内にはモデルハウスを設置
2002年には、社内にスクエア事業部と名付けた注文住宅の専門部署を設けた。本社の敷地内にはモデルハウスも設けている。「設計から資金計画、施工、管理、引き渡しまでトータルで対応しています。コストにも配慮しながらお客様にとって理想の住まいを提供することを何より大切にしています」と西原総務部長。犬や猫といったペットを飼う人を対象に、ペットと共に暮らしやすい住まいにするための設備や資材の提案も行っている。要望に柔軟に応じる丸井工務店のきめ細やかな対応と住宅の品質は既存顧客から高い評価を受けていることもあり、受注に至るプロセスは、既存顧客からの紹介が大半を占めているという。
クラウドストレージを導入して協力会社との情報共有の業務を効率化
施工管理を担当する丸井工務店にとって、施工を担う協力会社との連携は、業務面での重要なテーマとなっている。協力会社との情報共有を円滑にするために2023年6月、クラウドストレージを導入した。「これから急速に進む生産年齢人口の減少を踏まえると人手を増やすことは簡単ではありません。ICTやデジタル機器を活用することで業務効率を高めて乗り切っていきたい」と西原総務部長は話した。
クラウドストレージを導入する以前、丸井工務店は、図面や建築現場で撮影した写真を協力会社と共有する際、本社のパソコンからメールに添付して送信するという手段を取っていた。だが近年は、デジタルカメラの性能向上に伴って画質が高精細化したことでデータ容量が大きくなったため、複数回に分けて送信していたという。「写真の枚数が多い時は10回以上に分けて送信する必要があり、1時間ほどかかってしまうこともありました。負担が大きかったので、作業を効率化して他の業務の時間を確保したいと情報を集めたところ、クラウドストレージなら課題を解決できると思ったんです」と西原総務部長は振り返った。
直感的な操作と強固なセキュリティ機能 ドラッグ&ドロップで大容量の写真を一括アップロード
導入したクラウドストレージは、マウスを使った直感的な操作と強固なセキュリティ機能を持っている。複数の写真をクラウドストレージにアップロードする際は、ドラッグ&ドロップで時間をかけずに一括してアップロードできる。アップロードできるファイルの容量には制限がないので大容量の写真データが簡単に協力会社と共有できるようになった。データを送る際に公開期限や相手側の受信確認を設定することもできる。セキュリティ面では、ファイル暗号化、通信経路暗号化、端末認証と二段階認証による利用者ごとのアクセス制限、ログ管理といった機能を備えている。
「一瞬で大量のデータを送ることができるようになったので、電話やメールで連絡を取って情報を共有していた時の苦労は何だったのかと思っています。これほど便利になるとは思いませんでした」と西原総務部長はうれしそうに話した。
瀬戸内海の離島など本社と行き来がしにくい現場でも効果を発揮
クラウドストレージは、瀬戸内海の離島など本社と行き来がしにくい現場で施工管理に取り組む際は特に効果を発揮してくれているという。「現場からアクセスすることで、時間をかけずに図面や資料などを確認したり、大量の写真を送信することができるので本当に助かっています。クラウドストレージを使いこなすことで更に業務を効率化できるのではないかと楽しみにしています」と西原総務部長は話した。
UTMで情報セキュリティを確保 NASで情報のバックアップにも取り組む
丸井工務店は2015年にアンチウイルス、Webフィルタリング、スパムメール対策などの様々なセキュリティ機能を備えたUTM(統合脅威管理)を導入するなど情報セキュリティにも力を注いでいる。情報セキュリティ強化の背景には、2013年に導入したNAS(ネットワーク接続型ストレージ)に保管している情報の保護を徹底したいという思いがあった。NASはパソコンに保存している情報のバックアップに活用している。
証憑データの電子保存サービスを導入して社会のデジタル化に対応
改正電子帳簿保存法に対応するために請求書などの証憑データを電子保存するサービスも2022年12月から利用を開始した。証憑データはクラウド上で法定年数に合わせて長期保存される。改正電子帳簿保存法のスキャナ保存、電子取引の要件に準拠した検索機能も備えている。「現状では紙の書類でのやり取りが中心ですが、今後の社会のデジタル化の進展に備えてしっかりとした準備を進めていきたい」と西原総務部長は話した。
2022年8月に「SDGs宣言」 具体的な取り組みには経営理念が反映されている
丸井工務店は2022年8月、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)に賛同する「SDGs宣言」を行った。安心して暮らせるまちづくり、女性や高齢者の雇用促進、従業員の意向を反映した勤務形態、資格の取得促進など働きやすい環境づくり、廃棄物の管理、電力と水の使用量の把握と削減、消火器や消防ホースの再利用、地元高校生のインターンシップの実施、寄付活動、地域への消火器の貸し出しや取り扱い講習会の開催などを具体的な取り組みとして挙げている。これらの取り組みは経営理念とも深くつながっている。
「地域と共に歩む工務店としてこれからも事業活動を通じて地域との交流を図り、積極的に貢献していきたい」と西原総務部長は力強く語った。注文住宅や防災といった人々の生活と密着した事業を通じて安心・安全な地域づくりに尽力している丸井工務店。事業を継続、拡大していく上でICTやデジタル機器は大きな役割を果たしてくれるはずだ。
企業概要
会社名 | 株式会社丸井工務店 |
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本社 | 香川県丸亀市田村町1711番地 |
HP | http://www.marui-koumuten.co.jp |
電話 | 0877-22-5296 |
設立 | 1956年3月 |
従業員数 | 17人 |
事業内容 | 建物、構造物の設計、建設工事の設計、施工及び管理、左官工事事業の施工及び請負、消防用設備の設計及び施工、消防用設備の保守点検並びに整備、消防用資機材の販売、防災用品の販売 |