道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)

目次

  1. 道路建設への熱い思い 20代前半で高野工業を創業
  2. 経営資源を集中し、高速道路のエキスパート企業として成長
  3. 社長自らICT建機を試用して導入を決定 費用対効果を考えて当初はリースで
  4. ICT建機の操縦だけでなく測量から設計データの作成まで内製化
  5. ICT建機を活用することで工期は半分に 工事の規模が大きくなるほど効果を発揮 作業員の安全確保にも大きな効果
  6. 効果を確認して購入を決断 従来操作の習得に10年かかったのが1年で済む 人手不足の時代に投資効果は十分にあると判断
  7. バックオフィスでもICTを積極的に導入して業務を効率化
  8. 原価管理システムと勤怠管理システムを連動して入力作業の手間を削減 作業時間は半分以下に
  9. 従業員のアルコールチェックをデジタルで管理 記録の透明性が高まった
  10. 業務効率化で生まれた時間を企業価値向上につながるプラスアルファの取り組みに活用 2022年11月にはSDGs宣言書を策定
  11. LED照明や省エネエアコンの導入でオフィスの脱炭素化も推進
  12. ホームページで事業情報や採用情報を発信
中小企業応援サイト 編集部
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物流の大動脈となっている高速道路の安全維持に欠かせない補修工事。香川県丸亀市に本社を置く有限会社高野工業は、高速道路におけるアスファルト舗装の高い技術力と安全管理ノウハウの提供を通じて、中国・四国地域の高速道路を守り続けている。現場でICT建機を積極的に活用する一方、原価管理、勤怠管理といったバックオフィスでもICTを導入。業務効率化によって生まれた時間を、更なるDXやSDGsへの取り組みなど先を見据えた新しい取り組みに活用している。(TOP写真:道路舗装用のICT建機を活用する様子)

道路建設への熱い思い 20代前半で高野工業を創業

道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
高野工業の高木信広社長

「ICTの活用が、会社の大きな成長につながっていくことを確信しています。業務のICT化を進めていくことで従業員一人ひとりのポテンシャルを高め、取引先からの要望により一層きめ細かく対応できるようにしていきたい」。香川県丸亀市の郊外にある高野工業の本社。高木信広代表取締役は、明るい表情で積極的にICTとデジタル機器を活用することへの思いを話した。

高木社長は1991年、20代前半で高野工業を創業した。丸亀市で生まれ育ち、幼い頃から建設作業に従事する大型車両や機械が大好きだったという。「成長するにつれ、人々の生活を便利にする道路を作り、維持管理する仕事に携わりたいという思いを強く持つようになりました。取り組むからには大きな仕事をしたいと思い、仲間と共に建設会社を立ち上げました」と高木社長は話した。社名は高木社長の「高」と共同創業者の名字から「野」を取って高野工業にした。

経営資源を集中し、高速道路のエキスパート企業として成長

道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
高野工業が所有する道路舗装用の建設機械1
道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
高野工業が所有する道路舗装用の建設機械2

創業当初から一般道路や駐車場の新設、補修まで幅広く手掛け2009年から高速道路の舗装工事に携わり始めた。高速道路の舗装は、安定した需要を見込むことができる。だが、車が一般道路よりもスピードを出して走行する高速道路の舗装は、わずかな欠損でも大きな事故につながるため品質への要求水準が高く、作業中の安全管理も一般道路以上に徹底しなければならない。また、連日、従業員の大半にあたる10人近くで作業に従事する必要があり、他の仕事を受注できないなど会社の負担は大きかった。

高速道路に携わり続けるか、手を引くか。検討した結果、高木社長は前者を選んだ。「厳しくとも参入障壁が高い分野に挑戦する方が、会社の成長につながると判断したんです」と高木社長は振り返る。高速道路舗装工事のエキスパート企業を目指し、大手が開発した工法を積極的に取り入れるなど挑戦を続け、高速道路の舗装は売上高の80%を占める主要事業に育った。高速道路の舗装で蓄積した技術は、一般道路の工事でも生かしているという。従業員数もベトナム、インドネシア出身の外国人6人を含め18人に増えるなど会社は着実に成長している。

社長自らICT建機を試用して導入を決定 費用対効果を考えて当初はリースで

現在、新たな挑戦として力を入れているのがICT施工だ。取り組みを始めたのは2018年。取引先の建設機のリース会社がICT建機の試用を勧めてくれたことをきっかけに、高木社長自ら1ヶ月ほど実際に操縦し、機能や活用する上での課題を把握した上で導入を決めたという。

ICT建機の操縦だけでなく測量から設計データの作成まで内製化

ICT建機は高額で最初からのフル活用は難しいことから費用対効果を考え、当初はリースで導入した。操縦だけでなく、ICT建機を動かす上で必要な測量と設計データの作成まですべて自社で対応できる態勢を、実際に使いながら段階的に整えた。大手企業などから設計能力を持った人材を迎える一方、レーザーを使って測量点からの距離や角度を測定し、データ化する機能を備えた測量機も導入した。

ICT建機を活用することで工期は半分に 工事の規模が大きくなるほど効果を発揮 作業員の安全確保にも大きな効果

ICT建機には機械の位置や姿勢を三次元で把握し、その情報をもとに建設機を自動で動かす機能が備わっている。「ICT建機を使えば、丁張りが不要になり、作業が軽減できるので、工期を短くすることができます。規模や種類によって異なりますが、ほとんどの工事を半分くらいの工期で済ませることが可能です。工事の規模が大きくなればなるほどICT建機はその効果を発揮してくれます」と高木社長。舗装の仕上げの精度にも満足している。それだけではない。建設機周辺での人間による作業を軽減できるので安全性も向上した。建設機の稼働時間の短縮を通じて環境負荷の低減にも貢献できる。

効果を確認して購入を決断 従来操作の習得に10年かかったのが1年で済む 人手不足の時代に投資効果は十分にあると判断

道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
購入したICT建機とトータルステーション

ICT建機を活用する工事は約2割を占めるようになった。十分にICT建機をフル活用できる技術とノウハウを蓄積できたことから高木社長は、ICT建機の購入を決断した。「従来の建設機はレバーやハンドルの数が多くて操作が難しい機種もあり、建設機を扱った経験がない人が一人前になるのに10年はかかりますが、ICT建機を使えば、1年ぐらいで済みます。人手不足が加速するこれから先のことを考えると、投資する価値は十分にあると思っています。ICT建機を更に積極的に活用して受注機会を拡大していきたい」と高木社長は話す。

購入したICT建機はアタッチメントを取り換えることで様々な用途に活用できる機能が備わっている。「若い従業員ほど ICT建機に強い興味を示しています。ICT建機を扱いたいという意欲をはっきりと示す従業員もいます。本当に頼もしい限りです」と高木社長は目を細めた。

バックオフィスでもICTを積極的に導入して業務を効率化

高野工業は工事現場だけでなくバックオフィス(現場や営業を支える業務及び経理・給与等の基幹業務)でもICTを積極的に導入して業務を効率化している。導入するICTやデジタル機器の選定は従業員に任せているという。「現場の判断を尊重しています。現場ごとに情報を集めて必要なICTやデジタル機器を提案してもらうようにしています」と高木社長。

原価管理システムと勤怠管理システムを連動して入力作業の手間を削減 作業時間は半分以下に

道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
原価管理システムを活用する様子

2021年9月から2022年7月にかけて新しい原価管理システムと勤怠管理システムを導入した。高野工業は営業日単位で従業員の作業日報をもとに決算書類を作成している。

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総務担当の兼重知子さん

「以前は、原価管理と勤怠管理のシステムがそれぞれ独立していたので作業日報から人件費や燃料費などを原価管理システムに手入力した後、改めて勤怠管理システムにも入力しなければなりませんでした」と総務担当の兼重知子さん。毎日平均1時間程度の作業時間が必要だったが、新しいシステムにしたことで、原価管理システムに入力したデータを勤怠管理システムに転送できるようになり、作業に要する時間は半分以下になった。

従業員のアルコールチェックをデジタルで管理 記録の透明性が高まった

道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
アプリを入れたスマートフォンを使ってアルコールチェックを行う様子

また、2022年から事業者への義務化が拡大された車両を運転する従業員に対するアルコールチェックを効率的に行うため2023年10月にアルコールチェック専用の管理システムを導入した。以前は、従業員が乗車前と乗車後にアルコール検知器で測定した数字をシステムに手入力していたが、管理システムを導入してからは、アルコール検知器の検査結果がスマートフォンのアプリを通じてシステムに自動的に記録できるようになった。

スマートフォンカメラとの連携機能を備え、従業員や車両の管理機能、閲覧機能も充実しているので非常に使い勝手がいいという。検査結果の精度が高くデジタルで記録されるので、従業員の自己管理に対する意識が高まる効果も生まれている。

業務効率化で生まれた時間を企業価値向上につながるプラスアルファの取り組みに活用 2022年11月にはSDGs宣言書を策定

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オフィスに掲示しているSDGs宣言書

高野工業は、ICTによる業務効率化によって生まれた時間を、企業価値向上につながるプラスアルファの取り組みを進めることに活用している。国連の持続的な開発目標、SDGsへの取り組みもその一つだ。

2022年11月には兼重さんが中心になってSDGs宣言書を策定した。宣言書には、従業員の健康維持に関する研修やイベントの開催、資格取得・研修費用の補助といった人材育成の取り組み、公共工事を通じた地域づくりへの貢献、丸亀市エコリーダー認証法人としての年間3回以上の地域清掃活動といったこれまでの取り組みとともに、ICTを活用した業務の効率化と安全性の確保、仕上げ精度の向上、施工記録・トレーサビリティの確保を盛り込んでいる。

LED照明や省エネエアコンの導入でオフィスの脱炭素化も推進

道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
LED照明を導入するなど脱炭素化を進めている高野工業のオフィス

オフィスの脱炭素化も進めている。2023年11月にLED照明を導入し、エアコンを省エネタイプに切り替えた。「日々の取り組みを通じてSDGsに関心を持つ人の輪を地域に広げていきたいと考えています。事業規模の拡大のみを目指すのではなく、小規模の工事も誠実に引き受け、地域の皆様に喜んでいただける丁寧な仕事をこれからも続けていきたい」と高木社長は話した。

ホームページで事業情報や採用情報を発信

道路舗装用のICT建機を積極活用 建設DXを推進して地域の高速道路を守る 高野工業(香川県)
高野工業のホームページ

従業員からの提案で2022年9月にホームページを立ち上げ、事業内容や採用情報を豊富な写真とともに発信している。仕事の内容ややりがいについての従業員のインタビュー記事も掲載している。今後、ICT施工についての情報発信も強化して、若い人材に会社への関心を持ってもらえるようにしたいという。

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高野工業の本社の外観

ICTは、厳しいと言われている建設業界の職場環境を大きく改善する力を持っている。その中でICT建機の導入をはじめDXに強い意欲を示す高野工業。地域のICT導入のフロントランナーとしての役割にも期待がかかる。

企業概要

会社名有限会社高野工業
本社香川県丸亀市飯野町東二甲842-1
HPhttps://takano-kogyo.biz
電話0877-23-4025
設立1992年4月(創業1991年)
従業員数18人
事業内容舗装工事業、土木工事