前号「Future vol.13」に続き、当社仲介にてM&Aを実現された株式会社デイトナ(JASDAQ上場)の杉村取締役管理部長(写真左)と株式会社ダートフリークの諸橋勉代表取締役(写真右)に両社は日本M&Aセンターのグループ企業である日本CGパートナーズ(現日本PMIコンサルティング)が提供するPMIコンサルティングサービスを活用されています。前回のインタビューから約半年、「まずは決算・事業計画・管理会計といった制度を、段階を追って整備したい」とお話しされていたPMIの取組みについて、現在の進捗状況とその効果、また外部のPMIコンサルティングサービスを活用するメリット等を語っていただきました。
インタビュアー:日本M&Aセンター 代表取締役社長 三宅卓
M&Aはゴールではなくスタート 成約からの連続性あるPMIで合理的に
三宅ーPMI においては様々な解決したい課題や実行したい事柄があったかと思いますが、具体的なテーマの抽出や優先付けはどのようにして行ったのですか。
杉村 当社はJASDAQに上場しておりますから、連結決算と内部統制という2点については期限が決まっており、早急に行う必要がありました。とはいえ、私たちの管理部隊に余剰人員がいるわけでもありませんし、M&Aも初めての経験です。外部の専門家の支援を受けることでしっかり進めたいと考えていました。
そんなときに、日本M&AセンターグループのPMIサービス(日本CGパートナーズ)について聞きました。M&Aの最初のプロセスから携わり、経緯や諸橋社長の意向もよくわかっている日本M&Aセンターが行うPMIであれば、負担が少なく一番合理的に進めていけると感じました。日本CGパートナーズ(現日本PMIコンサルティング)の宮川さんから、両社を理解した上での素晴らしいPMIプランの提案をいただけたので、お願いすることにしました。
宮川さんに入ってもらったことで、業務のスリム化や合理化の可能性も感じることができました。従来の自分たちのやり方を変えることで、「こんなに簡単にできるのか」という気付きは、外部の優秀な方に入っていただいて初めてわかることですよね。これもPMIの効果なのかなと感じています。
トップダウン型経営から組織的経営への変革
三宅ーPMI の進捗状況について、現時点ではどのように評価されていますか。
杉村 始めてみて思ったのは、やはりPMIを進めるのは社貝ですから、監査対応などの外への制度対応を進めるのと並行して、会社の中の管理体制や意思の統合を進める必要があるなということです。内部統制の整備・運用は、監査対応だけでなく組織の永続性を確保する、という側面もありますので、トップダウン型の経営から組織的な経営への変革を行ううえでも、社員が自分事として前向きに社内ルールを作り、運用していくことが重要です。
諸橋 その点、当社の場合は社内のマンパワーは不足していたのかもしれません。私はこれまでワンマン経営でやってきたものですから、社員が自ら考えて意見を出すということに慣れていなかったんですね。幹部の育成も進んでいなかった。今回、ある意味強制的に外部の力で進めいていくことで推進力が確保できているという面もあると思います。もし自分たちの力で統合を始めていたら、デイトナ社はとても大変だったろうなと思います。
今、部門長ら次期リーダー候補者が中心となって今後の組織運営について、様々な議論をしてもらっています。自分で考えて、提案して、実行するという状況が増えるだけ、会社のことを考える視野が広がってくると思います。また能力も上がってくる。今回のPMIに関する議論の場は、リーダーたちのマネジメントレベルを上げるいい訓練になっていると思っています(笑)。
三宅一本件 PMIの取組みを始められて、「成功するM& A」のためには何が必要だと思いますか。
杉村 PMIはスピード感が非常に重要だと感じています。社員たちは通常業務を持っていますから 、自分たちでやろうとしても、なかなか進まないのは仕方のないことです。そういう点でも、外部の専門家の力を借りてある程度強引にでも進めていく効果は高いですよね 。
また、社員に対して早い段階で、M&A による変化を感じてもらうことも重要なのではないでょしうか。今回の場合では、地道で成果が目に見えにくい部分に先に取り組むことになったわけですが、事前にPMIを進めてもらうリーダーの皆さんに集まっていただき、「攻めのPMIに取り組むための事前準備として守りのPMIが必要だ」と諸橋社長からお話しいただいたことで、リーダーの前向きな姿勢を引き出せたのは重要なポイントでしたね。今後は、よりポジティブな変化を感じてもらうことで、社貝の意識を変えていきたいです。
三宅一守りのPMI が終わったらいよいよ攻めのPMI、事業シナジ一のフェーズが始まりますね。
杉村 当社社長の織田はM&Aが決まったときから、実現したいシナジーと見込める効果をリスト化していました。そのリストを、実行レベルまでに落とし込んだプランをつくって、プロジェクトを組成し、両者で取り組んでいきたいですね。早く次のPMIフェーズにシフトできる状態にでき多々良いな、と楽しみです。