大手通信キャリアをめぐる現状
西川: ちょっと改めて、業界の状況を整理したいと思います。冒頭申しましたように、「通信キャリア」の世界ではご存知のようにNTTドコモさんが国内最大手です。NTTドコモの契約件数でいうと約8,800万件(※)です。
これに続くのがKDDI。約6,500万件(※)の契約件数があると言われています。いわゆるauですよね。
次に続くのがソフトバンクで、約5,300万件(※)、これに続くのが楽天モバイル、という状況です。こうした状況の中で、特にBtoCビジネスにおける経済圏を一生懸命築いてるわけです。
※一般社団法人 電気通信事業者協会「事業者別契約数 2023年度・携帯電話 第2四半期(2023年9月)」 NTTドコモ 88,509,400件、KDDI・沖縄セルラー電話 65,946,700件、ソフトバンク 53,001,600件
金融、あるいはECビジネス、あらゆるサービスをお客様に向けて提供できないものか、ということでサービス・商品の開発をしています。いわゆるドコモ経済圏、au経済圏、ソフトバンクさんだと・・・
臼井: PayPayですね。PayPay経済圏。
西川: この3つの大きな経済圏の戦い、がそもそも背景としてあります。こういう中で、どの経済圏においても外せないのが「ネット証券」です。
臼井: そうですね。
西川: 例えばネット証券の世界を口座数という観点で見ると、SBI証券を筆頭に楽天証券、マネックス証券、あるいはGMOクリック証券、auカブコム証券、松井証券、PayPay証券と続いていきます。
NTTドコモさんは、今までこれらネット証券と組むということがありませんでした。そうした中で今回マネックス証券と組んだということです。
上位のSBI証券、楽天証券は、それぞれキャリアとの紐付きがしっかりあります。auカブコム証券はKDDIと、松井証券は老舗の証券会社かつ独立系。
臼井: そうですね、ネットで一番先頭を行っていたパイオニアですよね。
西川: 松井証券さんの方針次第で、業界の地図が変わってきそうですよね。
臼井: 数字的に面白いなと思うのは、NTTドコモの契約件数ですよね。約9,000万件。KDDIは約6,000万件、ソフトバンクは約5,000万件、合わせると約2億件ですからね。当然ながら法人契約も含まれてると思いますが、国民の数を超えて携帯電話の契約件数があるという。
それに比較するとネット証券って、1番多いSBI証券でも約1,100万口座(2023年12月時点)ですから、国民の数を分母とすると、証券口座を皆さんあんまり持ってないんだなというのがわかりますね。
そうした今まで証券口座を作ったことのない方が、今回大勢加わることが見込まれるわけですから、これは大きなビジネスチャンスですよね。
西川: そうですね。ネット証券で口座を開設するハードルがググっと下がっているので、そこをいかに各社がどう獲得していくか、興味深いですよね。