NTTドコモがマネックス証券を子会社化 業界経験豊富なM&Aのスペシャリストが、世の中の企業のM&Aの動きについて、プレスリリースを紐解き解説するYouTube動画「M&Aニュースサテライト」。

今回はNTTドコモとマネックスグループ・マネックス証券のニュースを中心に解説します。 ※本記事はYouTube動画の内容を抜粋・編集してご紹介します。

新NISAで競争激化、ネット証券の現状

西川: 2023年秋以降、M&Aのニュースが増加しており、非常にM&A市場が活況を呈している印象です。

今回は、2023年10月4日に発表されたNTTドコモとマネックスグループ、マネックス証券3社間における資本業務提携について、取り上げていきたいと思います。

臼井: はい、よろしくお願いします。

西川: 業界としては、いわゆる通信キャリア、その中でも最大手の会社と、ネット証券の案件ですが、ネット証券は特に若年層を中心に口座数が年々増えています。特に2024年から新NISAが始まるという背景もあって、ネット証券への注目は今非常に高まっています。

臼井: 今回のドコモさんの動きの背景には、NISA口座は個人で1つしか持つことができない、ということが影響してると考えられます。

つまり、A証券会社、B証券会社、C証券会社で合わせてNISAをやってます、ということができないので、いずれか1つの口座を選ばなければいけない。証券口座の方から見るとみんなに選ばれないといけない。

西川: まさに取り合いですよね。

臼井: 取り合いです。おそらくそうしたことも見越していると考えられます。今まで、銀行口座に比べて、個人で証券口座を持っている人は多くはなかったですよね。

西川: そうですね。

臼井: 今回の新NISAでは、そうした証券口座を今まで持ってなかった人たちも、相当数参入することが見込まれています。

BtoC の証券ビジネスをどう展開していくかという、そういう大きな枠組みの中での今回の動きなのかなと思います。

こうした新NISAのきっかけも大きいですし、2023年10月、SBI証券や楽天証券が手数料ゼロ(国内株式のオンライン取引による売買委託手数料の無料化)を打ち出しています。

西川: いやそうなんですよ

臼井: 個人の証券口座の激しい奪い合いですよね。

西川: まさにここがポイントですよね。

おそらくマネックス証券は、このSBI証券、楽天証券が発表した手数料ゼロ円に追随するのではなく、「さぁどうしようか」と。今後手数料を無料化するのかどうかは今のところ発表されていないのでわかりませんが、マネックス証券は両社と別の戦略を考えたということですね。

臼井: そうですね。

西川: マネックスが注目したのはドコモの電話回線の膨大なお客様(データ)ですよね。ここに魅力を感じて手を組むのが得策、と考えたのだと思われます。

臼井: ドコモの戦略とそれからマネックス証券の今後の拡大戦略、バチっと合致した、という案件だと思います。