2022年度の業種・職種別人材ビジネスの市場規模(5市場計)は前年度比5.1%増の4兆927億円に
~多くの企業・業界において事業活動が順調に回復しつつある中、人材・労働力の確保に向けた人材需要の拡大によって市場伸長に~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の業種・職種別人材ビジネス市場を調査し、人材サービス8市場(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、農業支援人材サービス、物流施設向け人材サービス)の動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。
業種・職種別人材ビジネスの市場規模推移(5市場計)
建設業界向け人材サービス市場規模推移
1.市場概況
2022年度の業種・職種別人材ビジネスの市場規模(5市場計)は、事業者売上高ベースで前年度比5.1%増の4兆927億円と推計した。
2022年度は、2021年度に続き、多くの企業・業界において事業活動が順調に回復したことや、本格的な稼働状況への復調があったことで、人材・労働力の確保に向けて人材需要が拡大し、業種・職種別人材ビジネスの各5市場は全てプラスでの推移を維持した。
2.注目トピック
建設業界向け人材サービス市場
2022年度の建設業界向け人材サービスの市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比5.7%増の5,600億円となった。2019年度までは政府の建設投資や東京オリンピック・パラリンピック関連の民間投資によって成長基調にあったものの、2020年度から2021年度にかけて東京オリンピック・パラリンピック関連工事終了や東日本大震災の復旧・復興工事需要が落ち着いたことや、コロナ禍による建設現場休業の増加などによって、建設業界の人材派遣需要が停滞し当該市場は減少した。2022年度は大都市圏における再開発、地方でのインフラ整備、働き方改革(労働時間の適性化)による人員増加要請、ゼネコンの人手不足などによって、再び増加に転じており、今後もそれらの動きが継続すると考えられるため、当該市場は増加傾向で推移していくとみる。
※建設業界向け人材サービス市場は、大手ゼネコンや建設・プラント工事請負事業者に対する、建築、土木、電気工事、管工事、造園、建設機械、電気通信工事等の施工管理者の派遣、各種図面の作成・修正作業等を担うCADオペレーターおよびBIMなどの利用による3Dモデル作成を担うオペレーター等の派遣、各現場などで発生する書類作成・整理・管理等を行う事務員の派遣などを対象とする(一部、人材紹介も含む)。
3.将来展望
2023年度の業種・職種別人材ビジネス市場規模(5市場計)は、前年度比4.3%増の4兆2,688億円を見込む。
対象とする5市場(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス)のうち、コロナ禍で一時的に高まったワクチン接種などの医療関連業務に携わる人材需要の消失によって医療人材サービス市場は減少に転じることが見込まれるが、医療人材サービス市場以外の4市場は拡大を維持すると見込む。
2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことにより、インバウンド(訪日外国人客)需要の本格的な回復や観光需要の拡大に伴い、宿泊、飲食、観光といったサービス関連産業の事業活動が活性化し、人材需要が本格的に回復するとみる。この背景を受け、これらのサービス関連産業の各事業者においても採用・雇用意欲の拡大、或いは人材派遣等の人材サービスの需要が高まることが見込まれる。そのため、人材獲得競争が激化していくとみられる中、派遣会社においても人材(派遣スタッフ)の確保・採用の難易度が高まることが考えられ、人材の供給力の低下が懸念される。
調査要綱
1.調査期間: 2023年6月~10月 2.調査対象: 人材サービス提供事業者(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、農業支援人材サービス、物流施設向け人材サービス)等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用 |
<業種・職種別人材ビジネス市場とは> 本調査における業種・職種別人材ビジネス市場とは、技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス(医療系資格保有者を紹介する人材紹介サービス)、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、農業支援人材サービス、物流施設向け人材サービスの8市場を対象とする。このうち5市場(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス)を合算して、業種・職種別の人材ビジネス市場として市場規模を算出している。尚、建設業界向け人材サービスの市場規模は算出しているが合算はしていない。また、農業支援人材サービスおよび物流施設向け人材サービスの2市場の市場規模の算出は行っていない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、農業支援人材サービス、物流施設向け人材サービス |
出典資料について
資料名 | 2023年版 人材ビジネスの現状と展望 PART2 業種・職種別人材サービス編 |
発刊日 | 2023年10月27日 |
体裁 | A4 574ページ |
価格(税込) | 176,000円 (本体価格 160,000円) |
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