IPOのデメリット

IPOの主なデメリットは、以下の通りです。

管理コストの増大

上場企業は内部統制を確立し、財務報告の信頼性と透明性を高める必要があります。内部監査スタッフなど内部管理体制の確保にコストが必要になります。 また、四半期開示や適時開示における人的リソースの負担も大きくなります。

IPO前後の負担

IPOに向けての準備は非常に複雑で、多くの時間とリソースを要します。上場準備には少なくとも3年を要すると言われています。 具体的には膨大な量の書類作成、法的手続き、監査、評価などに多くの時間、人員体制などのリソースが必要になります。

費用面では、上場の準備から上場審査までには会計監査人(監査法人)や証券会社、IPOコンサルなどへの各種報酬(監査報酬、取引手数料、アドバイザリーフィーなど)が発生します。

上場審査時には、証券取引所への上場審査料や新規上場手数料などの費用が発生します。上場後は証券取引所に対する年間の上場料のほか、監査報酬、株主総会などに費用が発生します。

会社の規模や上場による調達資金の額が大きいほど、コストも増大する傾向にあります。

経営責任や企業の社会的責任の増大

上場企業は投資判断に必要な企業情報をタイムリーに開示する義務があります。経営陣にとっては情報の公開度合いが増大し、透明性を高めることになります。

また、株主や市場からの期待に応える責任が強まり、企業の社会的責任も重要視されます。これには環境、社会、ガバナンスへの配慮が含まれ、それらに対応するためのコストが発生します。

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経営意思決定の迅速性、自由度への制約

上場企業は株主や規制当局への報告、株主とのコミュニケーションが必要であり、これにより経営意思決定の迅速性が一部制約されることがあります。また、株主の期待に応える形で経営する必要があります。

安定して企業を経営していくためには、株主の支持が不可欠です。議決権を有する株主と経営陣が対立関係になると、株主が決議を否決する、動議が提出されるなどの事態を招きかねません。

したがって、上場企業の経営者には企業価値を高める努力を継続し、積極的なIR活動を行うなど株主との良好な関係を維持することが求められます。

買収リスク

IPOによって不特定多数の投資家が株式を自由に購入できるようになれば、常に買収されるリスクにさらされます。

グローバル化が進む昨今においては、経営権の獲得を目的とした、敵対的買収への対策も必要となるでしょう。このリスクを下げるためにも、積極的な成長投資や株価の維持、株主の安定化などが重要になってきます。

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