介護離職が発生した企業は10.1%に上っており、介護離職が深刻さを増すなか、介護離職者が離職前に介護休業や休暇を利用しなかった企業が54.5%あることが、東京商工リサーチの「介護離職に関するアンケート」調査で分かった。

介護離職が発生した企業は1割、離職者の5割超は介護休暇・休業を利用せず

過去1年間(2022年9月~2023年8月)に介護を理由とした退職者(以下、介護離職者)が発生したか聞くと、介護離職が「発生した」との回答は10.1%(4972社中、504社)だった。一方、「発生していない」は89.8%(4468社)だった。

規模別にみると、「発生した」は大企業が18.3%(599社中、110社)に対し、中小企業では9.0%(4373社中、394社)で、大企業が9.3ポイント多かった。

過去1年間の介護離職者で、対象となる家族1人につき通算93日まで休業できる「介護休業」と付き添いなどで利用される「介護休暇」のいずれかの利用を聞いた。その結果、「(利用した従業員が)いない(0割)」が54.5%(220社中、120社)と、半数以上の企業で介護を目的にした休業、休暇の施策を利用していなかった。

また、休業、休暇を取得した従業員のいる企業では、「1割」が15.0%(33社)、「10割」が14.5%(32社)と拮抗した。

規模別にみると、「いない」が大企業が36.8%(14社)に対し、中小企業は58.2%(106社)だった。「10割」は大企業が26.3%(10社)、中小企業が12.0%(22社)となった。

東京商工リサーチでは現況について「従業員数の多い大企業ほど中小企業より取得率が高く、代替人員がいるかどうかで取得率に差が出たようだ」と指摘する。

「仕事」と「介護」の両立支援について、貴社の取り組みは十分か聞くと、「そう思う」は18.4%(5125社中、947社)と約2割にとどまり、「そう思わない」が38.0%(1951社)と約4割が不十分と回答した。

また、「わからない」は43.4%(2227社)で、仕事と介護の両立支援を模索している企業が多いことを示している。

仕事と介護の両立支援への企業の取り組みが十分とは思わないと回答した企業に理由を聞くと、「代替要員を確保しにくい」が62.4%(1,913社中、1,194社)で最多となった。次いで、「自社に前例が少ない」も51.9%(994社)と、前例踏襲に頼る企業も半数を超えた。

調査は、2023年10月2日~10日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、5125社の有効回答を集計・分析した。

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