第一次外食M&Aブーム(2004年~2008年)

外食業界におけるM&Aブームはどのような状況で起こるのでしょうか? 2004年からの第一次外食M&Aブームは以下のような背景で発生しました。

1997年11月に起こった、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券などの経営破綻に伴う金融危機に伴い、それまで安定して市場規模を増加させていっていた外食業界は、2005年まで毎年平均3%市場規模を縮小させ、2004年に国内の人口がピークに達したことにより将来的な市場の拡大の見通しも悪くなり、冬の時代が到来しました。

それに伴い、外食業界の企業間でのマーケットシェアや人材、物件の取り合いが激化。更には売上減少に伴うコスト削減や新規市場への参入が急務になる中で、M&Aが注目されるようになる。 第一次M&Aブームの特徴としては、以下の3つが上げられる。

①M&Aによるグループ規模拡大戦略を行う企業の出現

ゼンショーやコロワイド、ジーテイストなど、自社で開発した業態の展開だけでなく、M&Aによるグループ規模の拡大を主要戦略として位置づける企業が続出していった。 ゼンショーは当時の外食業界を象徴する企業のM&Aを積極的に行い、2010年にはそれまで、国内外食業界首位であった、日本マクドナルドホールディングスの売上高を追い抜く形となった。

【ゼンショーの主なМ&A】 2000年 ココスジャパンを譲り受け 2001年 牛庵を譲り受け 2002年 ココスジャパンがビッグボーイジャパンを譲り受け 2005年 なか卯を譲り受け 2006年 米国内におけるココスレストランを展開する企業を譲り受け 2007年 ジョリーパスタを譲り受け 2008年 華屋与兵衛を譲り受け

②外食市場から周辺市場への参入

外食市場が縮小していく中で、外食市場以外への市場にチャレンジしていく動きも加速していくこととなります。

代表的な事例としては、レインズインターナショナルによる、エーエム・ピーエム・ジャパンや成城石井の買収です。 当時レインズインターナショナルは飲食店経営で培ってきた商品開発ノウハウやフランチャイズ展開ノウハウを活かし、小売市場に参入するという動きを行っていきました。

③PEファンドによる大手外食企業の活性化

それまで外食産業に対してあまり目立った動きの無かったPEファンドが、現在を代表する外食企業へ介入していき外食業界を活性化させていきました。

主な事例としては、

  • 【売り手】すかいらーく×【買い手】CVCキャピタル・パートナーズ
  • 【売り手】コメダ×【買い手】アドバンテッジパートナーズ
  • 【売り手】あきんどスシロー×【買い手】ユニゾン・キャピタル

など、これまで外食業界にはあまり馴染みの無かったPEファンドとの資本提携を耳にするようになったのもこの時代です。