わかやましらはま農家について
――まず、わかやましらはま農家の活動についてお教えいただけますでしょうか。
わかやましらはま農家は、「身近な自然を伝えたい」という思いから、農作物の生産・販売に加え、農園体験を行っております。
具体的には、白浜の特産物であるレタスをはじめ、トウモロコシ・ソラマメ・ケイトウ・ストックを生産・販売しております。
また、農園体験にも取り組んでおり、準備段階のものを含めると「体験プラン」「農業体験農園」「インターン研修」の3つのプランがあります。
「体験プラン」では、畑を散歩して野鳥や草花などの自然に触れていただき、その後実際に農作物の収穫などを行い、畑の魅力を体感してもらいます。こちらは1日かぎりの体験ですが、只今開園に向けて準備中の「農業体験農園」では、長期間にわたって園主とともに農作業を体験できます。月2回以上、畑にお越しいただき、種まきから収穫までを体験していただきます。3つ目の「インターン研修」は、農業に興味がある方を対象にしたもので、実際に半日以上畑で働いていただける、より本格的なプランとなっております。
どのプランであっても、「自然を身近に感じてほしい」という思いのもと、運営しております。
――そもそも、農業を始めたキッカケは何だったのでしょうか。
昔から生き物や自然が好きだったこともあり、アドベンチャーワールドでイルカのトレーナーとして働いていました。しかし、白浜で過ごすうちに、もっと生き物や自然に向き合って仕事がしたいという思いが強くなりました。
そこで始めたのが、農業です。
農業は、身近な自然に直接触れ合うことができます。だからこそ、次は“農家”として農業を通じ、生き物や自然の魅力を伝えることが最適だと考えました。
とはいえ、農業の経験がなかったため、まず1年間は近くの農家で働き経験を積みました。その後独立し、農家としてスタートします。
最初は収入が追いつかず、苦労した時期もありました。
しかし、アドベンチャーワールドに勤めていた頃の知り合いなどから、輪がどんどん広がり、今では地元の小中学生や企業の方、観光客など多くの方に来ていただいております。
体験について
――体験にいらっしゃる方には、どのようなことを感じていただきたいですか?
「みんなで一緒に楽しむ」ことですね。
写真のように、体験にいらっしゃる方々には、一緒に農作業を行っていただきます。
企業単位で参加していただくこともありますが、このように、一緒になって農作業をすることで、立場などの壁を感じることなく楽しむことができるのではないでしょうか。
また、身近に“生き物がいること”に気づいてほしいですね。
例えば、空を飛ぶ鳥であったり、土の中にいる虫であったり、生き物は畑にだけ特別に存在するのではありません。
体験にいらっしゃった方が帰る家の近くにも、多くの生き物たちが生息し、様々な役割を担っています。
そんな風に、家に帰った後も多くの生き物と一緒に過ごし、ともに生きているということを考えるキッカケになってほしいです。
そのことに気づくことで、身近にある自然を感じてもらえると思います。
一方で、決してそういった知識を押し付けるようなことはしないよう心がけております。
ただ知識を押し付け、「こうしなくてはならない」ということは指示しません。
「生き物や自然を大切にしたい」そう思ってくださるだけで十分だと考えております。
――農作業だけではなく、白浜にも注目されていらっしゃるようですが、そのキッカケは何だったのでしょうか?
やはり白浜で農業を行っているうちに、「白浜も面白いな」と思い始めたことですね。
自然も豊かで、山も川もあって、何より人が優しいです。
みんなが知り合いというような、心地よい適度な距離感だと思います。
人が優しい白浜だからこそ、自分ももっと知りたいし、みんなにもっと知ってほしいと考えるようになりました。
そんな白浜での活動の一環として、HPに掲載しております「白浜図鑑」があります。
自分で見つけた草花や生き物たちをカード風にして記録しており、ある企業に勤めている友人に相談しつつ、作成しました。
自分で写真を撮り、調べることで、改めて白浜について深く知ることができましたし、多くの新しい発見がありました。ゆくゆくは200枚くらいまで増やしたいですね。
――今年の6月に実施された「和歌山県地域課題解決型ワーケーション」にも協力されておりましたが、こちらはいかがでしたか?
和歌山県地域課題解決型ワーケーション(主催:スプラッシュトップ株式会社、共催:株式会社南紀白浜エアポート、後援:和歌山県、和歌山白浜町)とは、6月に行われた「農業 DX」による白浜町の農家の課題解決をテーマとしたプロジェクトです。
私は白浜町で働く農家として協力させていただきました。
プロジェクト参加者の方々とは、事前オンライン打ち合わせでのやり取りや、ワーケーションにて収穫体験などを通して、わかやましらはま農家の抱える課題について話し合いました。それらを踏まえ、ご提案やフィードバックをいただきました。
このように課題や悩みというものを誰かに話す機会自体があまりなく、このような機会を設けていただけたことは非常に嬉しかったです。
すぐに実践できることもあれば、長期的に計画して実現できることなど、様々なアイデアをいただきました。さらに野菜のロスであったり、事業運営自体についても貴重な意見をいただき、一歩ずつではありますが、できることから進めたいと思っております。
これからについて
――将来は、どのような農園にしたいと考えておりますか?
「みんなが気軽に来れる農園」にしたいですね。
畑は身近な自然を感じられる場所ですが、接点がなければなかなか訪れる機会が少ないと感じております。
実際に、近くに畑はあるけれど、何をしているのかよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
だからこそ、身近な自然を見つける第一歩として、色々な人に畑にどんどん訪れてほしいと思います。
学校帰りに、ふらっとプライベートで来ることができるような存在になれるといいなと考えております。
――最後に、地方創生を志す若者に向けてメッセージをお願いいたします。
まずは、地域の中に入ることが大事ではないでしょうか。
大仰に「地方創生だ」と外側から働きかけるのではなく、地域の中に入ることでその現状を知ることができます。
そうすることで、きちんと地域ごとに課題を見つけ、その原因を把握することができますよね。気づいた原因や課題から考えることが、地方創生における第一歩だと思います。
地域の中に入るということは、特に信頼関係を築くことにあります。 地域のお祭りに参加したり、挨拶のために色々なところに顔を出したり、このような小さい積み重ねが大切です。
こういった小さな積み重ねに対して、楽しいと思ってできることが、地方創生にも繋がると思います。
団体名 | わかやましらはま農家 |
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代表者名 | 園主 遠藤賢嗣 |
創業年 | 2019年 |
所在地 | 〒649-2200 和歌山県西牟婁郡白浜町2701-4 |
事業内容 | レタス、トウモロコシ等の野菜栽培・ケイトウ、ストック等の花栽培・農業体験事業の運営 |
HP | https://ws-farmer.jp/ |
https://www.facebook.com/wshirahamafarmer | |
https://www.instagram.com/wakayama_shirahamafarmer/ |