コングロマリットのメリット
コングロマリットを形成する主なメリットは、以下の通りです。
シナジー効果を狙いやすい
コングロマリット企業は、様々な業種、ビジネスを保有するため、単一の事業を展開する場合に比べ、各事業間で事業シナジーやコーポレートシナジーなどシナジー効果の創出を狙いやすくなります。 事業シナジーは、技術やノウハウを共有することで新規事業やサービスの創出につなげること、コーポレートシナジーはグループのブランド力や強みを活かした営業、採用活動、資金調達などが挙げられます。
このようにコングロマリットを形成したことで、グループ内でシナジー効果が発揮され、企業価値が高まる状態を「コングロマリット・プレミアム」と呼びます。
この成功例が日立製作所です。あらゆるモノがインターネットと繋がるIOTの時代を迎え、多彩なグループ企業を抱える日立製作所では、デジタルソリューション事業を中心に「OT(制御技術)」と「IT(情報技術)」と「プロダクト」を組み合わせたサービスの提供を開始します。その結果、グループ内でのシナジー効果を生み出すことに成功しました。
<関連記事>
シナジーとは?期待される効果、種類をわかりやすく解説
経営リスクを分散できる
コングロマリット企業は様々な業種、ビジネスを展開するため、もし一部の市場環境や事業会社の収益が悪化しても、その他の事業でカバーすることができます。つまり、経営のリスク分散ができる点も、大きなメリットとして挙げられます。
リスク分散に成功したコングロマリット企業の代表がソニーです。ソニーはもともと「ウォークマン」を世界的に大ヒットさせたテープレコーダーなどの製造会社でした。しかし、コングロマリット化した現在のソニーの主力事業は「ゲーム機の販売及びそのネットワークサービス」です。また、金融部門も順調に伸びており、かつて主力だった電気製品部門に追いつきそうな勢いで伸びています 。このように、ソニーグループはコングロマリット化したことにより、各事業部門のリスク分散に成功しています。
中長期的ビジョンを描きやすい
コングロマリット型戦略は、様々な市場へ進出するため、短期間でのシナジーや成果を期待することは困難です。しかし言い換えると、企業全体で持続的な成長を図るために中長期の計画、ビジョンを描きやすい点もメリットとして挙げられます。
これは、コングロマリット企業の例にも挙げた楽天グループが非常に得意としているところです。イーバンク銀行 を2009年2月に子会社化し、楽天銀行としてじっくりと再生の道筋をつけ、今ではグループの金融事業の中核をなす大切な事業部に育て上げています。