2022年度の企業向け研修サービス市場は前年度比3.1%増の5,370億円、2023年度は同2.4%増の5,500億円を予測
~人的資本情報開示義務化を背景とした教育投資意欲の高まりが加速する中でプラス成長継続へ~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の企業向け研修サービス市場を調査し、市場や参入企業の動向のほか、コロナ禍による影響やサービス需要の変化などを踏まえた将来展望を明らかにした。
企業向け研修サービス市場規模推移・予測
1.市場概況
2022年度の企業向け研修サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.1%増の5,370億円と推計した。2021年度のプラス成長に引き続き、オンライン研修が対面型の集合研修の代替策として功を奏すとともに、研修サービスを導入したことがなかった中堅・中小企業等の潜在需要を引き出したことでコロナ禍前の市場規模(2019年度:5,270億円)を上回る結果となった。また、コロナ禍で中止や延期などマイナス影響を受けていた対面型の集合研修は、2022年4月実施の新入社員研修のタイミングで需要を取り戻し、市場拡大をけん引する格好となっている。
研修形態については、行動制限の撤廃とともにオンライン研修から対面型の集合研修へ戻す動きはあるものの、オンライン・対面のハイブリッドで展開するのが主流となっている。また、当該市場で主力となっているクラスルーム形式の研修ビジネス(公開プログラム・カスタマイズプログラム)の需要は拡大基調に転じており、新人研修と同様に、若手・中堅社員や次世代リーダー層、中間管理職、経営幹部候補者を対象とした階層別研修も概ね好調に推移している。2022年度(2023年3月期)決算より開示が義務化された人的資本経営に対応した人材育成機運の高まりが企業の教育投資需要を刺激しており、加えて採用や定着(リテンション)支援の観点からも研修サービスの需要を高めている。
2.注目トピック
教育投資意欲は人的資本情報の開示義務化の開始とともに加速
2023年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴う様々な制限が緩和・撤廃される方向にあることから、コロナ禍により減っていた研修の実施機会は、揺り戻しが進む対面型研修と新規需要開拓が進むオンライン研修のハイブリッド展開によりさらに拡大し、プラス成長を継続していけると見ている研修事業者は多い。
また、企業の採用・教育・人材育成への投資意欲は高まる方向にあり、この傾向は2022年度(2023年3月期)決算から始まった人的資本情報の開示義務化とともに加速している。人的資本経営を考慮し社会に与える企業の存在意義や価値を軸にした経営に取り組む企業が増えている。
3.将来展望
2023年度の企業向け研修サービス市場は、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが緩和されたことで、回復基調にある対面型の集合研修の需要の取り込みが本格化していること、コロナ禍に対応したオンライン研修等のサービスが新たな需要を取り込みながら引き続き拡大を見込める状況にあることから前年度比2.4%増の5,500億円に拡大すると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2023年4月~8月 2.調査対象: 企業向け研修サービスを展開している事業者 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX等によるアンケート調査、ならびに文献調査併用 |
<企業向け研修サービスとは> 本調査における企業向け研修サービスとは、企業向けに「事業」として実施される研修・教育のことであり、自社内の研修部署による自社社員の教育は含まれない。ただし、研修子会社により、親会社またはグループ会社向けに実施される研修サービスは「事業」として含める。 研修形態としては、クラスルーム形式(公開プログラム、カスタマイズプログラム)や通信教育、eラーニング、組織診断・アセスメントなどを対象とした。但し、「教材」に関しては、「クラスルーム研修」「通信教育」に予め組み込まれていない限り、含まない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 企業向け研修サービス |
出典資料について
資料名 | 2023 企業向け研修サービス市場の実態と展望 |
発刊日 | 2023年08月30日 |
体裁 | A4 832ページ |
価格(税込) | 176,000円 (本体価格 160,000円) |
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